#8 相談
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(疑いが晴れてよかった。 あのまま話していたらどうなっていたか…… 最悪、攻撃されたりしたかもしれない。 ここは領主邸だしセキュリティとか防衛手段もあるだろう)
「えっとそれで、相談は僕の職業についてです。 話を聞いて思ったこととかはどんどん聞いたり言ってください。 最終的には僕の身の振り方とかの意見を聞けたらいいなと思っているので、そのつもりでお願いします」
「分かった」
「いいわよ」
「おう!」
クラウス、ミリアンヌ、ゲイルの3人はそれぞれ三者三様の返事を返してくれた。
「ありがとうございます。 そういえば、ミリアンヌさんは僕のこと鑑定したそうですけど、どこまで見ることが出来たんですか?」
「レベルとパラメーターは見えたわ。 ただ職業とスキルに関しては何も分からなかった。 恐らく私より高位のスキルを持っているからでしょうね。 私が鑑定出来ない相手なんてそうそういないはずなんだけど」
「そうですか。 早速言うと、僕の主なスキルは3つで、名称は鍛冶師、魔導師、ウェポンマスターと言ってどれもユニーク職業です」
「えっ、魔導師!?」
「はい、魔導師です」
1番の驚きの声を上げたのは魔法使いのミリアンヌだった。
クラウスも声には出さなかったが驚きの表情を見せている。
「魔導師って、そんなにすごいのか?」
「すごいなんてもんじゃないわよ…… 魔法使い系統スキルの最上位、全属性に適正がある者しか発現すらしない伝説のスキルなの。 確か今生きている人の中だと、魔王国トップの魔王と、遥か西の方にある魔導王朝トップのエルフクイーンしか記録上は存在しないはず」
「なんだそれ、めちゃくちゃすごくね?」
「だからすごいって言ってるじゃない…… そりゃあ、私の鑑定魔法なんて効かないわけだわ……」
「簡単に魔法を見せてもらうことはできるか?」
「あ、はい、分かりました」
匠真はまず、手のひらにファイアボールの魔法を小さく発動させた。
それからは火、水、土、風、光、闇のそれぞれのボール魔法を発動させ、クラウスも納得したようだ。
「1つ目からとんでもないな…… それで、残りの2つはなんだ? 聞いたこともないが」
「どちらも僕のユニークスキルで、鍛冶師は素材を使って武器や防具などの色んな道具を作り出すことができるスキルです」
「へぇ? なんか便利そうじゃねぇか」
「どんなものが作れるの?」
「えっと、じゃあ今から作った剣を出しますね?」
匠真はアイテムボックスから自分が作った鉄の剣を取り出し、テーブルの上に置いた。
「んん? 普通の鉄の剣か?」
「特に変わった物ではないな」
「そうね、鑑定してみても耐久力上昇の付与が付いてるけど…… って、ちょっと待って? これ、鉄の剣よね?」
「はい、素材は鉄だけです」
「何で付与できてるの? 鉄なんて普通の素材に効果付与をしたら壊れてしまうはず……」
「僕の鍛冶師のスキルは素材の優劣問わず現状一つ付与ができるみたいです。 僕が製作したもの限定ではありますけど」
「めっちゃすごいじゃねぇか! 強い武器作りたい放題って事だろ?」
「ふむ、だが手間はどれくらいかかるんだ?」
「えっと、口では説明しづらいので、実際にやってみますね?」
匠真は鉄のインゴットをアイテムボックスから取り出し、その場でさっき武器屋で見かけたような形の槍を作ってみた。
さらにそれに効果付与の槌を使って軽量化という付与をしていく。
「出来ました」
「ち、ちょっと待って、色々とおかしかったわよ?」
「こんな早くできるのかよ!」
「これはもう付与もされてるのか?」
「はい、軽量化の付与をしたので、かなり軽くなってると思います」
「どれどれ? おぉ、軽い! これはいいな! ほれ、ミリー持ってみ?」
「あら、本当に軽いわね? 女の私でも振り回せそう」
「……これは凄まじい力だな」
クラウスが顎に指を置いてそう呟く。
「ん? そんな深刻な顔して言うほどか? 確かにすげー力だけども」
「考えてもみろ。 もし、戦争中の国にショーマのような武器の作り手がいたら武器の供給に一切困らない。 それどころか、付与がされた強力な武器を誰でも使えるという事になる」
「あー…… そう考えると確かにやべぇな」
「先に言っておきますが、僕は自分が作った武器を市場に流したりするつもりはないです。 僕のこの力は正直、常識の外にあるっていうのがさっき武器屋に行って色々聞いた時に分かったので」
「真面目なのね? あなたが武器を作って売るだけでたちまち大金持ちよ?」
「そうかもしれませんが、それをする事で元々武器を作ることを生業としていた人たちが迷惑を被ることは目に見えてますから」
「若いのにちゃんと考えられているな。 確かにそれはその通りだ」
(別に頭がいいわけではなくて、ラノベ知識というか、僕が強い力を持ったらこうするっていうのを元々妄想してたりしただけなんだよね……)
「ですのでまぁ、お世話になった人とか身の回りの人に対して作ったりはするかもしれませんが、基本は公にするつもりは無いです」
「そうするといい。 いずれは隠し切れなくなるかもしれないが、少なくとも匠真が大丈夫だと思うまで周りには言わなくていいと思う」
