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転生者なんか送ってくるな! ~看板娘(自称)の異世界事件簿~  作者: 榊 謳歌
Case4 『駄女神転生』 2幕 『祭りの始末』

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114 『虹だよ!虹を!出してよ!』

「危ない、おじいちゃん!」


 ワタシの声が祖父に…アンダルシア・ドラグーンに到達するよりも前に、おじいちゃんは反応していた。残像を残すほどの、速度で。

 ちょっとした丸太ほどもある鉄の塊で殴りかかってきた覆面の狂信者を、おじいちゃんは回避すると同時にその顎を右の掌で下からかち上げる。喰らった相手は鈍い音と共にもんどり打って背中から地面に叩きつけられ、息苦しそうに呻いた後で気を失った。


「すごい、おじいちゃん…」


 おじいちゃんが強いことは知っていた。以前にも助けられたことはあるし、あの人が『名もなき英雄』と呼ばれたおばあちゃんのパートナーだったことも知っている。それでも、驚きは隠せなかった。だって、相手は正気をかなぐり捨てた狂信者たちだ。人の命を奪うことさえ躊躇わない相手を、臆することなく一蹴してしまったんだ。


「いや、これくらいは大したことはないよ、花子ちゃん。理性のない相手が仕掛けてくる攻撃っていうのは、所謂(いわゆる)テレフォンパンチってやつだ。向こうから次にどこを狙うか教えてくれているんだから、対処は簡単なんだよ」

「おじいちゃん、次の人が来てるよ!」

「まあ、おじいちゃんくらいの達人になるとね、こう、相手の体勢を見ただけで意思そのものが読めるんだよ」


 悠長(ゆうちょう)に講釈を交えながら、おじいちゃんは次に殴りかかってきた覆面の狂信者の攻撃も軽くさばいていた。巻き戻しと見間違えるほど、同じような手順で覆面の狂信者を地面に叩きつけている。

 …そして、必要のないどや顔でこちらを眺めていた。

 あ、これワタシにいいところを見せられてご満悦(まんえつ)になってるんだ。


「でも、やっぱり踏んだ場数が違い過ぎるんだろうね…」


 覆面の狂信者たちを老獪(ろうかい)な動きで叩き伏せながら、豪快に笑っていた。それが、『名もなき英雄』の片割れであるワタシのおじいちゃんだ。


「だけど、これなら『裏側』の覆面たちはおじいちゃんにお任せしても大丈夫かな」


 本当は、高齢のおじいちゃんにはあまり無理をして欲しくはないのだけれど…いや、今だけはおじいちゃんに甘えよう。おじいちゃんという不測の乱入者により、リリスちゃんの周囲は動きを止めていた。

 しばらく、あちらに動きはなさそうだ。

 今は、『花子』のことも気がかりだ。

 先刻から、『花子』の様子がおかしい。

 …リリスちゃんや狂信者たちと同じように、狂気に染まった赤い瞳をしていた。

 そんな『花子』も、今はなぜか動きを止めている。

 

「『花子』…おじいちゃんがあの人たちを抑えてくれている間に戻っておいで!」


 戦況は、やや膠着状態になっている。

 リリスちゃんの命を狙っていた『裏側』の覆面たちは、迂闊にリリスちゃんに仕掛けられなくなっている。今なら、『花子』はこちら側に戻って来られるはずだ。


『…………』


 しかし、『花子』は動かなかった。

 ただただ、茫洋(ぼうよう)とそこに立っていた。


「『花子』!」


 もう一度、呼びかけた。それでも、『花子』に動きはない。

 …仕方ない。

 ワタシは、『花子』を連れ戻すために駆け出した。おじいちゃんが現れたことで雪花さんの意識も分散されていたようで、ワタシを掴む腕からは力が抜けていた。その隙をついた。いや、ただの偶然だったけどね。


「花子ちゃん!?」

「『花子』を連れ戻したらすぐ戻ります!」


 雪花さんの心配の声にそう答えながら、ワタシは『花子』の傍に駆け寄る。その辺りまでは、まだあの赤錆色の靄は届いていない。

 きっと、そこが境界線だったんだ。

 リリスちゃんが定めた、此岸(しがん)と彼岸の。


「『花子』…おじいちゃん!?」


 ワタシの足がそこで止まった。『花子』に異常があったわけではない。『花子』は足を止めて動きを止めていたままだ。

 …異常は、おじいちゃんに起こっていた。

 それまでは飄々と『裏側』の覆面たちをいなしていたおじいちゃんだったが、一人の覆面がおじいちゃんの左足に縋りついていた。おじいちゃんはすぐにその覆面を振り払ったが、別の覆面が振り下ろした剣がおじいちゃんの肩口の辺りをかすめる。


「おじいちゃん!」


 先刻までは、余裕だったはずだ。それがどうして、こうもおじいちゃんが追い詰められている…?


