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死刑宣告!

 しずしずと格納庫の床に着地する。当然のことながら、重力発生装置のおかげで、ちゃんと上下の感覚がある。


 ずらりと居並んでいる戦闘員を見て、パックは合点した。


 成る程、目の前に武器を構えている連中は、どう見ても正規の戦闘員には見えない。だらしない服装で、手にした武器の構えもなげやりだ。中には煙草を吹かしているやつもいるくらいだ。

 その中に、銀色に輝く皮膚をしたシルバーの姿がある。シルバーは【呑竜】の船窓を覗き込んでいるミリィを見つけ、驚きの表情を浮かべた。

 が、すぐにやりと笑いを浮かべる。口許が動いた。


「ミリィさん、お久しぶりですな!」

 シルバーの声が船内スピーカーから聞こえてくる。

 どうやって通信しているのだろう、とパックは不思議に思った。シルバーはそういった通信装置を何も持っていない。

「あんたは久しぶりでも、あたしには、ついさっきのことに思えるわ。なにしろ停滞フィールドで固まっていたから」

 ミリィが答えると、シルバーは何度も頷いた。

「成る程、成る程、それは失礼しました。ともかく、こうしてお目にかかれ、嬉しい限りで御座いますな。さ、こちらへお出でを願いますかな。格納庫はちゃんと空気も御座いますよ」

「出たくない、と言ったらどうするの?」

 シルバーは大げさに肩を竦めた。

「さあ、どうなりますことやら……。その場合、無理矢理にも押し入ることになります。わたしとしては【呑竜】に髪の毛一本ほどの傷もつけたくないのですよ。そんな哀しいこと、わたくしにさせないで下さいよ」

 最後は哀願するような調子になった。


 二人の遣り取りを、パックは奇妙に思った。

 この二人、古くからの知り合いらしいが、シルバーはまるでお姫様に対するような態度で終始、ミリィに接している。

 ミリィはぐい、と顔を上げた。

「しかたないわね。ともかく出るから、そこらにいるガラクタどもを、どけなさい!」

 ミリィに「ガラクタ」呼ばわりされた手下は、シルバーの合図でさっと後ろに下がる。


 ミリィはパックを見た。

「あんたも出るのよ。悪いけど、あんたも一蓮托生ってことで、諦めて頂戴」

 パックは首を竦めた。

「しかたねえ……。何がどうなっているか皆目だが、付き合うよ」

 二人はエア・ロックへ向かった。


 ミリィは途中で振り返り、ぼけっと突っ立っているヘロヘロに叫んだ。

「ヘロヘロ! あんたも来るのよ!」

 ヘロヘロは、ぴょん、と一飛びすると、ぱたぱたと足音を立ててミリィの背後につき従った。

「ご、御免……つい、ぼんやりしてた」


 二人と一台のロボットは、エア・ロックから船外へ足を踏み出した。

 シルバーが満面の笑みを浮かべ、ミリィを待ち受けていた。

 どっしりとした身体つき、身長はパックに比べ、頭二つ分は超えている。体重は四倍はありそうだ。いや、どう見ても金属製だから、十倍にはなるのか?


 シルバーはじろりとパックを睨んだ。

「その小僧は殺せ! 部外者だ!」

 さっと周りの戦闘員がパックに向け、武器の狙いをつけた。


 パックの心臓が凍りつく!

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