「鍛冶師の方は大体分かったけど、ウェポンマスターってのはなんなんだ?」
「そっちは割と単純な効果で、武具全般の扱いが上手くなるといったものです」
「鍛冶師に比べるとって思っちゃうけど、いろんな武器を作れるショーマにはもってこいのスキルかしら? 状況に応じてどんな武器にでも切り替えられるのはとても強みになるわね」
「ふむ、少なくともショーマが人格のしっかりした人物であることが確認できただけでも良かった。 それさえ大丈夫ならば強い冒険者はこの街にとって歓迎すべき存在だからな」
「お眼鏡に適ったようで良かったです。 それで、今後について色々お聞きしたいんですけど……」
匠真の職業についての話を聞いたクラウス達は、色々と考えているみたいで3人とも黙り込んでいる。
ちょっと不謹慎かもしれないが、匠真はこの状況を嬉しく思っていた。
(どこぞの馬の骨とも分からない僕のことをこんなにも真剣に考えてくれているということだけでも、相談して良かったと思うな)
「……さて、ここまでの話を聞いて、色々と思う事はあったが、ショーマが今後どうするべきかの答えは私の中では一つ出た。 ミリーとゲイルはどうだ? 恐らく私とほとんど同じ考えだとは思うんだが」
「ええ、大丈夫よ」
「ああ、これしかないな」
「よし、ではショーマよ。 こちらの考えを話す前に、お前自身の考えを聞きたい。 具体的に言えとは言わんからお前は今後どうするつもりなのか、もしくはどうしたいか、お前自身の考えがあるなら聞かせてくれないか?」
「そうですね…… 正直、決めかねています。 3人に僕の職業を話してみて、やっぱり僕の力は強力で、使い方によっては誰かを不幸にしてしまう事がこの先あるということを再認識しました」
匠真はそう口に出したが、その目には一切の迷いがなかった。
「ただ、僕自身はこの強い力を、誰かを不幸にするために使うんじゃなく、誰かを、そして何より自分を幸せにするために使います。 この部分だけは誰に何を言われようとも譲るつもりも変えるつもりもありません」
「なるほど、分かった。 その考えを聞いた上で、やはり私達が考えていた方法が一番だと思う」
クラウスはそう言い、話を続けていく。
「ショーマ、お前は今後冒険者として活動し、出来るだけ早くランクを上げろ。 恐らくそれをすることがお前の身の安全を守るという面では一番であると言えるだろう」
(冒険者のランクを上げる? なぜそれが、僕の安全に繋がるのだろうか?)
「どういうことか聞いてもいいですか?」
「もちろんだ。 まず、冒険者のランク上げることでのメリットは発言力と立場が得られるということだ」
「発言力と立場、ですか?」
「そうだ。 ランクを上げるためには実績や実力の両方を兼ね備えていないといけない。 ショーマは実力は恐らく問題ないだろうが、新人だから実績がない。 これからお前は冒険者として依頼をこなし、なるべく早くランクを上げるべきだろう」
(ランクの上げ方は分かったが、やっぱりそれがどうして僕の身を守ることに繋がるんだろう?)
そんな匠真の疑問を読み取ったのか、クラウスが話を続けていく。
「ランクの高い冒険者はとても重宝される。 強く害をなす魔物が出現した際、もちろん国の騎士団なども動くが、人手が足りない時は冒険者ギルドに依頼という形で要請が来る事が多くあるが、その時にランクの高い冒険者に直接依頼を出せば、犠牲者や金銭面の問題が出なくて済む」
(確かに、騎士団とかを動かすってなると、結構お金がかかりそうだな……)
「過去には国の危機となった魔物を討伐し、貴族位をもらった冒険者もいる。 だから、ランクが高く、実力のある冒険者はそこらの貴族より発言力が高くなったりする事もあるし、身分も保証されるから、悪いようにはされないだろう。 うっかり怒らせて、その力を国に向けられたら甚大な被害が出るだろうからな」
「クラウスさん達はかなり上のランクなんですよね?」
「まぁ、そうだな。 私は金ランク、ミリーとゲイルは銀、もう一人のメンバーのマイヤは赤ランクだな。 この辺りのランクについての詳しい話はギルドで聞いてくれ。 その方が具体的に教えてくれるだろう」
「分かりました。 恐らく明日、ギルドに行ってリムさんと話すことになると思うので、その時に色々聞いてみます」
「そうするのがいいだろう」
(リムさんに色々聞きに行くと言ったし、大丈夫だろう)
「なぁ、リーダー? ギルドにはショーマのこと言わなくていいのか?」
「む、どういうことだ、ゲイル?」
「今は新人だからあんま目立たないかもしれんが、ランクが上がるにつれて嫌でも目立っていくだろ? その時にギルドがショーマの力を認識してないってのは色々まずいんじゃないか?」
「ふむ…… 確かにそうかもしれないな」
「だろ?」
(確かに、自分が管理してる団体の中に実力はあるけど得体の知れない人間がいたら気が気ではないよね)
「だからギルマスには話しておいた方がいいんじゃないか? あの人なら信用出来るし、元々冒険者だったからショーマに色々と助言も出来るだろ」
「まぁ、確かにあの人なら大丈夫でしょうね。 ……ちょっと心配事はあるけれど」
「新人相手だから大丈夫だろう。 ……恐らくだが」
(ギルマスっていうのは多分ギルドマスターのことかな? 信用は出来るみたいだけど、なにか問題でもあるのかな?
