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月曜日の朝。
学校へ向かう通学路。菜絵姉さんが彩葉さんと難しい話をしています。
どうやら俺の事をお話しているようです。
「ノエくん。カラオケに行った時にビノシュさんに会ったんでしょ?」
「はい。クロエたちは生徒会の人達と来ていたようです」
「何で私に言わないの? 美穂から聞くまで知らなかったんだけど?」
「会ったのは最初の受付の時だけです。俺が女性に絡まれている所をクロエが助けてくれたのです。これはとても珍しい事です」
「珍しいんだ…。」
彩葉さんが小さな声で言ってます。何ででしょうか?
「ちょっと待って! 絡まれたって? 大丈夫だった?」
「大丈夫でしたよ?」
「本当に? ラインの交換とかしてない? 連絡先とか教えてない?」
「はい。クロエが助けてくれましたから。これは本当に珍しい事です」
「二回も言うって事は本当に珍しいんだね…」
彩葉さん? 何で小声なんですか?
「ところで彩葉さん? 今日は21日です。髪を結ばないといけませんよ?」
彩葉さんは慌てたように鞄からコームとヘアゴムを取り出した。
「あぁ、やばい…。忘れていた…。ガチやばい…」
校門の手前、約200m。
そうそう。これは余談ですが、フランスもメートル法です。
日曜日にお母さんが、テレビボードの寸法を測っていた時に、『フランスはマイル? ヤード?』と聞かれたのです。
ヨーロッパのほとんどの国は SI法 によりメートルでーす。
アメリカはフランスが嫌いみたいなので、頑なにヤードやフィート、ガロンやポンドを使うんでしょうね。
「彩葉さん、コームを貸してください。俺がやりますよ?」
「えっ?」
驚く彩葉さんを尻目に俺は彩葉さんからコームを取り上げたです。
「ちょっと彩葉ちゃんだけズルい!」
菜絵姉さんはそう言って、自らのヘアゴムを外してしまいました。
「はい、できたですよ。とてもキュートですね」
「あ、うん。ありがとう…」
彩葉さんはそう言って、猛スピードで走っていいってしまいました。
「ノエくん次は私ね」
そう言って俺にコームとヘアゴムを渡す菜絵姉さん…。
「素敵に結んでました。何で取っちゃうですか…」
「ノエくん上手だから、これから毎朝お願いね?」
「もう…。わかりましたです…」
俺たちの横を通り過ぎる人たちが、生ぬるい目で見ています。
恥ずかしいです…。
* * *
教室に入り、返せていなかった彩葉さんのコームを返します。
「彩葉さん、忘れ物ですよ」
驚いた顔をする彩葉さん。
「しゅ、瞬くん。教室では…」
わお!? そうでした! 学校では松下さんでした。
「は? 何で? 何で松下さんが瞬のこと名前呼び? つーか、何で二人して名前呼び? そのコームってどこに忘れたん?」
クニちゃんが驚いてますね。何ででしょうか?
「クニちゃん、名前呼びはお隣同士だからですよ? コームは校門の手前、200m位のところです」
「なーんだ、そうですか」
「はい、そうです」
俺が席に着くと、拓人も話しかけてきた。
「おはよう瞬。どうしたの?」
「おはよう拓人。松下さんにコームを渡したのです」
「ねね上篠くん。今のは松下さんが可哀想だよ。」
「おはようです、井上さん。何がですか?」
「いいから、了解です亜希子ちゃんって言って。早く!」
「り、了解です、亜希子ちゃん」
俺がそう言うと、皆さんが俺を一斉に見たです。
「本当、頼むよ瞬くん。それじゃまた後でね」
そう言って、井上さんは向こうを向いてしまいました。
「井上って、すごいな…」
「すみません拓人。意味がわからないです…」
「瞬…。お前、女子に人気がある自覚を持っているのか?」
「そうなんですか!?」
わお! 大声を出してしまいました。
「バカ! 声がでけーよ!」
「そうなんですか?」
「さっきの状態だと、松下さんが女子に責められるから、井上が私も名前呼びしているよってアピールをしたんだろ?」
「そうだったんですね。拓人もいい人です」
そして俺は井上さんに言うです。
「亜希子ちゃんありがとうです」
「気にしないで。てか、そっち向けないんだけど…」
「うわ!? アッキー、どした? カオ真っ赤!」




