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#1 謝罪と真実

このお話を見てくださりありがとうございます!


まだ送ってない方は☆☆☆☆☆評価やブックマーク、いいね等を送ってくださると嬉しいです!


作者の更新と執筆のモチベが上がりますので!


感想もいつでもお気軽に送ってください!

「ここは……?」



 匠真が目を覚ますと、そこは綺麗な空間だった。


 360度キラキラと輝く大小さまざまな星のようなものが、淡い黄色や水色といったパステルカラーの空間に浮かんでいる。



「確か僕はトラックに跳ねられて…」



(自分は確かに死んだはず…… ここはなんなんだろうか? 雰囲気的には天国っぽいけど。 まぁ、こんなポップなカラーした地獄はあって欲しくないけどな……)



 苦笑しながらそんなことを言っていると突如その空間に変化が起きた。


 この空間に浮かんでいた星々が目の前に集まっていき、先ほどとは比べ物にならないほど輝き始めた。



(なんだなんだ!??)



 眩しすぎて直視するのも困難な星々はどんどん集まっていき、やがて一つの形を持ちはじめた。


 そして、光が収まった頃にそこに現れたのは……


 この世のものとは思えない程美しい女性だった。



「はじめまして、剣持匠真さん」



 その美女は、呆気にとられている匠真に向かって話しかけてきた。 


 そのまま、その美女はゆっくりと少しずつ近づいてくる。


 一歩一歩ゆっくりと地面を踏みしめるようにして歩いてくるその姿を見て、



(そもそもこの空間、地面あったんだ)



 とか、



(なんで近づいてくるんだ?!)



 とか、色々思ったが、美女の持つ形容しがたい雰囲気に呑まれ、匠真はなにも言葉にすることは出来なかった。


 更にはそんなことを考えている内にその美女はどんどん近づいてきて、やがて匠真の目の前で止まった。


 そして、1度匠真の目を見つめた後、



「申し訳ありませんでしたーーーーーーっっっ!!!!!!!」



 その美女は見たこともないような華麗な土下座をした。



「は?」



 呆気にとられすぎて匠真は変な声が出てしまった。



(なんで僕はこの絶世の美女に土下座をされてるんだろう?)



「えっと、とりあえず頭を上げてくれませんか?」



 何かを言わないとその美女は永遠にそのまま地面に座ったままでいそうなので頭を上げさせた。


 頭を上げた美女はうるうるとした瞳でこちらを見てきて、なぜだか分からないが、怒られてしゅんとした子犬後ろに見えたような気がした。



「えーっと、たくさん聞きたいことがあるんだけど聞いても大丈夫ですか?」


「はい…… 私が答えられることだったらなんでもお答えします。 時間もいくらでもあるので気にせず質問してください」



 美女は未だに申し訳なさそうにしながらはっきりと答えてくれる。



(良かった。 一応、会話にはなりそうだな)



「まずは自分のことなんだけど、僕は死んだのかな? 確か僕は女の子を助けようとしてトラックに跳ねられた気がするんだけど…」


「はい。 匠真さんはトラックに跳ねられ、命を失いました。 本当に申し訳ありません……」



 そこでなぜか謝ってくる美女。



「そう、それ! なんで僕はあなたに謝られてるんだろう? さっき初めて会っていきなり土下座で謝られても正直よく分かっていないんだけど?」


「そうですよね…… まずはその事について説明しましょう。その前に私の立場をお伝えしておきます」



(この美女の立場? なんだろうか?)



「私は運命を司る女神フォルティと申します」


「はい? 女神?」



(確かにこの世のものとは思えない程、綺麗な人ではあるけど……)



「女神……ですか??」


「はい! 女神です」



(いや、そんな女神のような笑顔で肯定されても…… あ、女神なのか)



 匠真の頭はかなりこんがらがってきた。



「それで…… 女神様がなんでいきなり僕に謝っているんですか?」


「女神様なんてやめてください…… 私はあなたに酷い思いをさせた駄女神です。 敬語も必要ありません…… フォルティと呼んでもらっていいです……」


「えっと、フォルティ?」


「あ、はい!」


「それで? なんで謝ってたの?」


「そうですね…… まず、匠真さんは自分が不幸だと思ったことはありませんか?」



 それなら嫌という程ある。


 日常生活で怪我したり、道を歩いているだけでトラブルに巻き込まれたことなんて数えきれない程あった。



「心当たりは沢山ありすぎるかな」


「ですよね…… 私が謝りたいのはそこなんです」


「え、どういうこと?」


「実は…… 匠真さんが不幸体質だったのは私の責任なんです」



(ん? よく分からなくなってきたぞ? 僕の不幸と目の前の女神フォルティに何の関係があるんだ?)



