【経緯編】シベリアの地下壕にて
1947年、シベリアの冷たい地下壕には水の滴る音が響いていた。地下壕にいる人間はみな沈黙し、息遣いがかすかに聞こえる。そんな中、地下壕にとある男が入ってきた。その男の名を「ゲオルギー・ジューコフ」彼はスターリンに会うためにスラヴ山脈の前線から赴いてきたのだ。スターリンが口を開いた。「ジューコフ君、前線はどうだ」「・・・とても良好とはいえません。我々はゲリラ的抵抗を続けていますが、敵は慈悲なく、機関銃や火炎放射器を使って山もろとも焼き払う勢いで排除しようとしてきます。敵は空からも攻めて来ます。今日も爆撃で100人死にました。」スターリンはため息をついた。モスクワが落ちても、スターリングラードが落ちても、彼は抵抗した。何千万という人民を消費してだ。だがしかし、いくら抵抗しても変わらない戦局に嫌気がさしているのだ。また、戦局の悪化は彼を精神的に追い込んだ。被害妄想が膨らみ、不安で頭がいっぱいになった。この会話から数週間後、彼はシベリアの白く染った山へ消えていった。
「私は散歩に出掛けるよ。戻ってくるまで遅くなるかもしれない」それが最後の言葉だった。