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第65話 再会


「【切断シュナイデン】……!」


 幾枚の空気の刃を展開し――敵の軍勢へ打ち込む。

 完全に不意打ちとなったその攻撃は、見慣れない甲冑の集団――恐らくは魔導国グラヌスの兵士たちを混乱させるのには十分だった。


 空気の刃は敵を甲冑ごと次々と切り裂いていく。


 統率が取れなくなった一瞬の間に、僕は敵の集団へ飛び込んだ。


「な……!?」


 目の前の兵士が困惑の表情を浮かべる。


 気持ちは分かる。

 戦場に突然、執事の恰好をした人間が現れたら僕もビビるだろう。


「【粉砕コンテリツィオ】」


 そんな彼の顔面を右手で砕きながら地表に叩きつける。

 血が飛び散り、周囲の動揺がさらに大きく鳴る。


 周りの敵はざっと十数名。いくつかの小隊規模で、騎士団の残党を押しつぶそうって狙いだったらしい。


「【切断シュナイデン】――【収穫エルンツェ】」


 僕を中心にして、風魔法で形成した刃を全方向に発射する。

 本当は畑の作物を収穫するときに使っていた魔法だけど、まさか人殺しに応用できるとは。

 まあ、その、なんだろう。命を刈り取る形をしてるだろ? (見えないけど。)


「貴様、何者だ!?」


 甲冑のデザインが違う、隊長らしき男が僕に切りかかる。


 僕はその剣を躱し、相手の腹部に膝を叩きこんだ。

 身体を九の字に追って男が倒れこむ。


 辺りを見渡すと、僕の周りには血だまりができていて、立っているのは僕と数名の騎士団員だけだった。


 一応は……救出成功ってことなのかな。


「どこの者かは知らんが、救援に感謝する」


 父親が僕に顔を向け、言った。

 僕はそのまま父親に歩み寄り―――。


 右手を振り上げ。


 思いきり、その顔を殴った。


 しかし感触が違う。


 剣で防御された……!?


「貴様、イルか!」


 父親の表情に驚きの色が浮かぶ。

 その顔を見て、僕は反射的に怒鳴っていた。


「よくもサナを怖い目に遭わせたな! あんたは僕が殺す! 今日、ここで!」

「団長!」


 生き残りの騎士団員たちが僕に剣を向ける。


「お前たちは撤退しろ! こいつは私の相手だ!」

「し、しかし――」

「行け! 命令だ!」

「……はっ、承知しました!」


 騎士団員たちが僕らから離れていく。

 後には僕と、騎士団長である父親だけが残された。


 父親が剣を振り抜き、僕は後ろに跳んで距離を取った。



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