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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

どこまでも残酷になれる気がした。

作者: 崎谷紫

「どうだった?」

こんな真昼間の喫茶店で、女を抱いた感想を聞くのも、

ある意味羞恥心を引き出す倒錯したプレイみたいだ。



自分でも見れない様に、 シーツを掴む


まるで抱いた後の女の仕草其の侭だか、薄いシーツで身体を覆っているだけでも

何物にも変え難い様な、まるでこの無機質が守ってくれるような気がした。



何の言葉も頭に入らない。



必死で土下座をして謝る蒼一の姿は、その時の俺には得体の知れない化け物に見えた。



俺を好きだと、ふざけた事を言ったこいつをぶち壊してやろうと思った。


怒りと男に襲われたという身体の痛みを


俺を滅茶苦茶に抱いた後、勝手に許しを請いながら

オトコしか愛せないと涙しながら告白をしたこいつを壊すには、最適じゃないか?


目の前から消えればいいと思ったが

驚く事に、蒼一は要求を呑んだ。


「それでも...傍にいさせてくれるなら、崎谷の姿が見れるなら...」





何でもするんだろ?


テーブルにぽつぽつと水の粒が落ちる

両手を握り締め震わせながら、俯く蒼一の歯軋りと嗚咽を聞いても何も感じない。


それだけの事を、こいつはしたのだ。

何年にも亘る友情、信頼、今までの全てを裏切った。

...親友だと、そう思っていたのは俺だけだったけれど。



「だったら、次の女紹介してやるよ」


ビクッと大柄な身体を震わせて、おずおずと青褪めた顔を上げる。

――――拒否するなよ?


にやりと、多分今では性質の悪い笑みだろうけど、前から蒼一が好きだといっていた

「笑顔」を見せてやる。


友情は友情でしかなく、真正面から告白されていたら、とか奇麗事は言わないが

まだ違っていたと思う。

そういう意味では、大切だった。

だが、無理矢理「女」にされたというこの何とも言えない喪失感と疵は消えない

こいつは最も最低な事をしたのだ。


万が一かでも在ったかも知れない、差し出されたかもしれない俺からの手を、

こいつは自分から力の差を見せ付けて汚したのだ。

今あるのは憎しみだけ



どこまでも残酷になれる気がした。

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