言葉
「ミリィの反応に変化! 現状認識力が急激に低下! 今です!」
部下からの無線報告がシルバーの体内に仕掛けられている受信装置に入った。
報告にシルバーは動きを止めた。
その瞬間、シルバーは自分のコントロールを再現されたフリント教授の実験室に蹲る、かつての自分のボディにリンクさせた。
それは、パックにとっては、なぜかシルバーが金縛りに会い、動けなくなったように見えた。
シルバーの両目は見開かれているが、何も見ていない。
そろそろとパックは狙いをつけられた銃口から離れていく。なぜだかシルバーは固まったまま動けなくなったみたいだ。
チャンスだ!
パックは走り出した。
振り返ると、シルバーは銃座に銃口を構えたまま、ぴくりとも動かない。
「お嬢……さま……」
ぎりぎりと軋るような声に、ミリィはぎょっと、そちらを見る。
と、ごつごつとした身体つきのロボットの顔が上げられ、その両目に暗く赤い光が灯っている。
「シルバー!」
ロボットの両腕が重々しく上げられた。
「お嬢さま……教えて下さい……フリント教授の研究……〝伝説の星〟の星図は、どこに隠したのか……」
肩に痛みに似た感覚を覚え、ミリィは老人に振り返る。老人はひた、とミリィを見上げ、必死の形相で迫っている。
「ミリィ……教えるのだ……! さあ、どこに星図を隠したのか……わしの研究を、どこに隠したのか……教えてくれ!」
ずりっ、とロボットはミリィに近づいた。思うように動けないのか、ぎこちない。
「教えて……下さい……! 星図の隠し場所を……!」
「ミリィ!」「お嬢さま……!」
ロボットと老人に同時に迫られ、ミリィは両耳を塞ぎ叫んだ。
「やめて! やめて! あたし、何も知らない!」
老人の顔が意外な近さにあった。ミリィそっくりの灰緑色の瞳が近々と迫っている。
「いーや、お前は知っている……〝伝説の星〟の場所を指し示す星図の隠し場所を……さあ、言うのだ!」
ミリィは、きいきい声を上げていた。
「で、伝説の星……伝説の星の場所……」
「そうだ、ミリィ。伝説の星の場所だ!」
「星図は……星図を隠したのは……!」
ミリィは、ある言葉を言いかけた。
その時。
「ミリィ!」
はっ、とミリィは声の方向を見た。
「ヘロヘロ!」
二本足のロボットが駆け寄ってくる。その背後には、パックが。
「小僧!」
シルバーは怒号していた。




