表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/72

第48話 衝突

※※※



「敵襲だ!」

「急げ、敵は何人いるか分からないぞ!」

「見えない刃に気を付けろ……ぐわっ⁉」


 野営地は一瞬で地獄絵図に変わった。

 僕が特に何をしたというわけじゃない。

 【切断シュナイデン】を無差別に、野営地全体に向けて発射しただけだ。


 もちろんサナがいるだろうテントは除いて。


「【着火(フラメ)】」


 周囲に火を放つ―――かまどに火を入れるように。

 僕の仕事はできるだけ騒ぎを大きくすること。

 執事として最大限の成果を上げて見せよう。


 僕は右手でネクタイを緩めた。


 炎を掻き分けるようにして騎士が現れ、僕に剣を振り下ろす。


 僕は上体を逸らして交わし、拳を握る。


「【粉砕コンテリツィオ】」

「ぐ……っ!」


 手ごたえがあった。

 鎧ごと、騎士の腹部を粉砕した。


 なんて呆気ない。これが王国の騎士団なのだろうか。


 僕にとって騎士は――鎧に身を包んだ集団は恐怖の対象だった。


 あの刃が僕に向けられたとき、それは死ぬときだと思っていた。


 それが今は―――。


「!」


 鋭い気配を感じ、僕は後ろに跳んだ。

 眼前を衝撃波のようなものが掠めていき、それはそのまま野営地の一角を破壊した。


「………クソゴミがァ! てめぇ、何しに来やがったァ!」


 剣を構える長身の男。

 エッヂア家長男にして騎士団大隊長、ジャックだ。


 炎の照り返しを受けながら、僕を睨みつけている。


「何って……僕がわざわざあんたに会いに来たとでも思ってるの? サナを取り返しに来たに決まってるじゃないか。言わなくても分かって欲しいな」

「自分で何やってんのか分かってんのか? 国家に対する反逆だぞ、これは!」

「じゃあ止めてみなよ。あんた、騎士団なんだろ?」

「年上には敬語を使えって教えてやったはずだがなァ、クソゴミ!」


 ジャックは剣を構え直し、こちらへ突っ込んできた。

 さすが史上最年少で騎士団の大隊長になっただけのことはある。人間離れした速度だ。


「【生活魔法リエベン】――【付与シュタルケン】」


 振り下ろされた剣が僕の肩を掠めていく。


 その瞬間、ジャックの顔面がガラ空きになった。


 拳が動いていた。


「―――だからてめーはゴミなんだよッ!」


 ジャックの剣先が翻る。


 誘われた――!


 出しかけた右手を引っ込めて、代わりに左足で蹴りを繰り出す。


 剣の峰の部分と僕の足が衝突し、全身が軋んだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご愛読ありがとうございます!
気に入ってくれた方は
『ブックマーク』
『☆評価』
をいただけると嬉しいです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