「そう…か」


 それまではリリスちゃんとおじいちゃんに分散していた覆面の狂信者たちが、そこで一斉におじいちゃんに狙いを定めたんだ。

 わらわらと、覆面たちがおじいちゃんを包囲する。

 覆面越しに、殺意の瞳を向けながら。


「いったん逃げて、おじいちゃん!」


 いくらおじいちゃんが強いとはいっても、数の差は歴然だった。それに、先ほどのようなキレが今のおじいちゃんにはなかった。寄る年波には勝てないということか。


「おじいちゃん!!」


 ワタシが叫んでも、おじいちゃんは逃げなかった。肩で息をしながらも、おじいちゃんは仁王立ちを貫いている。


「どうして…おじいちゃん」

「そりゃ、年甲斐もなく張り切るよ。花子ちゃんの前でカッコつけたいし…何十年ぶりに、『念話』で呼び出されたんだからねえ」

「え…『念話』?」


 ワタシは、おじいちゃんに『念話』なんて飛ばしていない。『念話』というのはこの世界ではワタシだけが扱えるユニークスキルだ。それなのに一体、誰が…。

 …いや、『花子』に決まっている。

 この世界でワタシ以外に『念話』を使えるのは、『花子』しかいない。 


「そうか、『花子』がおじいちゃんに連絡してくれたんだね…」


 ワタシとしてはおじいちゃんを巻き込むつもりはなかったけれど、結果的にそうしなければリリスちゃんはここで殺害されていた…。

 けど、今度は代わりに、おじいちゃんの命が失われそうになってい…?


「何してるの、『花子』!?」


 おじいちゃんに目を奪われている間に、『花子』が…おじいちゃんの傍まで、歩いていた。

 …でも、おかしいでしょ?

 なんで『花子』がそこにいるの!?


「『花子』がそこにいたって足手纏いにすらなれないんだよ!?」


 あの子がワタシだとすれば、荒事においてはただのお荷物でしかない。それなのに、『花子』は何を考えている…?

 ワタシだけじゃない、雪花さんや繭ちゃんたちも蒼白になっていた。


「早く戻っておいで、『花子』…みんなも心配してるよ!」


 けれど、『花子』を心配していない人間も、この場にはいた。

 …おじいちゃんだ。

 息を切らしながらも、おじいちゃんは不敵に笑っている。


『うらしゃあああああ!』


 奇声を発しながら、覆面の狂信者が殴りかかる。鉄のこん棒を、おじいちゃんに振り下ろす。

 しかし、それを捌いたのはおじいちゃんではなかった。

 …『花子』だ。

 あの子がおじいちゃんと同じように、いや、おじいちゃんよりもしなやかな動きで、殴りかかってきた覆面の右腕を取ったかと思うと、その右腕を下方に引っ張り地面に引き倒す。勢い任せに殴りかかっていた覆面の狂信者は、自分自身の勢いと『花子』の体重を掛け合わせた速度で地面とごっつんこをしていた。当然、狂信者はそのまま意識を失う。


「というか…え、なんで?」

 

 どうして、『花子』にあんな芸当ができた…?

 本当に、アレは『花子』なのか?

 

「ああ、懐かしいな…」


 ワタシや雪花さんたちは目を丸くしていたが、おじいちゃんだけは微塵も動じていなかった。それどころか、どこか誇らしげでもある。


「こうして背中を合わせるのも、何十年ぶりだろうか」

 

 おじいちゃんの言葉通り、おじいちゃんと『花子』は背中合わせで『裏側』と対峙していた。

 傍から見ていても、それは随分と『しっくり』きている。

 しかし、どうして…いや、どうしても何もないんだろうね。

 ここまでくれば、ワタシにも分かった。

 いや、最初から薄々は感じていたのかもしれない。

 ただ、ワタシは『あの人』の記憶を失っていたから、気付かなかったんだ。


「そうか、『花子』は、『花子』じゃなかったんだね…」


 ワタシと『花子』は似ていたけれど、瓜二つというほどではなかった。『花子』は、ワタシの中に存在していた『邪神の魂』が人の形を成した存在だったというのに。


「ワタシの中にいたのなら、『花子』はワタシの生き写しじゃないとおかしいはずなんだよ」


 なのに、似ていたけれど、ワタシたちは同じではなかった。

 なら、『花子』は誰に似ていたのか?

