表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Grapefruit moon  グレープフルーツムーン  作者: 青紙 椿
第2章 チェロキーサンセットの葉
8/16

 松下 彩葉さんのPressure Drop




 私の家の隣には菜絵ちゃんという名の綺麗なお姉さんがいる。

 気立の良いという言葉は 菜絵ちゃんの為にあるんだと思うほどだ。


 そんな菜絵ちゃんのおうちに男の子が住むらしい。

 おじさんのお兄さんの子供で、菜絵ちゃんとは従姉弟になるみたい。

 その関係か、上篠さんの家は色々と忙しそうにしている。

 

 ちなみに私も受験生だったので、忙しい人の一員だったんだよ。

 しかも、私が受験した高校は県下でも有名な進学校、緑嵐りょくらん高校なんですよ。


『菜絵ちゃんが行ったんだから、彩葉も緑嵐に行きなさい』

 ママの一言で、私の人生設計が決まってしまった訳なのよ…。

 本当、うんざりだわ…。


 一応、頑張った甲斐があって、模試では余裕の合格圏内になったけど、私は未だに心配で眠れない時もある。


 そんな時に入ったお隣さん情報。

 菜絵ちゃんのお家に来る男の子、実はフランスに住んでいて、日本語をうまく話せないのに、緑嵐を受験したらしい。

 緑嵐にはフランスに分校があって、同じ日が受験日だったと言う。


 これは一大事ですよ。

 菜絵ちゃんと一緒に通学計画が、破棄される予感しかしない…。


 とにかく今は待つしかないよね…。



 そして、合格発表の日。

 私は難なく合格を果たしたのさ。問題は菜絵ちゃんのお家に来る男だ!


 どうなんだい?

 結果はどうなんだい?

 誰か教えておくれよ…。


 そして私は塾にも報告をするため、緑嵐高校から塾へと向かっていた。

 すると、バスを降りると同時にパパから電話が入った。

「もしもし?」

「彩葉、合格おめでとう!」

「うん、ありがとう」

「上篠さんのところに来る子も、合格したらしいぞ」

「グヴァ!?」

「ど、どうした彩葉!?」

「な、何でもない」

「フランスは日本よりも時差で早いからな。夜中に連絡が来たみたいだ」

「そうなんだ…。」


 最悪なんですけど…。


 菜絵ちゃんと同じ高校は嬉しいけど…。

 クッソムカつく男だな!!

 

 


 そして入学式、当日。


 あっ菜絵ちゃん発見!

 って何?

 誰?

 男?

 え?

 可愛いんだけど?

 嘘でしょ?


 アレが菜絵ちゃんのお家にいる男の子なの?

 無理じゃん…。

 私じゃあの子に勝てないじゃん!

 私のお姉ちゃんだったのに…。


 


 その後、私は塞ぎ込んでしまった…。

 

 私って菜絵ちゃんのことが大好きだったんだ…。


 悔しいけど、どうにも出来ないや…。


 そんな事を考える毎日に、嵐が突然やってきた。


 菜絵ちゃんの弟が…上篠 瞬が私に話しかけてこようとしている。

 しかも菜絵ちゃんと同時にだ!

 私がいつも本を読んでいるからって、お勧めの本を聞こうとしている。

 顔は良くても中身は大馬鹿者だ!


 しかも一緒に帰ろうって? 本物の馬鹿で世間知らずだ!


 しかしだ…。

 問題はここからだ…。


 帰り道で、あの馬鹿は私に綺麗だと言った。

 お前の方が、クラスの女子に人気がある、綺麗な顔立ちじゃないか!

 嫌味を言っているのか?


 そして私の肩だけではなく、私のアゴにそっと触れて…。

 前髪を優しくかき分けてくれて…。

 

 そんな行為をした後に、私の目を見て『素敵です』なんて言うんじゃないわよ!


 しかも…。

 私の手を握って走るなんて…。

 私の肩をギュッて抱いて写真を撮って…。


 もう!

 最低な男だわ!




 本当にイヤ!


 もう、大好き…。


 

 


 


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