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 地球を目にし、その場にいた原型の人々から津波のように喚声が上がる。全員、身を乗り出し、伸び上がるようにして頭上に浮かんでいる青い球体を見つめている。


 白い雲が散らばり、大陸には緑と茶色の斑点が、絵の具を垂らしたように散らばっている。


 パックは呟いていた。

「あれが、人類の故郷なのか……。あそこから銀河系に人類が広がったなんて、信じられないよ!」

 ミリィはガラスの管理人に尋ねる。

「なぜ、こんなにまでして、厳重に地球を隠さなければならなかったの? そんなに大事なものが、地球にはあるの?」


 管理人は微かに首を振る。


「ある意味では、極めて重要な宝が、地球にはあるのです。もし、目先の利益にのみ目が眩み、毀損するようなことがあれば、人類の未来は暗いものになります。フリント教授は、そうお考えでした」

 パックは管理人に顔を向けた。

「宝だって? そんなお宝、どうして地球に置いたまま人類は銀河系に散らばったんだろう? そんなに大事なら、一緒に持っていけばよかったのに」


 管理人の全身がピンク色に輝き、首を細かく動かした。なんだか笑っているようだ、とパックはそれを見て思った。


「最初に超空間ジェネレーターが開発され、人類が爆発的に広がった当初は、それが宝だとは、誰も思っていなかったのです。様々な星に殖民して〝種族〟が生まれてくるに連れ、地球に残されたその宝は、フリント教授によって初めてその重要さを見出されました。もし心ない〝種族〟がそれを自分たちのために利用しようと考えたら、原型の人々の未来はないでしょう。それに、その宝は、おいそれと持ち歩けるようなものではないのです」


 ヘロヘロはじれったそうに声を上げた。


「いったい、それは何だい? そんなに、大きなものなのかな。持ち歩けないほどだなんて……」


 管理人は一呼吸を置いて答える。

「それは……地球そのものなのです」


 パックとミリィはぽかん、と口を開けた。

「何だって?」

 パックは首を傾げていた。

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