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Grapefruit moon  グレープフルーツムーン  作者: 青紙 椿
第4章 そして僕は途方にくれる
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 月曜日の朝。

 学校へ向かう通学路。菜絵(なえ)姉さんが彩葉(いろは)さんと難しい話をしています。

 どうやら俺の事をお話しているようです。


「ノエくん。カラオケに行った時にビノシュさんに会ったんでしょ?」

「はい。クロエたちは生徒会の人達と来ていたようです」

「何で私に言わないの? 美穂(みほ)から聞くまで知らなかったんだけど?」

「会ったのは最初の受付の時だけです。俺が女性に絡まれている所をクロエが助けてくれたのです。これはとても珍しい事です」


「珍しいんだ…。」

 彩葉さんが小さな声で言ってます。何ででしょうか?


「ちょっと待って! 絡まれたって? 大丈夫だった?」

「大丈夫でしたよ?」

「本当に? ラインの交換とかしてない? 連絡先とか教えてない?」

「はい。クロエが助けてくれましたから。これは本当に珍しい事です」


「二回も言うって事は本当に珍しいんだね…」

 彩葉さん? 何で小声なんですか?


「ところで彩葉さん? 今日は21日です。髪を結ばないといけませんよ?」


 彩葉さんは慌てたように鞄からコームとヘアゴムを取り出した。


「あぁ、やばい…。忘れていた…。ガチやばい…」


 校門の手前、約200m。

 そうそう。これは余談ですが、フランスもメートル法です。

 日曜日にお母さんが、テレビボードの寸法を測っていた時に、『フランスはマイル? ヤード?』と聞かれたのです。

 ヨーロッパのほとんどの国は SI法 によりメートルでーす。

 アメリカはフランスが嫌いみたいなので、(かたく)なにヤードやフィート、ガロンやポンドを使うんでしょうね。

 

「彩葉さん、コームを貸してください。俺がやりますよ?」

「えっ?」


 驚く彩葉さんを尻目(しりめ)に俺は彩葉さんからコームを取り上げたです。


「ちょっと彩葉ちゃんだけズルい!」


 菜絵姉さんはそう言って、自らのヘアゴムを外してしまいました。


「はい、できたですよ。とてもキュートですね」

「あ、うん。ありがとう…」


 彩葉さんはそう言って、猛スピードで走っていいってしまいました。


「ノエくん次は私ね」


 そう言って俺にコームとヘアゴムを渡す菜絵姉さん…。


「素敵に結んでました。何で取っちゃうですか…」

「ノエくん上手だから、これから毎朝お願いね?」

「もう…。わかりましたです…」


 俺たちの横を通り過ぎる人たちが、生ぬるい目で見ています。

 恥ずかしいです…。




      * * *




 教室に入り、返せていなかった彩葉さんのコームを返します。


「彩葉さん、忘れ物ですよ」

 驚いた顔をする彩葉さん。


「しゅ、(しゅん)くん。教室では…」


 わお!? そうでした! 学校では松下さんでした。



「は? 何で? 何で松下さんが瞬のこと名前呼び? つーか、何で二人して名前呼び? そのコームってどこに忘れたん?」


 クニちゃんが驚いてますね。何ででしょうか?

「クニちゃん、名前呼びはお隣同士だからですよ? コームは校門の手前、200m位のところです」

「なーんだ、そうですか」

「はい、そうです」

 

 俺が席に着くと、拓人たくとも話しかけてきた。


「おはよう瞬。どうしたの?」

「おはよう拓人。松下さんにコームを渡したのです」


「ねね上篠くん。今のは松下さんが可哀想だよ。」

「おはようです、井上さん。何がですか?」

「いいから、了解です亜希子ちゃんって言って。早く!」

「り、了解です、亜希子ちゃん」

 

 俺がそう言うと、皆さんが俺を一斉に見たです。


「本当、頼むよ瞬くん。それじゃまた後でね」


 そう言って、井上さんは向こうを向いてしまいました。


「井上って、すごいな…」

「すみません拓人。意味がわからないです…」

「瞬…。お前、女子に人気がある自覚を持っているのか?」

「そうなんですか!?」

 

 わお! 大声を出してしまいました。


「バカ! 声がでけーよ!」

「そうなんですか?」

「さっきの状態だと、松下さんが女子に責められるから、井上が私も名前呼びしているよってアピールをしたんだろ?」

「そうだったんですね。拓人もいい人です」


 そして俺は井上さんに言うです。


「亜希子ちゃんありがとうです」

「気にしないで。てか、そっち向けないんだけど…」



「うわ!? アッキー、どした? カオ真っ赤!」








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