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カムロ 〈神盧〉  作者: 碧鬼


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建物内の攻防…1

「ドラゴンを召喚していられる時間が、そろそろ限界だ」


ノリトはそう言いながら手を叩き、何かを呟く。


「ミコトはどうした?」


俺の問いに、スズは廃墟の広がる町を指差した。


「今さっきまでは一緒だったけど、お弁当を隠してもらってるの。背負ったままだと邪魔になるかなって思って」


「そうか、まあアイツなら何かあっても自分で何とかするだろ。

急ぐぞ、ドラゴンが時間切れになったからな。

兵士達が戻って来る前に、建物の中に入った方が良い。

ノリト、一番簡単に入れそうな所は何処だ?」


液晶端末を操作しているノリトに声を掛ける。


「ああ、ちょっと待て…あったぞ、ここなら入り込めそうだ」


その言葉と同時に走り出したノリトに続いて俺とスズも駆け出した。

やがて足を止めたのは、大きなシャッターの前だった。


「このシャッターの中は車庫になってる。

ただのシャッターだから、スズの馬鹿力で開けられるはずだ」


「誰が馬鹿よ、だれが」


ノリトに抗議しながら、スズはシャッターに手を掛けて、


ギッ…バギンッガリガリガリッガシャン!


力で強引にロックごと押し上げて、スズが中に入る。

車庫の中には2人居たが、兵士ではなく整備担当者らしい。ひしゃげてしまったシャッターを、驚いた顔で見ている。

俺とノリトはそれぞれの男達に走り寄り、最速の動きで殴り倒して気絶させた。

車庫の中には同じ種類の四角い車が並び、その奥には扉が二つあった。


「車なんて、初めて見るわ」


「俺もだ、ちょっと感動したぞ」


俺達の住んでる町には車が無い為に、車というものを初めて見る俺とスズは、ペタペタと車に触りながら眺める。


「車なんかどうでもいいだろ、運転なんかできないだろお前ら」


焦るように言うノリトに突っ込まれる。


「いいかカツヤ、左側の扉は階段があって3階上のフロアまで上がれるようになってる」


「分かった、その階段を上がろう…行くぞスズ」


まだ車に触りまくっているスズの手を引いて、扉を開けて階段を上がる。

階段を上り始めると、スズが引きずっているトカゲの魔獣達の声が壁に反響して、かなりうるさい。


「カツヤ、どうするんだよあの魔獣達を…うるさくて見つかるだろ」


「心配すんなって、階段を上がったら逃がしてやるんだ」


階段を上がって、その先の扉を開け、ネットの中の魔獣達を解放してやった。

魔獣達は今まで捕まっていた鬱憤を晴らすように、鳴きながら2、3匹ずつに別れてフロアを走り去って行く。

俺達はそれを確認すると、扉を閉めてしばらく動かずにいた。

おそらくここの連中は、いきなり入ってきた魔獣達に多少なりとも混乱するはず…

なぜならここの連中は、魔獣に慣れていないはずだからだ。

あれだけ高い防壁に囲まれて、これだけの大きさの建物がある都市に住んでいるのだ。

俺達の町みたいに、小さいサイズの魔獣が生活の一部として馴染んでいるような…そんな生活をしているとは思えない。

だから、逃がした魔獣達が騒ぎを大きくしてくれるのを待つ。

その間、ノリトは液晶端末を睨みながらどのルートを通って行くべきか必死に考えている。

やがて扉の向こう側から聞こえてくる騒ぎが大きくなり、ついには警報まで鳴り出した。

それを聞きながら、俺はノリトに声を掛ける。


「ノリト、いいか?」


「ああ、ルートは頭に叩き込んだ。

遺物がある場所までの抜け道として使えそうなダクトがある部屋までは、通路を走るしかない…

ここからは、正直殺るか殺られるかだ。

躊躇ったら死ぬぞ」


そう言いながら、俺にアサルトライフル、スズにショットガンを渡す。


「私、射撃は得意じゃないよ?」


「分かってる、ソイツはピンポイントで当てなくても、ある程度の狙いで当たる」


困った顔のスズに、俺が説明した。


「行くぞ!!」


ノリトの掛け声で扉を開き、全力で駆け出した。



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