 候補者なんて、一人しかいない。

 …ワタシの、『おばあちゃん』だ。

 おばあちゃんの若い頃の姿を、『花子』はトレースしていたんだ。


「ワタシの中にあった『邪神の魂』が『花子』の正体だったことを考えても、それは明白だった」


 過去、この異世界を滅ぼそうとした『邪神』…その魂を自分の体の中に封印したのが、ワタシのおばあちゃんだった。けれど、『魂』と『肉体』に分けられてしまった『邪神』も、それでおとなしく封印されるタマではなかった。おばあちゃんの体を破壊して、再びこの世界に顕現(けんげん)しようとしていた。

 そのままでは『邪神』が復活してしまうと判断したおばあちゃんは、『転生』のスキルを使ってこの世界とは異なる世界…ワタシが生まれたあの世界に転生した。

 さしもの『邪神』も魂と肉体を二つの世界に分断されてしまえば、復活を果たすことはできず、この異世界ソプラノからは『邪神』の脅威は取り除かれた。

 …まあ、少し前にちょっと復活しかけたけれど。


「でも、あの『邪神の魂』が封印された経緯を考えれば、『花子』の姿がおばあちゃんを基調にしているのは、当然だったんだ」


 記憶を失っていたので…いや、『花子』には記憶そのものがなかったので、あの子は自身がおばあちゃんの姿を模していることには気付いていなかったけれど。


「だけど、おばあちゃんだった…ワタシの、おばあちゃんだったんだね」


 今現在も、ワタシにおばあちゃんの記憶はない。ワタシの中から『邪神の魂』が抜き取られた時に、そこに紐付けられていたおばあちゃんの記憶も失われた。それに、元々ワタシは若い頃のおばあちゃんの姿を知らない。

 それでも、今、ワタシは確かに感じていた。

 そこにいたのが、ワタシのおばあちゃんだ、と。

 …いつの間にか、涙が溢れていた。


「あれ…なんで、だろ?」


 頬を伝う水滴が、涙という素敵なものだと気付いたのは、しばらく呆然とした後だった。

 繰り返しになるが、ワタシにおばあちゃんの記憶はない。それなのに、あそこにいるのがおばあちゃんなのだと思うと、ワタシの胸は自然と熱くなっていた。

 

「困ったなぁ…何を言えばいいのか、分からないよ」


 普段なら、どうでもいい台詞なんていくらでも浮かぶ。それこそ湯水のように取りとめもなく。

 なのに、あの『花子』がおばあちゃんだったと思うと、胸がつかえてまともに言葉を発することができない。ワタシの頭じゃなくて、記憶じゃなくて、心がおばあちゃんだと認めていた。


「…そうか、おばあちゃんなんだ」


 もう会えないはずだった、おばあちゃん。

 別々の世界になっちゃった、おばあちゃん。

 あのおばあちゃんと、今の『花子』のおばあちゃんは別なのかもしれないけれど、それでも、ワタシの感情は完全にしっちゃかめっちゃかになっていた。


「はは、やはりアリアはワシと息ぴったりだな」


 おじいちゃんと『花子』は、二人でお互いをカバーしながら覆面の狂信者たちを相手取る。


「それに、アリアの『崩龍魔眼(ほうりゅうまがん)連陣拳(れんじんけん)』の技の冴えも錆び付いておらんな」

「ワタシのおばあちゃんそんなダッサい武術の達人だったの!?」


 そんな素振(そぶ)りは一切、見せなかったよ!?


「こうしていると、アリアと二人で過ごした熱い夜のことを思い出すよ」

「とりあえず(ワタシ)の前でその夜のことを思い出すのはやめてもらっていいでしょうか!?」

「いや、すまないね、花子ちゃん。つい嬉しくてね」


 おじいちゃんは、年甲斐もなく明るい微笑みを浮かべていた。それは、少年のように無垢(むく)で屈託がない。

 …けど、その微笑みの奥に一抹(いちまつ)寂寥(せきりょう)(にじ)んでいる。


『…………』


 対して、『花子』は淡々と覆面の狂信者たちの攻撃を捌き、一人、また一人と無力化していく。


「これが、『名もなき英雄』…」


 おじいちゃんが高齢なこともあり、全盛期とは比べ物にはならないのだろうけれど、それでも、あの二人の動きはこれまで見たどんな強者(つわもの)たちよりも洗練されていた。二人の活躍を間近で目撃し、ワタシの胸は尻上がりに高鳴る。あの二人の動きが、どんな映画やアニメよりも輝いて見えた。

 だから、ワタシは無邪気な子供みたいに叫びそうになる。『虹だよ!虹を!出してよお!』などと意味不明な言葉を。けれど、どれだけ気にしないようにしても、滾々(こんこん)と寂しが湧き上がってくる。

 この光景は、奇跡と奇跡が気まぐれで交差した刹那にだけ生まれた火花だ。

 …いつまでも、この輝いた時間が続かないことは、ワタシにも分かっていた。


『ぎゅあああぁ…!』『ぐうぅぅぅ…』『…らおおおおぉ』

 