「最初に言った通り、私は運命を司る女神です。 そして、匠真さんが生きていた世界の人々の運命を管理する者でもあります」


「世界の人々って…… 全ての人を管理しているってこと?」


「はい、その通りです。 ちなみに私が管理しているのは匠真さんが生きていた世界以外にも沢山ありますよ?」


 

(なんかスケール大きすぎて実感が湧かないな。 そういうことはラノベや空想の中の話かと思ってたんだけど)



「匠真さんがあここまで不幸であることは本来本当だったらあり得ないことなんです。 本来、人間の幸運値は生涯で一定であり、前世に犯罪歴や人格に問題があったりした人間以外はそれなりの幸運値を持っているはずなんです」


「そういうものなの?」


「少なくとも私が管理している世界はそういった形式でやっています」



(幸運を操作出来るのか……. とんでもないな。 急に神って言われて思考が追いついていなかったけど、嘘ついているようには見えない)



 とりあえず匠真は黙って話の続きを聞くことにした。



「それで、ここからが匠真さんをお呼びした理由なんですが、世界を管理するというのはとても大変なので私のような管理する立場にある神たちの負担を減らすために、神位の低い神…… 我々は三等神と呼んでいるのですが、その者たちに基本的な管理を任せ、私はそれらの帳尻を合わせるという形で共に管理しているんです」



(会社の社長と社員の関係みたいなものかな? 働いたことないから詳しくはわからないけど)



「匠真さんのいた世界にも、もちろん担当している神がいました。 しかし、匠真さんが生まれる少し前に前任の担当していた者の神位が上がって、担当が新しく三等神に上がったばかりの新神に変わったんです。 神位を上げるためには、世界をしっかりと管理していれば数千年、遅くとも一万年もすれば二等神にはなることができます」


「……桁が違いすぎて想像つかないんだけど」


「一万年超えると早いものですよ?」



(年齢を聞いてみたいけど、やめておこう…… 女の人(神)だし。 その辺の価値観が僕らと同じかは分からないけど)



「その後任としてきた新神なんですけど、早いところ神位を上げようとしたのか、よりよい世界を作るために世を引っ張っていく素質がある人間と、他の人と比べて多くの幸運値を持っている人間を神の力を使って探しだし、その幸運を丸ごと移し替えたんです……」


「その幸運を沢山持っていた人間って……」


「はい…… 匠真さんのことです……」



 フォルティは申し訳なさを顔の全面に出してそう告げた。



(なるほど、だからフォルティはいきなり誤ってきたのか。 それにしても、幸運が奪われてたなら、今までの不幸は納得できるな。 ん……?待てよ…?)



「フォルティ? 何点か聞きたいんだけど……」


「はい、何でも聞いてください!」


「幸運が奪われたのって僕が生まれた直後ってことで大丈夫?」


「えーっと、はい、そうですね。匠真さんが生まれてすぐ幸運が奪われたみたいです。」


「それで幸運がないままずっと生きてきた?」


「はい…… トラックにひかれて亡くなったことも少なからず影響があったと思います。」



 今の質問の答えを聞き、匠真が一番聞きたかったことの確信が少し深まった。



「これが一番疑問に思ったことなんだけど…… 父さんと母さんが死んだのって僕のせいかな?」



 その質問を聞いた瞬間、フォルティの顔が明らかに歪んだ。


 その顔を見れば、それが答えですと言われなくても理解することができた。



「……そっか」


「………………はい」



 消え入りそうな声でフォルティが肯定する。


 両親が死んだのが自分のせいだと分かった途端、言い表し様のない感情が頭の中を駆け巡った。


 自分に対する怒りや悲しみ、両親に対する申し訳なさ、その他様々な醜い感情が浮かんでは頭の中を滅茶苦茶にかき回していく。



(自分みたいな存在が生きていてよかったのか?)



