第5話・リピート
「はァ・・・・わっけわかんねぇ・・・」
彼はなすすべもなく浅い傷が数箇所ついている白い天井をじっと見ていた・・・まるで死んだ魚のように・・・
(・・・・・なんだよ。記憶ももどんねぇし・・・・ってか何だ?いみわかんねぇ・・・。頭いてぇし・・・耳鳴りやまねえし・・・はァ・・・何かもう何が起こったとか考えたくねぇかも・・・・何か・・・疲れた。)
彼はもう気力をなくしていた・・・
「はァ・・・(・・・酒飲みてぇ・・・ってかタバコとかもどっかに売ってねーかな・・・)」
だいぶ退屈だったらしい・・・・何か決意したようだ。
「よっ・・・・と。」
だるそうにベットから這い上がった。彼は大きく深呼吸をして窓の外をを見つめた。・・・視線の先にはあの場所があった。
(・・・・・何で・・・・・なんもないんだろ。まーいい・・・・財布・・・)
・・・・部屋には何もない。かなり殺風景なところだ・・・
(・・・・そーイヤ飛び出してきたんだっけ・・・俺・・・)
彼は仕方なくまたベットに戻った。・・・すると・・・・
ガチャ・・・・
「よお。なーにやってんだ?」
・・・朝の訪問者だ。陽気に入ってきた訪問者と裏腹に、弱っている彼は一言呟いた。
「・・・・おめーもかよ・・・・意味わかんねー・・・」
「え?何が?」
訪問者もその言葉の意味がわからなかったらしい・・・・まあ当然だが・・・。
「なんでもねーよ・・・・」
彼は窓の外の方を見つめた。口からは大きなため息が漏れた。
「あ・・・ってか酒もってきたぞ。このまえのやつ。昨日メールデうまいから又買って来いっていったからさ・・・」
窓のほうにいっていた視線が1秒もしないうちに訪問者の手元にいった・・・
「あ・・・・(・・・たまには使えんな・・・こいつ。)」
「まァ一杯どう?」
たまらずかれの喉が鳴った・・・しかしそれに手を出す気配がない。というか出したくてもでないようだ。
「あ・・・今はちょっと・・・・(・・・・この二日酔いさえなけりゃな・・・)」
「へぇ・・・・めずらしな。」
「それってよ・・・・どこで買った?」
「ちょっと穴場なんだけどな。6丁目んとこの路地裏。そこで売ってる。奥のほうに・・・何か美味そうダッたからためしに。」
訪問者はふと袋からそれを取り出した。それは透明のビンに入っている。
「・・・良い色だなァ直希・・・」
・・・すると彼に異変が起こった。
プツン・・・
(あ・・・)
・・・どうやら耳鳴りがとまったらしい・・・次の瞬間その酒にも変化がおきた・・・
「お・・・・何だこれ・・・」
薄い黄緑のような色をしていた液体が濃い紫色に変わった・・・
そして彼にまた記憶がよぎった・・・・そう・・・あのころの悲しい記憶が・・・・
完全に忘れ去られていた・・・いや・・消されていたある記憶がよみがえった・・・・・
第5話・リピート 完 第六話・消した過去に続く