Spadille
入学式から2週間が経過した頃…。
授業が通常どうりに始まりました。 が、俺は相変わらず現国の苦手な人なんです。
困りましたです…。
先生はいつも俺に質問をしてきます。
俺はいつも間違えますが、先生は俺の答えた後に、「少しづつわかるようになってきたな。」と言ってくれるgentil garçonです。(ナイスガイの意。)
ある日の4時限目。
それは現国の授業中でした。
「上篠。今の質問はわかるか?」
わお!
当てられましたです。
夏目漱石の こころ 。
先生と一人称 私 という主人公の気持ち…。
「私って男は、先生と呼ばれる男に甘ったれているです。もっと、こぅシャキッとするべきです!」
俺の答えにクラスが笑い出す。
「上篠の言いたいことはわかった。確かに間違っちゃいないが、試験ではバツだ。」
「あぁん。残念です…」
「まあ、今みたいに感想を俺にぶつけて来い」
「先生、ありがとうです」
「それじゃ、誰か答えられる人はいるかー?」
うーん。
今回も上手く答えられませんでした。
現国は苦手です。
そういえば、あの窓の所の女子がいつも本を読んでいますね。
後でお勧めの本を聞いてみるです!
俺もたくさん本を読めば、現国がバリバリ伝説です。
その日の昼休み。
「井上さん、質問です」
「受け付けます、何ですか? 上篠君」
「窓の所の席の、本を読んでいる女子の名前を教えてください」
「松下 彩葉さんのことかな? ははーん。さてはいつも本を読んでいるから、お勧めの本を聞こうと思っていますね?」
「井上さん、超人か!?」
「えー、何それ。そこはエスパーか!? でしょ? 私も小説はたくさん読んでいるんだけどなぁ。まあいっか。松下さん、いつも一人でいるから話しかけてあげてよ」
「うん、ありがとうです」
井上さんから聞きましたが、確かにいつも一人ですね。
どうやって話しかけようかですね…。
ここは、抜き足・差し足・忍足で行くです。
松下さんまであと1メートルのところまで来た時、クラスの入り口から俺の名前が呼ばれた。
「瞬くーん!」
わお! 菜絵姉さんです…。
皆、一斉に声のする方を見る。
松下さんも振り返り、俺と目が合う。
「上篠君? お姉さんに呼ばれているよ?」
「えっと。うん。松下さんに質問です」
「コラー! 瞬君、無視するなー!」
「あの、お姉さんがこっちに来るよ?」
もう、菜絵姉さん…。
「あの放課後、本が買いたいです」
「ちょっと瞬君!?」
「お勧めの本が知りたいです」
「ねえ、瞬君!」
「松下さんの…」
「あれ? 彩葉ちゃん? 彩葉ちゃんも同じ学校だったの?」
これはどういうことですか?
「菜絵姉さんも知り合い?」
「あーそっかー。挨拶に行った時、彩葉ちゃんは塾でいなかったんだよね。松下 彩葉ちゃんは上篠家のお隣さんだよ」
「わお! これはありがたいです! それでは今日は一緒に帰りませんか? そしてお勧めの本を教えてください」
「……はい……」
元気がないですね。
「それでは今日の放課後はよろしくです」
「……はい……」
「ところで菜絵姉さんは何か御用ですか?」
「シャー芯ちょーだい!」
「え?」
「シャー芯!」
「うん…」
姉さん。それくらい、クラスでもらってくださいよ…。
「あっ! 瞬くん、私も一緒に帰るからねぇー!」
「うん」
何だろ、菜絵姉さん怒っているですか?




