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300字SS

望まれて咲く

作者: こどー

 雨の季節、わたしは一気に背を伸ばす。枝いっぱいに蕾を宿し、甘い香りで道行く人を誘ってはしな垂れる。

 甘い香りは、言葉は、いくらでもまき散らすことができた。だってそのように生まれたのだから、たとえその奥に猛毒が仕込まれていようとも。

 不用意に近づいては甘さに酔い、美しさを称え、けれどいつしか顔を曇らせ、遠ざかってゆく。あるいはわたしの足もとに倒れ、呪詛を吐いて縮こまる。

 ある日、噂を聞きつけたものがわたしを狩りにやってきた。

「かわいそうに。望んで毒を持ったわけでもあるまいに」

 それはわたしを根から掘り出す。

「君にぴったりの土壌をあげる」

 それは素手でわたしの花弁に触れ、優しくなで、薄く微笑んでささやいた。

第9回 毎月300字小説企画、お題は「育つ/育てる」でした。

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