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第13話 3分クッキング(掃除込み)



 さて。

 雑然と物が散らかっている屋敷の居間を前に、僕は息をつく。

 さっきの光景はひとまず忘れよう。

 目を瞑る。

 サナの裸が脳裏をよぎった。

 ……ひとまず忘れよう。


 サナは今、自室(僕が寝ていた部屋)で着替えをしている。

 その間に朝食も準備して、この居間も片付けてしまおう。

 3分クッキング(掃除込み)だ。

 台所からつながる食糧庫を覗いてみる。

 無造作に置かれたパンの籠と、肉類の燻製が少々、か。

 野菜類はない、か。

 それらの食料をいくつか手に、再びリビングへ。

 窓から外を見ると、それなりに広い庭があった。

 その一角には菜園の跡らしいものがあり、雑草に交じって、食用にできる草花も生えているのが見えた。


 よし。これなら何とかなりそうだ。

 窓を開け、新鮮な空気を室内へ取り込む。


「【切断シュナイデン】と、【運搬ブリゲン】」


 空気の刃で野草を切り裂き、こちら側へ向けて起こした風で手元へ持ってくる。

 同時に左手を室内へ向けた。


「【生活魔法リエベン―――室内清掃コース】」


 風魔法で室内に風の流れを作り、床から掃き上げた埃や塵がそのまま室外へ放出されるようにする。


 加えて、ゴミ以外の衣類などは僕の手元に、そして家具類はそれぞれ正しい位置に動くよう微調整していく。


 数秒で埃ひとつない室内に――そして、僕の両手にはサナが脱いだ衣類の山が。

 これは畳んで片付けるよりは、洗濯した方が良さそうだな。

 衣類からはサナの匂いがした。

 いや、別に嗅いだわけではないのだけれど。

 この衣類は部屋の隅にまとめておこう。


 空中を舞っていた埃が収まるのを待って、僕は料理に取り掛かった。

 あまり使用した形跡のない鍋を水魔法で軽く洗浄し、水を入れて火にかける。

 その間に野草を洗い流し【切断シュナイデン】で細かく刻み鍋の中へ。

 肉類も一緒に鍋へ入れて、調味料で味を調える。

 具材が煮えている時間を利用してテーブルをセット。比較的きれいなテーブルクロスをその上に。

 皿は……ダメだ、流し台に使いかけの物が山ほど溜まっているだけで、食器棚には空だ。

 この食器の山を片付けるしか道はなさそうだ。


「【生活魔法リエベン―――付与シュタルケン】!」


 本来なら食器を洗うのも水魔法の応用で自動化できるはずだった。

 しかしエッヂア家の屋敷で試したときは食器を洗うときに飛び散る水を制御できず、余計に時間がかかってしまった。

 いつかは自動化しよう。しかし今―――信じられるのは己の肉体のみ。

 水魔法で流し台に水を溜め、身体強化によって実現された超スピードで皿を一枚一枚洗っていく。


「うおおおおおおおおおおッ‼」


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