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決意

 超空間に【呑竜】は投げ出される。

 目をぎゅっと閉じ、網膜に映る斑模様のような奇妙な眺めだ。じっと見つめていると、魂を飛ばされそうな気分になる。


 モニターにシルバーの宇宙戦艦【鉄槌】の姿が映し出されている。【鉄槌】は急速に遠ざかり、超空間フィールドから離れるにつれ、通常の宇宙空間の眺めが戻ってくる。【鉄槌】の艦影は、通常空間の眺めが戻るとともに消えていく。


 通常空間に転移すると、ミリィは素早く、ヘロヘロに命令する。


「現在位置を教えて!」


 ヘロヘロは素早く船の走査装置を働かせた。

 宇宙空間で現在位置を知るのは、極めて厄介な作業である。特に今のように、超空間からなんの当てもなく通常空間に転移すると、まさしく行き当たりばったりに戻るので、現在位置を知ることが急務となる。


 位置を知るためには、幾つかの標識を使う。

 その中で最も一般的に使用されているのが中性子星──すなわちパルサーである。パルサーの位置と電波の周波数は記録され、船の外部アンテナを使って感知する。電波のドップラー偏移により距離と、方向が決定され、船の現在位置が割り出されるのだ。


「現在位置、銀河の平面第七象限、座標は……」

 ヘロヘロが割り出された数値を読み上げ、モニターの銀河星図に、点滅する輝点として表示させた。

 それによると、銀河系の辺縁星域あたりに出現したようである。

 モニターを見つめたヘロヘロは、憂い顔になった。


「ミリィ……あんまりエネルギーの残量がないよ。超空間ジャンプはあと一回しか余裕が無い! どこかの星を探して、燃料を補給したほうがいい」

 ミリィは唇を噛みしめた。

「判ってる……」

 ヘロヘロの隣で計器を見つめていたパックは叫んだ。

「おい! シルバーの【鉄槌】が戻ってくるぞ! 超空間フィールドの残像が……」

 パックの言葉に、ミリィとヘロヘロはぎくりとなった。

 ヘロヘロはミリィを見つめた。


「ど、どうする、ミリィ?」

「至急、超空間ジャンプをするわ! ヘロヘロ、残っている燃料で到着できる適当な星を見つけて!」

「わ、判った」

 あたふたとヘロヘロは船の記録を調べ始めた。パックもヘロヘロと一緒に、記録を参照し始める。

 ふと顔を上げると、ミリィが奇妙な表情でパックを見つめている。


「?」


 ミリィは、ふと顔を逸らす。そこには重大な決意が……?

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