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Grapefruit moon  グレープフルーツムーン  作者: 青紙 椿
第1章 濫觴
5/16

番外編 風見 美穂の消失w

 


 上篠かみしの君の試験が終わり、私は彼を連れ、校内の案内を始めた。



「上篠君、お腹はすいていない?」

「はい、すいたです」

 

 言いかたぁー!

 タラちゃんかよ!? 可愛すぎだろぉー!


「じゃ、じゃあ。学食…。先に食堂に行こうか?」

「はい。お願いします」


 なんか、今の返しは普通じゃん…。残念…。



 学食に向かうため、階段に差しかかる。

 すると、上篠君はサッと階段を一段下り、私に右手を差し出した。


 これは!?

 もしかして、彼のその手に、私の手を添えろと言う事ですかい!?

 

「ありがとう。」

「Ne pas tomber.」

「ぬぱとんび?」

「あぅ。ごめんなさい。ヌパトンビールは転びませんようにです。俺の手をどうぞです」

「嬉しい」


 三階から一階まで、私は上篠君と手を繋いじゃいました。

 あーん、もう離したくないんだけど!



 そして学食に到着する。

 1時を過ぎたおかげか、生徒はまばらだった。


「ガッツリ食べるならコッチで、軽食だったら購買にオニギリやパンがあるわよ? 上篠君はどう?」

「ガッツリって何ですか?」


 上篠君の困った顔を頂きましたぁー!


「あのね、ガッツリはたくさん食べることよ」

「そうでしたか。ありがとうございます。俺はプチ デジュネとデジュネはたくさん食べません」

「あ、ゴメン。わからない…。」

「えっと…。モーニング? とランチは少しです」

「ああ、デジュネね。上篠君は発音が良過ぎてわからなかった。それじゃ、購買に行こうか」


 私たちは購買でパンを買い、座席に着いた。

 まばらに居る運動部の生徒たちがこちらを見ている。

 きっと、私といるこの子の事が気になっているのだろう。

 ふっふっふ。どうだ女子ども、羨ましいだろ。

 

 そんな事はさておき、この子の食べ方って上品だな…。

 背もたれに背中をつけず、背筋を伸ばしちゃって。

 しかも両手でメロンパンを持つなんて、萌えキャラすぎだろ!

 フランスでは貴族だったのかな?

 てか、今でも爵位ってあるのかな?

 てかてか、チラチラこっちを見る仕草が本当に可愛いんだけど!


「あの。美穂先輩」

「ん? 何かな?」

「たくさん見られると、恥ずかしいです…」


 ズキューン!

 来たぁー!

 照れ顔、頂きましたぁー!


「ご、ごめんね。着ている服が素敵だったから、どこで買ったのかなって?」

「そうでしたか。この服は本当のお母さんの弟の子供の物を貰いました。多分、街の方で買ったと思います」

「え? 本当のお母さん?」

「えっと。本当のお母さんは何処にいるかわかりません。今はお父さんの弟の奥さんが俺のお母さんです」


 これは聞いちゃいけないことを聞いちゃったな…。

 浮かれ過ぎてた…。

「ごめんなさい。私…」

 

「大丈夫です。お父さんが死んじゃったけど、今はお父さんの弟の俊朗さんがお父さんです。菜絵さんは俺のお姉ちゃんです。俺はみんな大好きです」


 なんて優しい子なのかしら…。

 私はその話を聞き、目頭が熱くなってしまった。


「ああ。あとですね、美穂先輩も大好きですよ?」


「なんと!?」

 私は椅子ごと後ろに倒れそうになり、危ういところで立ち上がった。


「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫デース」


 いや、大丈夫じゃねーですよ。

 ヤバいなこの子。

 破壊力あり過ぎだな…。


 どうしよう…。

 

 私の中の何かが、失われつつある…。


 





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