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フリント教授

 何かを思い出そうとしているような表情である。

「これ、何かに似ていない?」

「似ている? 何に?」

「超空間の眺めに……」

 言われて見れば、確かに壁面の模様は、超空間のあの瞼をぎゅっと瞑ったときの斑模様を思い起こさせた。


「さあ、皆さん! いよいよフリント教授の秘密を明かす時が満ちました!」


 管理人の言葉に全員、顔を上げた。

 目の前に、壇ができていて、その上にガラスの管理人が立っている。どういうわけか、その場の管理人は、威厳に満ちている。


 と、管理人のガラスの身体に急激な変化が生じた。透明な身体の内側から、もくもくと白い煙のように湧き上がるものがあり、それが身体中に満たされた。すると今度はガラスの管理人の身体の表面がぐねぐねと波うち、別の形を取り始める。


 のっぺらぼうの顔に凸凹ができ、眼窩が窪み、鼻梁が突き出した。それはある、人物の形を作り始めていた。

 真っ白な表面に色が着き始め、人間の肌の色になっていく。頭髪が生まれ、眼窩に目ができた。


 ミリィは呆然と呟く。


「お祖父ちゃん……」

「えっ!」と、パックはミリィを見た。ミリィの唇が細かく震え、両目が大きく見開かれた。

「お祖父ちゃん!」

 ミリィは叫んだ。


 目の前に立っているのは、粗末なスーツを身に着けた、貧相な老人である。


 これがフリント教授なのか、とパックは不思議に思った。考えてみれば、さんざんフリント教授の名前を耳にしていたが、その姿を知らない。ミリィの様子から、目の前の老人がフリント教授その人の姿らしいが、どういうわけだろう?


 フリント教授は死んでいる……。はずだったが?

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