表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/127

光線銃

 最初に見たときと同じく、女の子の立像はぴくりとも動かない。

 ヘロヘロは自分の頭から伸びているホイップ・アンテナをミリィに向けた。


「僕がミリィの停滞フィールドの解除スイッチになっているんだ……」

 ヘロヘロのホイップ・アンテナの先端がミリィに触れた。アンテナの先端に灯っている明かりがひときわ強く輝く。


 ふっ、と少女の立像が動いた!


 途端に「はっくしょん!」とミリィは大きくくしゃみをする。身動きすると、それまで積もっていた埃が舞い上がる。この埃が鼻に入ったのだろう。


 目に埃が入ったのか、しきりと瞬きをし、両手で目を擦っている。


「ああ、もう! なによ、これは……。ひっどい埃……」

 ようやく目が開くようになって、ミリィは目の前に立っているパックに気付いた。

「誰、あんた」

 表情が険悪になる。さっと身構え、いつでも攻撃に移る姿勢になった。


 それまでパックは気がついていなかったが、ミリィは銃を携行していた。まるで手品のように、ミリィは手に光線銃のようなものを握っていた。銃の先端がパックの胸に狙いをつけている。


 思わずパックは両手を挙げた。


「よ、よせよ! そんな物騒なもの、振り回すない!」

「あたしの船に何の用?」

「おれの船でもあるんだぜ」

 パックの言葉にミリィは「へっ?」と、ぽかんとした表情になる。

「ちょっと待ってくれよ、ミリィ。穏便に行こうよ……」


 ヘロヘロがしゃしゃり出た。


「ヘロヘロ! あんたまで! ということは……あっ、あたし停滞フィールド……」

 呟き、目を細めた。ヘロヘロを見て叫ぶ。

「いったい何年、あれから経っているの!」

 一瞬にして状況を理解するとは、大した女の子だ、とパックは感心する。

「百年くらい……」

 ヘロヘロの言葉に、ミリィは衝撃を受けた様子だった。手にした銃がだらりと下がる。銃の狙いが逸れて、パックは内心ほっと安堵の溜息をついた。


「百年……」


 手を髪にやり、くしゃくしゃと掻き回す。

 パックは声を掛けた。

「え、ええと……いいかな?」

 挙げている両手を下げる素振り。


 さっとミリィは銃を持ち上げた。


「そのままよ! 動かないで!」

 パックは、ぴん、と両手を垂直に差し上げる。


 ミリィの勢いにつられ、ヘロヘロも両手を挙げようとする。だが、二本の腕兼用足を上げたので、ころんと無様に引っくり返ってしまった。


 どすん! 船体が震えた。


「何、あれは?」

「この船はシルバーって奴の【鉄槌】って戦艦に掴まったのさ。今、牽引ビームで引っ張られている」

「なんですってえ!」

 パックの説明にミリィは悲鳴に近い叫び声を上げた。


 見る見る顔が真赤になり、銃をホルスターに納めると、脱兎のごとく操縦室へ駆け込んでいく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