「まぁ、とにかくギルドマスターと場合によっては職員…… この場合はリムだな。 にも話しておいた方がいいと思うが、ショーマはどう思う?」
ゲイルは匠真の方を見てそう聞いてくる。
「みなさんが信用出来ると思っている人みたいなので話してみようと思います。 ですが、そんなに簡単に偉い人に会えるんですか?」
「それに関しては私が話を通しておこう。 そうだな…… 明日の昼過ぎにギルドに行ってくれるか? それまでに話を通しておこう」
「いいんですか?」
「ああ、ショーマに関して我々だけで判断するのは正直なところ持て余すことになるだろから、他にもそれなりに立場のある信用のできる者には話しておいた方がいいだろう。 もちろんショーマがそれを嫌うというのなら我々だけの中に留めておくが、どうだ?」
正直言ってありがたいと思う。 クラウスさん達なら信用出来るだろうし、その人達が信用出来ると思っている人ならば、大丈夫だろう。
「いえ、大丈夫です。 クラウスさん達なら信用出来ますから」
「お、なんだ? 信用してくれんのかよ?」
「もちろんです。 ゲイルさんにも色々と案内してもらったりして感謝していますから。 僕からは何も返せないというのが心苦しいんですけど……」
「気にすんな気にすんな! 冒険者は困ったらお互い様だぜ? 申し訳ないんだったら俺が困ってる時に助けてくれよな!」
「分かりました。 ありがとうございます」
ゲイルに会ってなかったら、街に入れたかも怪しいし、こうやってクラウス達に相談することも出来なかっただろう。
「それでだな、私が共有したいと思っているのは、まずはギルドマスターとリムだな。 これはさっき言ったからいいだろう。 もう1人は私達のパーティーメンバーのマイヤだ。 彼女とは同じパーティーで、一緒にいる時間が長いだろうから一応共有しておきたいんだがいいか? もちろん信用出来る人物であることは保証する」
「はい、構いませんよ」
「感謝する。 それとあと一人話したい者がいるんだが、これは許可さえもらえるならマイヤと同様に私達が伝えるでいいだろうか?」
「その方がいいと思います。 ちなみに、誰に話すつもりなんですか?」
「私の兄…… つまりこの街の領主だ」
「領主様ですか……」
「そうだ、これもギルマスに伝える理由とほぼ同じで、街に住む実力者の情報を伝えない訳にはいかないんだ。 私が言わなくともいずれ耳には入るだろうが、知っておくのは早いに越したことはないだろう」
領主様がどんな人かは分からないが、少なくとも門番さんやゲイルさんに話を聞いた限りだと悪い人ではないみたいだし、クラウスさんの兄なら恐らく信用しても大丈夫だろう。
「分かりました。 話して構わないと思います」
「そうか、助かる。 改めて確認だが、兄とマイヤには私達から話すということでいいか?」
「はい、お願いします」
「よし、分かった。 それでは、そろそろ外に出るとしよう。 大分話し込んで、もう日が沈んできたみたいだからな」
クラウスの言葉にハッとして窓の外を見ると、確かに日が沈み空が少し暗くなってきているみたいだった。
「クラウスさん、ミリーさん、ゲイルさん。 今日は本当にありがとうございました。 街を案内してくれただけでもありがたいのに、僕の相談にまで乗ってもらって本当に感謝しています。 いずれ何かの形で返せるように頑張ります」
「いいんだ。領主の弟としても悪くない話を聞くことが出来たからな」
「そうよ。 それに、あなたといれば魔法について色々と話せそうだし、今後もよろしくね? 鑑定魔法の新しい使い方、私も試してみるわ」
「いいってことよ! ギルドで会ったらまたよろしくな! ショーマと一緒に依頼を受けるとかも楽しそうだし、暇だったら頼むぜ!」
(本当にいい人達だな。 街の人達やギルドの評判が良い理由がよく分かるよ)
「もう少し良いものが作れるようになったらお礼に皆さんの武器とか便利そうなものを贈らせてください。 してもらってばかりだと申し訳ないので」
「まじか! それはめっちゃ楽しみだな!」
「楽しみ反面、ちょっと怖いわね?」
「一応、普段使いできるもので頼むぞ」
「流石に分かってますよ……」
最後にみんなで笑い合ってその場はお開きとなった。
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