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ブーツ

 ぼろぼろと巨体の後ろから赤ん坊を吐き出しながら、【大校母】はえっちらおっちらと重い身体を運んでいく。


 エア・ロックから操舵室へ直行する船内エレベーターに潜り込む。エレベーターのコンピューターに「操舵室へ!」と叫ぶと、重力コントロールにより、エレベーターは動き出した。

 漸く【弾頭】の操舵室へ侵入した。


 のそりと【大校母】が這いこむと、原型の娘が気付き、弾かれたように立ち上がる。


「あんた、だれ?」

「あたしは宙森の【大校母】。この巡洋艦を頂くよ! さあ、操縦席に座りな!」

 すっかり【大校母】の口調は、宇宙海賊の姐御のような、伝法なものに変わっていた。いや、お里に戻ったというべきか。手には剣呑な輝きを放つ銃を握っている。


 おろおろと原型の娘は助けを呼ぶように、視線を目ま狂おしくさ迷わせる。しかし助けなど、来るはずもない!


「さあ! あたいの言うとおり、ジェネレーターの前に座るんだ!」


 ぐい、と銃を振ると、原型の娘はよろよろと後じさり後ろ手で操縦席を探る。

 と、娘の厚底のブーツがかくん、と横になった。まるで実用的でない、厚底のため、転んだのだ。

 一声「きゃあっ!」と悲鳴を上げ、原型の娘は横倒しになりそうな体を支えるため、コンソールに手をついた。瞬間、指先が一つのボタンを押していた!


 ぱぱぱぱぱっ! と、操縦室全体のコンソールに、いきなり灯が点る。ひゅうーん……と、エンジンに火が入り、巡洋艦は誰にも操縦されることなく、格納庫から浮き上がる。


「なんだいっ! 自動操縦なのかい?」

 だしぬけの出来事に【大校母】はうろたえていた。巡洋艦は格納庫を脱け出、ぐんぐんと加速していく。航法モニターに、遠ざかる宙森が見えていた。

「どこへ向かっているんだ? 教えなっ!」

「し、知らないわ……てっきり、自爆ボタンだと思っていたのに……」

 真っ青な顔で娘は答える。

「自爆ボタンだってえ?」


 言い合いしている間にも、【弾頭】は加速を続け、遂に亜光速に達した。超空間が開く!

【弾頭】は超光速ジェネレーターを起動させていたのである。シルバーがセッティングしたとき、アルニの指がボタンを押すと同時に、超空間ジェネレーターを起動させるよう、回路を組み上げていたのだ。


 こうして【弾頭】が向かったのは……。

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