 そこにいるだけで周りにも不幸を振りまく存在が。



(いっそ、自分なんて生まれてこなければ……)



「……優しいんですね、匠真さんは」



 静かな、それでいて優しい声色でフォルティがそう声をかけてきた。



(優しい? 僕が? こんな醜い感情に支配されている僕のどこに優しさなんて感じられたんだろう)



「私が匠真さんに死んだ原因が自分自身の不幸によるものだと告げたとき、どこか諦めというか仕方のないことで後悔はなさそうでした。 しかし、自分の不幸のせいで自分の周りの人が不幸になったことを聞いた途端、ものすごくお怒りになりましたよね」


「……顔に出てた?」


「はい、それはもう…… ちょっと怖かったです」


「……すみませんでした」



 思わず匠真は丁寧な口調になってしまった。



「いいんです。 その怒りはもっともだと思いますから。 本当のこと言うと罵られたり、なんなら殴られたりっていうのを覚悟していました。」


「……そんなことしないよ」


「されませんでしたね。それを含めて優しいと感じたんです」



(初対面の美女を殴れる男などそうそういないと思うのだが……)



 しかしフォルティのおかげで匠真は少し落ち着くことができた。



「……落ち着きましたか?」


「うん、ありがとう、フォルティ」


「いえいえ元はといえばこちらが全面的に悪いですから…… それで、これからのことに関して匠真さんにいくつか提案があります。 一つ目は匠真さんが望むのならばなんですけど」



フォルティは匠真の目をまっすぐ見つめると、



「両親に会って話をしませんか?」



 とんでもない提案をしてきた。



「……そんなことができるの?」



 フォルティの提案を聞き、しばし匠真は唖然としていたが、なんとか思考を再開させ、フォルティに聞き直した。



「本来、そのようなことは出来ないのですが、今回は神側の不手際によって匠真さん及びご家族の方は被害を受けたということで、他の神にも相談、協力してもらって限られた時間…… 匠真さんの時間感覚でいうと1時間程ですが話すことが可能です」


「1時間か…… 長いような短いような時間だね」


「これでもかなり頑張りました。 匠真さんの両親の魂を自我と記憶を保ったまま、さらに話せるように固定するには私と同等の立場の神の協力が必要で、今回の件を話したところ個人的な友人でもあったので引き受けてくれたんです。 その子曰く、それ以上魂に手を加えちゃうと今後の転生に支障が出てしまうので、1時間が限度なんだそうです」



 そう言われると匠真は納得するしかなかった。



(1時間でも会えることを感謝しないとな。 そういえば、さっきから気になっていたんだけど……)



「フォルティって今までの話を聞いた感じだと結構位の高い神だよね? 一番偉いってなると一等神とかなの?」


「いえ? 私は一等神ではないですよ?」


「あれ? そうなの? 管理してるって言ってるから一等神かと思ったんだけど、違うんだ?」


「はい。 私は一等神ではなくて最高神ですよ」


「へ?」


「位でいうと一等神の上になりますね。 同等の立場の神は現在、私を含めて3神しかおりません」



 匠真の予想の遥か上すぎる回答が返ってきた。



「最高神って…… そんな立場の神が僕なんかに土下座なんかしちゃって良かったの?」


「んー、良くはないかもしれませんねー。 見られてたら下の位の神々に笑われたりされそうです」


「いやいや! そんな呑気に話してて大丈夫なの!?」


「いいんです。 匠真さんが不幸になってしまったのは私達に責任があるのですから、ここで誠意を見せて謝らなかったら、それこそ同じ最高神の友人に笑われてしまいます」


「うーん、分かった…… 謝罪は受け入れるよ。 だからもう土下座とかはやめてね。 最高神から土下座されるとか心臓に悪すぎるよ」


「分かりました。 ありがとうございます。 それで…… どうしますか? 両親との件、考えはまとまりましたか?」



 フォルティが最高神だったっていう衝撃の真実を聞いて思考がそっちに引っ張られていたが、話の主旨は両親に会うかどうかである。


 だが、匠真の答えは話を聞いたときから決まっていた。


 トラックに跳ねられた際に、思っていたことを実行出来る思いがけないチャンスをわざわざふいにする訳にはいかない。



「会えるのならば、会わせてほしい。 会って伝えたいことが沢山あるんだ」


「分かりました。 では、こちらに来てください」



 フォルティの近くに匠真が行くと、フォルティが両手をつなぐよう促してくる。



(……ちょっとドキドキしてしまうな)



「では、匠真さんのお父様とお母様が待っている空間に飛びます。 私はそこに着いたらすぐに離れますので、私のことは気にせずお話してください。 時間になったらまた迎えにいくので待っていてくださいね」



 そう言うとフォルティは目を閉じ、少し集中し始める。


 そして、フォルティが再び目を開いた瞬間、今までいた空間は眩い光に包まれていった……

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ゲームをゆるゆるやってます!

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