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【弾頭】

「例の三人は、シャトル乗り場から逃走しました! ご命令通り、こちらはわたし一人で警備に立ち、あいつらを通しましたが、これでよろしかったのでしょうか?」


 映話装置の画面には、バルト人のやや憤懣した顔が映し出されている。むっつりとしたバルト人の顔つきが、さらなる押し殺した怒りに仮面のような表情を与えていた。


「それで結構だ! あいつらは、こっちの思う通りの行動をとっている。総ては、こちらの想定の範囲内だ。そのまま待機せよ!」

 映話装置に向かい、シルバーは上機嫌に答える。画面のバルト人は無表情のまま、敬礼をして接続を切った。


「シルバー、妾には判りません。なぜ、あやつらを捕まえないのですか? あの二人が秘密のシャトルを利用したことが判っているなら、すぐに向こうに警備員を増やして逮捕できるのに……」

 シルバーの背後から【大校母】の疑いの声が上がる。シルバーは振り返った。


 豪華な天蓋付きのベッドに【大校母】の巨体が、どってりと横たわっている。パックの神経衝撃銃による苦痛から、ようやく回復したが、それでもショックは酷かったと見えて【大校母】の周りには、ほっそりとした身体つきの数人のボーラン人が介護にあたっている。肌の汗を拭ったり、額に冷たいタオルを載せたり、甲斐甲斐しく世話を続けていた。

 そんな【大校母】を見て、シルバーは、にやりと笑って見せた。


「おれの予想が正しければ、奴らは〝伝説の星〟地球へ向かう行動をとるはずだ! 今度という今度は、絶対に逃さない自信がある。まあ、見てくれ。準備は万全、仕上げをご聾じろ……だ!」

【大校母】は不審気な表情になった。

「なぜ、そのように〝地球〟に固執なさるのです? 妾はフリント教授の発見した惑星の星図があればいいのに……。それに、今度は逃さないと仰っても、以前ミリィという原型の小娘、シュレーディンガー航法というものを使って、あなたの【鉄槌】の追及を躱したそうではありませぬか。また、その航法を使ったら、どうなさいます?」


 シルバーは笑い声を立てた。轟くような、あるいは地の底から響くような低い笑い声。


「心配ない! 今度はミリィの奴、シュレーディンガー航法を使えない訳があるのさ! 第一、【呑竜】は燃料がゼロだ! あいつら、別の宇宙船を利用するしかない」

【大校母】は首を捻った。

「その宇宙船とは?」

 シルバーは頷いた。


「おれの宇宙巡洋艦【弾頭】だ!」

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