番外編 風見 美穂の消失w w w
今日は交換留学生が初登校する日。
と言っても、二日前に一度顔合わせはしている。
彼女達は教員の住むアパートで、他の留学生と共に暮らしている。部屋は個人で一部屋、のびのびと暮らせる環境だと思う。
私の家は父さんがうるさいので、羨ましくも感じる。が、洗濯や食事の用意のことを考えると、一人暮らしは敬遠したいのが心境だったりして。
今年の留学生だけど、男女一名づつ。学年は2年生。私は女子の担当となった。
クロエ・ビノシュさん。
これがとても綺麗な女性でして。去年来ていた人も綺麗だったけど、フランス人の女性ってのはみんな綺麗なんかい?
男子の方はイケメンなんだろうけど、プレイボーイ感が丸出しかな。
やっぱ瞬くんを見ちゃうとね、他の男子はね…。
「ハーイ! 風見さん。オハヨウゴジャイマス」
か、可愛い…。
カミかたが可愛いんですけど…。
「おはよう、ビノシュさん」
「今日からよろしくですね」
「こちらこそよろしくね」
登校時間って、出勤時間ともかぶる訳で、すれ違う人のほとんどはビノシュさんをガン見している。
なんか私ったら、彼女の引き立て役をやってね? と思ってしまうほどだ。
「風見さん。質問です」
「何だろ?」
「ノエ…。上篠 ノエは知り合いですか? あぁっと、カミシノ シュンです」
「知っているわよ。私の友人の弟です」
「ワオ! 風見さんはナエさんのお友達ですか?」
「ええ。小学校からの友人よ」
え?
何で瞬くんを知っているの?
なんか嫌な予感しかしないんだけど…。
「ノエに会いたいです。ナエさんは私からノエを奪った悪い女です」
* * *
その日の昼休み。
「瞬くーん。一緒に食べよう!」
「了解です、菜絵ねえさん」
オイー!
昼は学食に来るなって、伝えましたよねー!?
「あぁノエです! 風見さん! ノエです!」
ビノシュさんはそう言いながら、瞬くんの方へ足早に消えていった。
「Puis-je m'asseoir ici?」
(座ってもいいかしら?)
待てー!
菜絵に怒られそうなんだけど!
「ちょっと、ビノシュさん!」
「早く答えろノエ」
「ク、クロエ? 何でですか?」
えっ? いやだぁ。うろたえた顔の瞬くんカワユス…。
じゃなくて!
「Puis-je m'asseoir ici?」
(座ってもいいかしら?)
「ちょっと、ビノシュさん!」
美穂先輩がクロエの付き添いをしている。
「早く答えろノエ」
「Réponds maintenant.」
(早く答えて)
「Je suis désolé.」
(ごめんなさい)
何を話してんじゃー!
てか、菜絵が来ちゃったんだけど!
「Bonjour, excusez-moi, vous avez pris ma place.」
(こんにちは、そこはワタシの席ですが)
は? 菜絵ってフランス語が話せるんですかい?
「あら、フランス語が上手ですわね。上篠 菜絵さん」
「あら、褒められて嬉しいですわ。クロエ ビノシュさん」
あ…。おわた…。これは後でなんか言われるわ…。
「あのねビノシュさん。今から、ワ・タ・シ・の! 弟と食事をしますの。他の席へ移動していただけませんか?」
「偶然ですわね。こちらとしても、ワ・タ・ク・シ・の! 弟とお話があるのですよ。」
こっわー!
菜絵さんガチですよ…。
「あの、ビノシュさん。まずは座って食べましょうか?」
「そうね。さあノエくん、外野は放っておいて食べちゃおうよ」
「は、はいです」
「風見さん、私たちもここに座り食べましょうか?」
ここかーい!?
ごめん菜絵!
私はビノシュさんに気付かれないように、菜絵に謝る。
拝むようにね…。
「ノエ、いつもそんな物を食べているの? まるでrepas de prisonnierね」
(repas de prisonnier = 囚人食)
「ノエくん。Tu peux ignorer.」
(無視していいよ)
「ねえ風見さん。あの女に酷いこと言われちゃったわ」
知らんがなー!
「ごめんねビノシュさん、私はフランス語が苦手で…。菜絵はなんて言ったの?」
「ふふ…。何だったかしら…」
ふふって…。はたから見たら、ビノシュさんの方が悪い女に見えますわよ?
「ノエくんが食べているメロンパンを囚人食だってバカにしたから、無視していいよ。って言ったの」
何それ?
これってお姉ちゃん対決?
東西お姉ちゃん対決に、私と瞬くんは巻き込まれたの?
てか瞬くん、肩を落として小さくなっているんだけど?
可愛いんですけど!
抱きしめてあげたいんですけどー!
やば…。
今の心の声。
私ってガチでやばいんじゃね…?




