出発
シルバーはじっとミリィの目を見つめた。見返したミリィの目が瞠られる。
「本気なのね……」
シルバーは無言で頷き、大声を張り上げる。
「さあ! おれの戦いに参加するのか、しないのか? これは本当の戦いだ。ただ面白半分で従いてこられては、迷惑だ!」
パックは笑い返した。
「おれも戦う! おれたち原型を滅ぼそうなんて、絶対に許せねえ!」
ミリィも頷いた。
「あたしだって……。お祖父ちゃんのためにも!」
ヘロヘロは軽く首を振った。
「やーれ、やれ! こんなことになるんじゃないかと思ってた!」
ガラスの管理人は一歩、前へ出た。
「わたしも参加させて頂きます。お役に立てるかどうか判りませんが、フリント教授の計画を進めるためです」
そこでアルニが呆然と呟いた。
「あんたら正気じゃないわ! 宇宙戦争よ! 死ぬかもしれないのよ!」
全員の注目を浴び、アルニは「やだ!」とばかりに軽く拳を握って口許に持っていく。ひくひくと唇が笑いの形を作りそうになるが、それは泣き顔にしか見えない。
シルバーは静かに話し掛けた。
「逃げてもいいのだぞ。お前の言うとおり、死ぬかもしれない戦いなのだ」
アルニは、どっかりと、その場に座り込んだ。
「へっ! こうなったら、どうにでもなれだわよ! いいわよ、あんたがどんな戦いをするか、見せてもらうわよ!」
腕組みをして、シルバーを見上げる。
ぼりぼりとシルバーは頭を掻いた。
「なんだ、同行するのか。てっきり降りると思っていたぞ」
「迷惑?」
アルニは挑戦するような目つきになる。シルバーは両手を上げた。
「判った、判った! ともかく、出発だ! お前たち……」
と、パックとミリィを見た。パックたちは「よしきた!」とばかりに操縦席に座る。シルバーは大股に艦長席に座ると、号令するように手を挙げ、スクリーンの表示を指し示す。
スクリーンには宙森が映し出されている。
「出発だ!」
「了解! エンジン始動!」
パックは操縦桿を握った。