 おじいちゃんアンドおばあちゃん(?)に返り討ちにされ続けた『裏側』の狂信者たちは、そこで突っ込むのを止めていた。正気を捨てていたとはいえ、さすがにその力量差に気付いたようだ。といっても、狂信者たちはその数をかなり減らしていたので、手遅れとしか言いようがなかったけれど。


『ぐぅああぁ…』『うおお…ぁ』『しゃおおぅ…』


 覆面の狂信者たちは動きを止めていたが…お互いに顔を見合わせた後、懐から筒状のナニカを取り出した。


「なんだろう、あれは…」


 覆面の狂信者たちから、狂気が薄れていた。しかし、正気を取り戻したわけでもない。ただ、彼らからは妙な悲壮感のようなものが、微かに感じられた。


「奥の手を、出したな」

「…奥の手?」


 煤けた覆面のあの人が小さく呟いた言葉を、ワタシは反芻(はんすう)した。

 そんなワタシに、この人は続ける。


「あのマスクで正気を捨てた連中だが、それでもまだ、人間性までは捨ててはいなかった」

「…まるで、これから人間性まで捨てるような言い方ですね」

「その通りだよ」


 煤けた覆面の言葉は、簡素だけれど鋭利でもあった。ある意味では、それは諦観(ていかん)のようにも、感じられた。


「何を、するつもりなんですか、あの人たちは…」


 ワタシの背筋を、冷ややかな汗が滴る。

 元々、狂信者であるあの人たちは、形振(なりふ)りなんてかまわない。

 …なら、その行きつく先とは、どこだろうか。

 その答えを、煤けた覆面のこの人は口にした。素っ気ないほど、簡潔に。


「すべてを吹き飛ばすつもりだよ、自分たちの命ごと」

「…命と食べ物は粗末にしちゃいけないって、ワタシ、教わったんですけどね」


 おばあちゃんが言っていたし、昔、何かのアニメで聞いた似た台詞を記憶もある。


「奇遇だな、『教会』でもそう教えているよ」

「…あの人たち、守ってないじゃないですか」

「教えというものが、必ずしも根付くとは限らない。人も土壌も、同じ肥料をやったところで同じように育つとは限らないんだよ」


 煤けた覆面のこの人は、覆面越しにそんなことを(うそぶ)いていた。反論はしたかったけれど、今はそこどころではない。


「おじいちゃん、『花子』!それ、爆弾みたいなものだから逃げて!」


 ワタシは、あの二人に叫ぶ。

 そんなワタシに、煤けた覆面のこの人も警告した。


「逃げるのなら、少女もそうした方がいいぞ。あれはサイズの割りに殺傷能力が高い。巻き添えを喰う危険性はかなり高い」

「だったら、あなたも逃げないといけないんじゃないですか…」

「いや、残るさ。顛末くらいは見届けないとな」

「バカなこと言ってないで逃げますよ…」


 死んだら花実は咲かないんだよ。


「ああ、俺たちは全員が馬鹿だよ。馬鹿でなければ、生きていられなかったんだ」


 なぜか、肩の荷が下りた…みたいな表情を、浮かべていた。覆面越しだったので表情は見えなかったはずなのに。


「アリア…!?」


 不意に、おじいちゃんの声に焦燥が混じる。けど、それは覆面の狂信者たちに向けられたものではなく、『花子』に…おばあちゃんに向けられた驚きだった。


「今度は何が…?」


 ワタシは、『花子』に視線を向けたのだが、そこにいた『花子』の周囲には、黒い渦潮のようなモノが逆巻いていた。


「…ちょっと、待ってよ」


 アレには、見覚えが、あった。

 二度と、見たくは、なかった。

 けど、どうしてあの『黒』がここで出てくる?

 …しかも、『花子』から。

 ワタシは、そこで声を失った。

 逃げろと言われていたのに、『花子』やおじいちゃんたちを逃がさなければならなかったのに、ワタシは案山子(かかし)と化していた。

 その間にも、『裏側』の狂信者たちはあの筒状のナニカを手に不気味な準備を進めている。アレが爆発すれば、この周囲が吹き飛ぶのだという。


「なんだか、花子さんの周りはいつも(にぎ)やかだね」

 

 そんな時に、背後からワタシに声がかけられた。

 けれど、それは今までこの場にはいなかったジンブツの声だ。

 …ここにきて、またダレカが現れたのか。


「こんな時に、なんですか…」


 ワタシの声は低く、余裕がなかった。この状況下だ。多少の無作法には目をつむって欲しいところだ。

 しかし、あの人は…タタン・ロンドさんは、意に介さずに微笑んでいた。

 それは、彼女が『源神教』と呼ばれる宗教組織の教祖さまだったからだろうか。

 いや、この人にはそんな肩書きがかすむほどの、(いわ)く付きだ。

 何しろ、この人は、何百年も生きている…ホンモノの不老不死だ。

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