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第11話 胸がどきどき


「わ―――分かりました。お嬢様がそこまで言われるのなら、そうしましょう」


 僕が言うと、サナは首元のボタンを外し両手を上に伸ばした。


 跪いて彼女の衣服の裾を握りながら、僕は心の中で念じる。

 これは仕事これは仕事これは仕事これは仕事これは仕事――――ッ!


 サナが来ていた服は上下が一枚になった、ワンピースのような寝間着だった。

 その裾を掴むということは、スカート部分の裾を掴むということだ。

 それを徐々に上に捲っていく――ということは、スカートを捲り上げていくということだ。

 サナの足首からひざ、白くて細い太腿が露わになっていき、そして――――。


「っ……ちょっと、待ってください」


 不意にサナが両手で僕の手を止めた。


「ど……どうしました、お嬢様」


 見上げると、サナは耳まで赤くしながら言った。


「なぜか―――お胸の辺りがどきどきするのです」

「そ、そうですか。ご病気ですか?」


 僕の手を握るサナの手に、更に力が入る。


「よ、よく分かりません。でも、今までこんな気持ちになったことなくて、他の執事やメイドに脱がせてもらうときは何も感じなかったのです。でも、イル君だとなんだか―――は、恥ずかしい、のです……っ!」


 ……………。

 ………。

 ……だよね!

 実は僕もめちゃくちゃ恥ずかしかった!

 ようやく気付いてくれたみたいでとても嬉しい!


「ええと、それじゃあお風呂は一人で入られますか、お嬢様?」

「ひ、一人で入りますっ! イル君は外で待っていてください」

「では僕は朝食の準備を……」


 と、脱衣所を出ようとした僕の手をサナが再び握る。


「ダメです! 近くにいてください!」

「な―――え? どうしてです?」


 サナは一瞬ためらうように視線を泳がせて、それから少し涙目になりながら、言った。


「おばけが出たらどうするのですかっ!」

「お―――おばけ?」

「私は知っているのです。髪を洗っているときに背後から襲ってくるおばけがいる気がするのです!」

「まさか、ずっとメイドに身体を洗ってもらっていたというのは……」

「小さい頃に絵本で読んだのです! それ以来、身の安全のために一人でお風呂に入らないようにしているのです!」


 そ……ッッ、そうきたかァ~ッ!



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