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愛のリペアマイスター ♡第13話 暴露♡

愛おしいんだもの。

 暁斗と燈は愛を深めて行っていた。LINEは毎日する。電話もする。しかし、暁斗の妻に見つかった時から、外で逢うのはやめるようになった。

 暁斗は仕事帰りに燈の家に来てくつろいだ。燈は暁斗の体のマッサージをしたり、ちょっとしたおつまみとノンアルは必ず準備をする。至れり尽くせりの『愛人・愛おしいひと』だ。


 しばらく考え込み、燈は例の奥さんの浮気現場の写真を暁斗に見せないでいた。

 それは、自分でも何故だかわからない。切り札のように取っておきたいのかな……。


 それにしてもずっと燈には、暁斗とのことで気がかりに感じている事がある。

 万が一、万が一だ……『暁斗が先に亡くなってしまった時』自分は知りようがないから、待ち続けるのかな? と。だから『暁斗が信頼できる誰かに、自分達の関係のことを伝えてほしい。自分の連絡先を伝えておいてほしい』と言っているが、暁斗からははっきりとした返事がもらえていないのだ。


                     *


 今、ふたりは思い切り愛し合ったあと。桃色のベビードールとスキャンティ姿の燈と、下着だけの暁斗が寝乱れたシーツの上に居る。

「燈……一緒に街を歩いたり、デートに連れて行ってやれなくて、御免」

「ううん、暁斗。あたしは……ここで思いきり暁斗に抱きしめられれば、それで幸せなの」


(そんなの嘘だ)(本当は辛い)心にもない強がった返事で、イイ女を演じるばかりの燈。

 だが、深い洞察力を持ち、燈に本気の暁斗はそんなことお見通しだ。


「離さないでね! あたしがもしも、嫌がっても絶対にあたしのことを離さないで、暁斗」

「うん、離さない」


 燈は起き上がり、ベッドから離れ、あるものを大好きな人のもとへ持ってきた。

(あたしの好きなもの、教えたい……)

「あたしね、こんなオルゴール持ってるのよ? 知ってる? 暁斗」

 棚の上のワインレッドのピアノの形をしたオルゴールを大切に両手で持ち、暁斗が寝転ぶベッドへ持ってきたのだ。


「これは中古品で買ったのだけど、全く一緒の物をあたし、子どものころ持っていたの。いーい? みてて」

 ゼンマイを巻く燈。……流れ出す『エリーゼのために』そしてピカピカの鏡のような銀の台の上をくるくるとちっちゃなバレリーナ人形が踊り続ける。


「わー、面白いね! 綺麗だな」

「ウフフ。これをね、曲が終わりお人形が止まってしまうたびに、ゼンマイを巻いてはあたし……ず~っと見つめていたのよ。胸がときめいた」

「そうか。燈はロマンチストだね」

「うん。オルゴールの音色がとても好きなの。こないだママのお誕生日プレゼントに送ったわ」

 と話し始めた時燈は、暁斗の妻がラブホに男性と入って行くところを見たあのシーンを瞬時に思い出した。

「どうしたの? 燈?」

 燈の表情が曇ったのに気付いた暁斗。


 燈は……もちろん暁斗の妻に嫉妬している。大嫌いだし、腹立たしい。居なくなれば良いと思っている。それが本音だ。


 今度は燈はリビングに置いていたスマホを取りに行った。

「ン? どうしたの?」

 スマホを持ち、ベッドに戻って来た燈の細い腰を抱き、優しく髪の毛を撫でながら暁斗。


「これ、見て、暁斗……」

 燈はまず一枚目の写真、暁斗の妻が笑いながら男性と腕を組んで歩いている写真を見せた。

「……え?! これ」暁斗は言葉を失っている。

「うん。もう一枚あります」

 と燈はスマホ画面をタッチし、暁斗の妻と男性がラブホテルに入って行く瞬間の写真を見せた。

「これ、いつ?」と暁斗。

「ええ、半月前です、暁斗……。ちょうど、ママにオルゴールをプレゼントしようとこの街へ行ったの。その時偶然に見てしまったわ」

 暁斗は黙っている。

「暁斗、あたしを見損なった? こんな探偵みたいなことをして。あたしのこともう嫌い?」

 暁斗はすぐに答えた。

「そんな訳ないさ! ただ、今驚いているんだ。オレは燈を嫌いになんてなれないよ。愛してる」

「……半月、悩み続けていたわ。この写真を暁斗に見せて良いのかどうか。見せることにどういう意味があるのかって……結局こうやって、暁斗に見せてしまった。何がしたいんだろ、あたし!」

 燈は本気で考え続けていた。

(暁斗が奥さんをもっと嫌いになればいいわっ!)

 はっきり言って素直にそう思う。だが、暁斗は妻を愛していなくても、家族として子ども達のために何とかやって行こうとしている。その暁斗にこんな写真を見せることに意味があるのだろうかとも思う。


「暁斗、コーヒー淹れるね」

「うん、ありがと、燈」

 暁斗はリビングでタバコを吸い始めた。


「はい……どうぞ、暁斗」

「うん、いただくよ」

「暁斗……暁斗のご家庭の事に踏み入って申し訳ないし、嫌ならもちろん答えなくて良いんですけど……奥さん、夜のお仕事とかされているの?」

「あ、いいや、事務のパートに出てるだけだ」

「そうですか」


 ふたりは静かにそのあと過ごした。

「暁斗、明日お休みね? 明日も逢える?」

 すると暁斗は、一度深呼吸して返事をした。

「ごめん、燈。明日は逢えない」

「何で? いつもお休みの時来てくれるのに?」

「うん……妻と話をする」


 何を話すのだろう、と燈は不安でいっぱいだ。でも、自分への暁斗の愛だけを信じる。それだけだ……。

「はい、わかりました」

「それと燈?」

「はい」

「オレが連絡するまで、少し連絡しないで、待てる?」

 燈は暁斗に抱きついた。


(いやだ! 嫌! いや!)とココロは言っている。暁斗の考えが分からず、不安と孤独・淋しさでいっぱいだ。


「暁斗……」涙ぐみ燈。

「愛してるんだよ、燈?」

「うん、わかった。待っています」感情の発露を必死で押しとどめる。

 失いたくないから。


お気に入りのオルゴール、それがきっかけだった……。

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