愛のリペアマイスター ♡第6話 愛情♡
熱いムードが繰り広げられています。
仰向けになったマシュマロのように白い燈の肢体。暁斗がとても穏やかに声を掛けながら、でも激しく覆いかぶさる。
「スキだ……素敵な果実のような燈ちゃん。ああ、可愛いよ。オレだけのもので……居て欲しい。わがままかい?」
「……ううん、あたしは暁斗さんのいうことをきくわ。だって……だって、こんなにも躰が狂おしいっ!」
燈は暁斗に愛撫され続けている。その大きな掌で、普段靴を修理する器用でセクシーな指先で、躰中を愛されている。そして、暁斗は燈の裸体を愛おしみ、大切な宝物のように撫でる。
燈もじっとしていられず、尽くしたくて暁斗にくちびるを当てる。
そうして……1つに溶ける……。
暁斗が動くたび未知なる場所へ突き抜けていく、フレッシュでいて甘美な感じ。
「アンッ!」「フー、ハー……あか……り、ちゃん」「うん、ア! ア!」「あッ! 燈ちゃんっ」
燈の、たわわな果実のような胸が揺れ、暁斗のたくましい腰が揺れ、空気が揺れた。
ふたりはいっしょに満ち足りた。
ピロートークはあまり語らない。見つめ合うふたりの嬉しそうな表情。
(ほんとうは……爪も立てたい! 暁斗さんの筋肉質の躰、キスマークだらけにしたい! 独り占め、したい!)
暁斗は全部お見通しだ。
「オレね、燈ちゃん? 燈ちゃんだけだよ……。実情でこんなセリフ吐いて、軽々しく聞こえるかもしれないけど。虜になってしまった」
「躰なの?」
ベッドで隣に横たわっている暁斗が、静かに首を横に振った。
「燈ちゃんの……子どもみたいにお茶目で、繊細な性格が好きだ」
「あ、あたしもです。暁斗さんて、少年みたい。かわいいの!」
「このおっさんが?」
「キャハ♪うん、おっさんが、って……暁斗さんも年齢聴いて、びっくりしちゃったよ? あたし。暁斗さん、瑞々しい男性だわ……」
「ありがと」ギュ! 燈は暁斗に強く抱きしめられた。
「あ、タバコ、吸っても良い? 燈ちゃん」
「ええ、もちろんよ! な~んだぁ。ずっと気を遣い我慢していたの? 良いのよ。あたしタバコの香り好きだから」
「そうなんだ! うん……燈ちゃんに悪いなと思ったのも事実だけど、禁煙もしたいんだよな~」
「そうなのね! 実は……あたしも10年前まで1日に1箱半以上吸っていたの」
「あ、そだったの?」
「うん、スパッと辞められたわ」
「あ。それ方法知りたいよ! 教えて、燈ちゃん」
「……あのね、暁斗さん」
「うん」
「『吸わない』という行動を、ただ実行すれば良い。これだけだよ」
「なにそれ~! それがみんなできないから辞められないんだよ!」と、暁斗は笑っている。
「ええ、ええ、もうね! 苦しくって、それこそ鬱状態というのかしら、半月以上は床に寝そべったままなんにもできなかった。だるくて、だるくて、ボーっとしちゃって……」
「凄いな~! 燈ちゃん、根性ある!」
「えへへ」
「アハ、オレには無理」
「そか。うふふ」
それから、ふたりは夕方4時ごろまで何度も何度も、愛し合った。
躰の相性が抜群だ。もちろん、ハートとハートもぴったり重なっている。
燈は気の弱い自分がつくづく嫌になる。何かと気が付く所も……。
「暁斗さん? お家に帰ったほうが良いんじゃないの?」本当はこんな事言いたくない。
「それと……ふたり一緒に居るところ、誰かに見られたら大変でしょう? よかったら今度はうちに来ませんか?」
暁斗は、燈を心底愛おしがる顔をした。
「燈ちゃん? 優しくてかわいいよ。ほんとうに」
うつむく燈。
(お別れは淋しい。ずっとずっと一緒にいたい。そばに居て欲しい……。でも今は……仕方ないわ)
ふたりでもう一度甘々でシャワーを浴びた。バスルームには無数のピンク色したハートが飛んでいた。
「ホテルで別れる?」嫌だけど、慎重にと考え、燈は口にした。
「ううん。嫌だよ……燈ちゃん、喫茶店までどうやって来たの?」と暁斗。
「あ、はい、自転車です」
「じゃあ、自転車置き場まで一緒に行こうよ?」
「うん」淋しいけど、微笑む。
外に出ると17時も過ぎていた。冷たい北風が燈と暁斗をさらに寄り添わせた。
「暁斗さんの手、冷たい。寒い?」
「ううん。燈ちゃんが居るからポカポカだよ。寒くなんかない」
「あ……」嬉しい。燈は言った。「あたしもです」
「うん」燈を包む優しい手に力がこもった。燈も一生懸命大事な手を握り返した。
街路樹のプラタナスのまんまるなポンポンみたいな実が風にゆれ愛らしい。そっとそれを指さす燈。
「ン?」と暁斗。
「プラタナス……すずかけの木よ! 実がね、なんだか可愛らしいでしょう? あたし大好きなの。秋にはおっきなてのひらみたいな葉っぱがついているわ。黄色やオレンジに紅葉してね、すっごく美しいのよ!」
「へ~。植物博士だな、燈ちゃん。燈ちゃんはお花とかが好きなのかな」
「ええ!」
「花か~。オレはそんなに詳しくないな。でも好きだよ!」
お花の話になると燈はHappyになる。昔っからお花が大好きなのだ。
ふたりでプラタナスを見上げつつ歩いた。自転車置き場に到着した。街中の自転車置き場なので、人の出入りは少なくない。でも、暁斗は燈を抱きしめキスをした。
「電話、するね! ……燈ちゃん、ごめんね、オレだけ自由に掛けられて、燈ちゃんが電話したい時にいつでも掛けられる訳じゃないだなんてフェアーじゃないよな……」
燈は瞳が潤んだが、強く首を横に振った。
「燈ちゃん、LINEはいつでもしてきてね!」
「はい」
「燈ちゃんが見えなくなるまで、オレ、自転車の燈ちゃんを見てるから安心して……こんなことしか今はできないけど……」
「嬉しいよ、優しいのね。暁斗さん……今度お家デートしようね!」
「うん」
ふたりで自転車置き場を出た。
「じゃあね、好きよ、暁斗さん」
「愛してる。燈ちゃん……気を付けて帰るんだよ?」
「はい」にっこり。
燈を見送る暁斗。
随分行った先の信号で燈が振り返った。すると、ちっちゃくちっちゃく、まだ燈を見送り続ける暁斗の姿があった。
純愛は胸がヒリヒリとするもの。




