第3話・眼
彼がそこにたどり着くと・・・・・
(・・・・え・・・マジ・・・・?)
そこは戦場と化していた・・・
(これって・・・あれ?何で・・・・・)
それに・・・・結果は悲惨なものだった・・・・1人も生き残っていない。辺りは血の海だった。・・・血生臭さが嗅覚を凄まじく刺激する・・・まるでヤイバが尽き刺さるかののように・・・
「な・・・何なんだ・・・・」
彼の眼からは大粒の雫があふれ出てきた・・・まるで池のようなものが決壊したかのように・・・。・・・彼はなすすべもなかった。あの中には朝の訪問者もいる・・・。
彼は寄ろう・・・寄ろうとしても寄れない。今の彼には立ちすくむぐらいのことしかできない。
「・・・・・ひとりになっちまった・・・でも・・・・俺・・・俺が助けなきゃ・・・・いかなきゃ・・・・」
彼は震えていた・・・動かない。いや・・・動けない・・・彼はこの紅い海を・・・もう息絶えているかのような人々を前に・・・何もできない。助けたい・・・その気持ちより恐怖のほうが圧倒的に大きい・・・。彼は今にも見えない何かに押し潰されそうな気持ちだった・・・。
「だ・・・誰かァ・・・誰か!!誰か来いよ!!!!ハァ・・・ハァ・・・誰か・・・
だれでもいいから・・・ハァ・・・・俺は・・・・・俺はどーすりゃいいんだよ・・・・・
誰かこいよォーーーーーーーーー!!!!!」
彼は叫んだ・・・・・ひたすら叫んだ・・・・・
「誰かァ・・・・だれでもいいからァ・・・・ハァ・・・・・」
泣きながら叫び続けた・・・・・しかし・・・・人目につきやすいハズだが・・・・一向に人の来る気配がない・・・
「ハァ・・・ッハァ・・・・んだよ・・・なんだよ!!何なんだァよ!!!
シカトかよ!!・・・・ショぉ・・・・・チクショーーーー!!!!!!!!!」
彼にはもう平常心という心はない・・・彼はなすすべもない自分に怒りを覚えた・・・他にも仲間がいなくなったという悲しみ・・・恐怖・・・やなものばかりこみあげてくる・・・
すると・・・・
プツン・・・・
「・・・・あァ?・・・・え・・・・ない・・・・聞こえない・・・・耳鳴りが・・・・」
すると・・・次第に彼の意識が薄れていった・・・・・・・・・・・・
・・・彼は遠のく意識の中で、またあの3年前の記憶が一部よぎった・・・・
第3話・嘆 完 第4話・眼 に続く