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第58話 もっと厳つい爺さんが




「こちらでお待ちください。当主が参ります」


 僕とサナは屋敷の応接間に通された。

 そこではロデリアさんが僕らを待っていて、出会うなり僕らに悲痛な面持ちを向けた。


「申し訳ありません、サナお嬢様。我々の力だけでは……」

「いえ。あなたたちが居なければこうした交渉の場すら設けられなかったと理解しています。その点には感謝しています。私の父の暗殺から続く御三家の間の因縁に、今日決着がつけば良いのですが」

「本当に……申し訳ありません」

「気にすることはないのです。あなたたちは最善を尽くしたのでしょう? 現に私は生きている。あとは成り行きに任せるとしましょう」


 サナがソファに座り、その隣にロデリアさんが腰かけた。僕はその後ろに立ち、周囲を見渡した。


 部屋の壁には価値のよく分からない絵画や彫刻がいくつも飾られている。きっと高価なものなのだろう。


 しかし、ヴァイスニクス家の当主か。一体どんな人なんだろう。


 国の権力を思うままにする御三家の当主なのだから、きっと白髪で見た目が怖そうな老人だろう。


 いやだなー、目が合っただけで怒鳴られそう。出来るだけ目立たないようにしておこう。


 そんなことを考えていると、応接間のドアが開いた。


 執事さんが入って来て、ドアの傍らに立つ。


 そしてその直後―――黒いドレスに身を包んだ、黒髪の少女がドアの向こうから現れた。


 なんだ、この子?

 間違って入って来ちゃったのか?

 分かる分かる、僕も小さいとき、うっかり父親が会議をやっている部屋に入っちゃって半殺しにされたことあるから。

 あのときの傷跡がまだ脇腹に……うっ、なんか痛くなってきた。


 僕が思い出に浸っているうちに少女は優雅に一礼し、堂々とした様子で僕らの向かい側に座り、言った。


「久しぶりね、サナ」

「……ご無沙汰しております。シュイミ・ヴァイスニクス」

「当主が私たちに代替わりをしてから、初めての御三家同士の会合ということになるかしら?」

「そうですね、ヴァイスニクス当主様」

「そんなに改まった呼び方をしないで。昔のようにシュイミと呼んで欲しいわ」

「……はい、シュイミ」


 え? 


 ちょっと待って、この子供がヴァイスニクス家の当主?


 サナや僕と年齢もそう変わらないように見える―――って、よく考えればサナもサウザントルル家の当主なわけで、あり得ない話じゃない。


 だけどびっくりした。もっとイカつい爺さんが出てくると思ってた。



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