表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/127

計画

「ねえ、どっちへ行くんだい? パック」


 ヘロヘロに促され、パックは弱りきった。


 ガラクタ倉庫を脱出したときは、それから先の予定など、まるで頭に存在しなかった。ただ、閉じ込められるのが厭で、脱出したのだ。

 さて、いざ自由になってみると、さっぱり先の計画は考えてなかった間抜けさに、我ながら気付いた。


「うるさいなあ……今、考えているところなんだ……」

「パック。ちゃんと先の行動を頭に入れていなかったのかい?」

 いかにも呆れた、というようにヘロヘロは呟いた。

「ちぇっ!」とパックは舌打ちした。ロボットに呆れられたら、世話はない。


 ヘロヘロは分別臭く忠告した。


「一つ。この戦艦【鉄槌】から逃げ出すには【呑竜】に乗り込むしか手がない。しかし【呑竜】にはミリィが防護装置を施している。その防護装置を解除できるのはミリィだけである。二つ。従って、まず最初にすることは、ミリィを見つけて【呑竜】に戻ることである! どうだい、この計画?」


 得々と説明するヘロヘロに、パックは苦りきった。


「はいはい! お前の計画、その通りで御座いますよーだ! ちぇっ! そんなこと、おれだって考え付いたはずだよ」

「はて、どうだかね」

 ヘロヘロは、にやにや笑った。

 かっとなったパックは、ヘロヘロに向かって、ぐい、と顔を突き出した。

「だったら、どうやってミリィを見つけるんだよ?」

「うふっ!」ヘロヘロは得意そうな表情を浮かべる。「何も知らないんだね」と言いたそうに、上目遣いになった。

「ミリィの居場所は、ちゃーん、と判ってるんだ。僕はミリィの発信するビーコンを受信できるからね。ミリィには生きている限り、僕だけが受信できる周波数の発信装置を持っているからな」


「それを先に言えよ!」


 パックは叫んだ。ヘロヘロは慌ててパックの口を塞ぐ。


「パック! 声が高いよ!」

「うぐっ!」とパックは声を呑みこんだ。小声で囁く。

「それで……今も居場所は判っているのか?」

 ヘロヘロも小声で返した。

「もちろんさ! こっちの方角が、強く感じる」


 ちょこちょことヘロヘロはパックの側をすり抜け、二股になった換気ダクトの内部を歩いていく。パックはヘロヘロの後に続いて、ごそごそと四つん這いを続けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