第一話・パターン
朝が来た・・・
(あ”ぁ・・・・・・だりィ・・・・何時なんだ・・・・)
また一人の少年が長い夜を越えた―
「ん・・・あ・・・;」
(・・・・・・やっべぇ・・・集会に遅れる・・・・)
このアパートの一室で繰り広げられるいつもの光景だ。
(・・・・・・ってか・・・・なんで朝に集会やんだろ。なんか馬鹿っぽ・・・・)
彼はまだ寝床からてこない。いや・・・出ることができないのだろう。
「っち・・・・・行ってらんねぇ・・・」
だるそうな声。その疲れた体から絞られる様に出てきた声。彼は今にも倒れそうなオーラを放ちながらベットから脱皮するようにかのように出てきた。・・・・これもいつもと変わらない光景だ。
ピーんポーン ガチャ・・・・
(んあ?・・・・・・だれだっての・・・)
「・・・あ”ァっ!・・・」
バァン!!
・・・・・塔が倒れるかの如く、見事に戸に足をぶつけ横たわっている。どうやら小指をやってしまったようだ。・・・彼はおそらくまだ昨日の酒の酔いが醒めてないらしい。
トン・・・ドッ・・・・
朝の訪問者が訪れた。こちらからは来る気配が分かる。
ダダッ・・・!
「いてっ・・・」
何かにつまずいたようだ。確かにここは足の踏み場もない。それ故不潔だ。
「直希。何死んでんだ。時間ねぇぞタコ。それに毎度毎度こける俺の身にもなってとっととなんとかしろっつの。ごみ屋敷を。」
(・・・・死にたくて死んでるわけじゃないっての。それにてめぇは人のことを魚介類扱いかっての。・・・・・ごみ屋敷でわるかったな。それにおめぇの身になんかなりたくねっつの)
鋭い目つきでチラッと訪問者を見た。少し腹が立ったらしい。この訪問者は朝になると必ず来る。彼は戸で負傷した足を労わりながら体を起こした。やはりかなり響いたらしい。
「あ”ァ・・・・今日無理。」
あくびをし頭の後ろを掻きながら気の抜けた言葉を一言発した。
「はァ?てめ・・・バックれんのか?」
何だこいつ・・・といわんばかりにあきれた口調で彼を見つめて、彼の二日酔いの頭に響くような声で言った。
(う・・・・・うぜぇ・・・・・)
結構いったらしい・・・
「無理・・・。二日酔いでギブ。」
半分投げやりな様子だった。すると・・・訪問者は彼の邸宅の酒ビンか数本置かれているテーブルを冷たい目でながら言った。
「ったく・・・てめぇ俺とタメの癖してタバコだの酒だの・・・15じゃねぇかっつの。ホンと量ハンパねぇよな。」
(・・・うっせぇな・・・)
彼は訪問者から目を逸らす・・・彼は自分のことに触れられるのを嫌う。
「・・・ふぅ。」
訪問者からため息がフともれた。訪問者はタバコがあふれかえった灰皿を見ながらそばに座った。あきらめたのだろうか・・・
(・・・ってか・・・そこあぶないんすけど。)
彼の視線の先。それは訪問者が座っている範囲周辺。危険物があるのを思い出した。
「まじでいかねぇのかァ?」
「そーだけど?」
(あ・・・・・・・)
「ってか・・・何かしたのか?」
「・・・・別に。」
(・・・・・安藤直希邸床原産のきのこ下にしいちゃってるんだけど。)
・・・・両者ともに緊張が走る。・・・・彼はなんともいえない目で下敷きになった天然きのこの方を彼は眺めている・・・訪問者は不安の色を隠せない。隠せていない・・・・。
「と・・・とにかく時間ねぇ・・・いかねぇんだな!?」
訪問者は少し怪しい空気を紛らわせようとしたらしい・・・・しかしぜんぜん紛らわせていない。・・・手遅れだろうという目で彼が訪問者をむなしい目で見つめている・・・
「・・・・ァ”〜・・・・今日は・・・・。いかね。」
(ってかお近くのコインランドリー寄ったほうが良いかと・・・・)
「ったく・・・」
立ち上がった訪問者の服には、・・・・くっきりと天然きのこの跡が・・・・
(へぇ・・・・・あんま見かけない珍しい柄だな・・・)
彼は訪問者の事より、きのこの柄に気がいっていた・・・・・。
バタン・・・
訪問者はあっけなく去っていった・・・・
「ったく・・・・あいつ・・・跡で地獄見んぞ・・・ってか・・・もーこんな時間じゃねぇか!・・・・・やばい。ホンとおいしくない状況・・・」
(はァ・・・・何かマンネリ化したな・・・・あれからどんだけこんな生活繰り返してんだろ・・・・・何か・・・・・・適当に刺激のあることねぇかな・・・・・)
そう思っていた時だった・・・・・
(・・・・・ん?・・・・耳鳴り・・・・?まてよ・・・・今って・・・9時55分だよな・・・・しかも左耳・・・・たしかこれって・・・・なんか変な噂があったような・・・・)
彼の二日酔い頭にある記憶がよぎった・・・・
―3年前―
「なァ・・・直希知ってる?」
「あの耳鳴りの噂?」
「おめぇらそんなの信じてんの?」
「ありゃマジだって・・・・」
「うそだろ・・・なぁ直希?」
「・・・でもけっこうマジらしいよ。」
「はぁ?そうか?」
「だってよぉ・・・・9時代〜10時代に左耳になった人がさ・・・・やっぱやばいことになってるらしいよ?逝き掛けたとかって・・・」
「あ・・・それはかなりの噂だな・・・・」
「・・・・それってよぉ・・・・この俺でも一応知ってる・・・・ってか悲惨だからあんま信じたくねぇよ・・・・」
「あぁそれで・・・・」
「他にも周りの人が数分後自殺したりとか・・・・とにかくありえないことが起こるんだって・・・・・・・・・・」―
(うっそだろ・・・・・・おい・・・・)
とたんに寒気が走った・・・・彼はやな予感がして発作的に体を起こし、家を飛び出した。
・・・この耳鳴りからパターン化した生活は・・・・・当分戻ってこないだろう。
―第一話・パターン 完。 第2話・ありえねぇ に続く―
これは当然フィクションです・・・。