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転生者なんか送ってくるな! ~看板娘(自称)の異世界事件簿~  作者: 榊 謳歌
Case 4 『駄女神転生』 1幕 『祭りの支度』
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一周年特別編 『本当に過度な期待はしないでください』

花子「一周年だよ!全員集合!!」

繭 「…………」

花子「おいっす!ん~、こえが小さーい!もういっちょう、おいっ…」

繭 「また花ちゃんが突拍子もないこと言い出した…」

花子「またやらかしてるみたいな顔で呆れないでよ!?実はそこまで脈絡もないことは言ってないんだよ、本当に一周年なんだよ!」


雪花「確かに、この小説が投稿されてからちょうど一年でござるが…ここで特別編なんてやってる場合でござるか?」

繭 「だよね、最近ちょっとシリアス気味なのにね」

花子「だからだよ!シリアスめいてきたからこそ、薄れてきたコメディ要素を補充する必要があるんだよ!」

雪花「して、その『こころ』は?」

花子「現在のエピソードが進展してきてるのにプロットが固まっていないので時間稼ぎがしたいです…」

雪花「考えなしに新キャラとか新設定を追加するからそんなことになるのでござるよ!?」


花子「でも、一年だからね…ちょっとくらい羽目を外したかったんだよ」

慎吾「(むし)ろ、花子が羽目を外していない場面の方が少ないと思うんだが…」

花子「あ、慎吾いたんだ。気付かなかったよ」

慎吾「オレの影ってそこまで薄いか…?」

繭 「けど、特別編って具体的に何をするの?」

雪花「先ず服を脱ぎます」

花子「番外編だからサクッといきたいので邪魔するなら黙っててもらえますか!?こんなバカな話で前後編に(また)いだりしたくないので!」

雪花「けど、それならそれで本編の時間稼ぎができるのでは?」

花子「やめろぉ!その悪魔みたいな誘惑をやめろぉ!」


慎吾「とりあえず、何かやるならさっさとやればいいんじゃないか?」

花子「そうだね。それじゃあ、特別編として…各自、各々(おのおの)の『実はワタシは』を発表してもらいたいと思います!」

一同「…『実はワタシは』?」

花子「みんなと出会ってからそこそこの時間が経つけど…それでもまだまだ知らないことがあると思うだよね」

雪花「まあ、言わんとすることは分かるでござるが…」

花子「で、まあちょっとしたクイズ形式にしたいから、他の人も発表者の『実はワタシは』を予想しようって企画だよ」


繭 「…それって、一周年とかでやる企画なの?」

花子「うぐぅ…」

繭 「どうせ一周年をやるなら、花ちゃんのバースデー特別編とかの方がよかったんじゃないの?」

花子「仕方なかったんだよ…この企画を思いついたのが当日だったんだよ!というか、今日が一周年だってことも忘れてたからね。今からワタシの誕生日エピソードなんて書けるはずがないんだよ!」

慎吾「行き当たりばったりにもほどがある…」


花子「はい、というわけで先ずは前座として慎吾に『実はワタシは』エピソードを語っていただきたいと思います」

慎吾「オレが初っ端か」

花子「多分、慎吾のエピソードが一番、面白味がなさそうだからね」

慎吾「自分でもそう思うけど、花子に言われると腹立つな…」

花子「じゃあ、慎吾さん、トップバッターをお願いします!それと、他の人は慎吾の『実は…』のエピソードを予想してもらいます」


繭 「慎吾お兄ちゃんの『実は…』的なお話かあ…実は食べられない野菜がある、とか?」

花子「うん、野菜を作ってるのに苦手な野菜がある、は意外性もあっていいね」

慎吾「花子はどの目線で語ってるんだよ…というか、野菜に限らず苦手な食べ物はないな。まあ、こっちの食い物を食い尽くしたわけじゃないから断言はできないけど」

雪花「では、次は拙者でござるな。慎吾殿は『実は…』毎朝、起こしに来てくれる幼馴染がいた、とかでござるかな」

花子「そんな漫画みたいな…」

慎吾「そもそも幼馴染っていうのがいなかったな。オレ、小さい頃は祖父ちゃんの家で育てられたんだけど、周りに同年代っていなかったから」

繭 「慎吾お兄ちゃん、田舎育ちだったの?」

慎吾「中学まではな。高校はそこそこ都会っぽいとこに通ってたけど」


花子「そうなんだね…じゃあ、ラストはワタシだね。実は、慎吾は赤点の常習犯だった…とかかな?」

慎吾「赤点なんて取ったことはないぞ」

花子「なんか、慎吾は野球ばっかりやってたってイメージがあるからさ」

慎吾「野球はやってたけど勉強もしてたぞ。中学の頃は生徒会長もやってたから」

花子「慎吾が生徒会長ぉ!?」

慎吾「そんなに驚くことじゃないだろ」

花子「もう慎吾が優勝でいいくらいのインパクトだよ!?」

慎吾「いや、『実は…』のネタは他にとっておきのがあるんだが…」

花子「いやいや、それはもうとっておいた方がいいよ!そっちは多分スベるから!」

慎吾「それはそれで腑に落ちないんだが…」


繭 「はい、慎吾お兄ちゃんの次はボクだね」

雪花「繭ちゃん殿の『実は…』でござるか」

慎吾「繭ちゃんは末っ子っぽいけど…『実は…』長男だった、とかか?」

繭 「あー、長男といえば長男かな?一人っ子だったけど」

慎吾「なるほど、そうか」


花子「ワタシはね…繭ちゃんは『実は…』運動がそこまで得意ってわけじゃない、に一票かな」

慎吾「え、繭ちゃんはダンスとか上手かったじゃないか」

繭 「まあ、確かにボク元々は運動神経が抜群ってわけじゃなかったかな。ダンスは、努力と根性があればなんとかなるんだよ」

慎吾「ああ、そうか。繭ちゃんすっげえ頑張ってたもんな」


雪花「それなら、拙者は…『実は…』繭ちゃん殿は花子殿の相手が面倒だと思っている説を推しますぞ」

花子「きっとそんなことないよ!?」

繭 「そうだよ。『実は…』とかじゃなくて普通に面倒くさいって思ってるよ」

花子「繭ちゃん!?確かにたまに言われてるけど、繭ちゃん!?」


繭 「じゃあ、答え合わせね。『実はボクは…』ご先祖さまに陰陽師さんがいます」

花子「割りと本気で驚いたんですけど!?」

繭 「らしいよ。名前とかの詳しいことはボクも知らないけど」

雪花「というか、陰陽師の後はやりづらいでござるが…次は拙者が」

繭 「雪花お姉ちゃんの『実は…』だよね。お嬢さまだって言ってたから…庭でワニを飼っていた、とかかなあ」

雪花「さすがに、日本でそんなローマの王さまみたいなことはできないでござるよ…」

慎吾「オレは、雪花さんは『実は…』警察に表彰されたことがある、かな」

花子「警察のご厄介になったことがある、なら普通にありそうだけどね」

雪花「拙者これでもお巡りさんのお世話になったことなんてないのでござるが!?」

花子「でも、こっちに来てから投獄とかされたじゃないですか…」

雪花「あれは、その…若気の至りというか転生直後の至りと言いますか」


花子「ワタシはそうだね、雪花さんには『実は…』許嫁がいた、とかかな?」

繭 「あー、意外とありそうだよね」

雪花「二人とも拙者のことなんだと思っているのでござるか…」

花子「違うの?雪花さんがお嬢さまならありそうだけど」

雪花「ないでござるよ。このご時世、お金持ちとはいえ浮き沈みは激しいでござるからな。今は裕福でも、五年後や十年後にはどうなっているか分からないでござるよ。それなのに、そんな先を見据えた結婚の約束なんてできないでござるよ」

花子「思ったより世知辛い理由があったんだね…」


繭 「それじゃあ、雪花お姉ちゃんの『実は…』ってなんなの?」

雪花「…を、していたでござる」

繭 「え、聞こえなかったよ?」

雪花「だからその、拙者『実は…』子役タレントなどをしておりました」

花子「ウッソでしょ!?」


雪花「いや、その…なんか知り合いの人からやってみないかって言われて劇団などに所属しておりまして」

花子「雪花さんが…子役タレント?」

繭 「今までで一番の衝撃だね…」

雪花「ちょっとしたドラマでござるが、主役の経験もあります」

花子「マジっすか!?」

雪花「いや、でも、それってホントにコネみたいなものでござったし、ひっどい演技をしてたでござるからな…マジモノの黒歴史なんでござるよ」

花子「腐女子的な黒歴史を押し退()けるくらいの黒歴史なんだね…」


慎吾「あとは…花子だけか」

繭 「正直、雪花お姉ちゃんの『実は…』の後だと、何が来てもインパクトないよね」

雪花「いやいや、繭ちゃん殿もかなり衝撃的でしたぞ」

花子「なんか消化試合みたいな空気を出すのやめてもらっていいかな!?」

慎吾「でも、花子の『実は…』って、先月より二キロ増えたとかそんなのだろ?」

繭 「ボクは、『実は…』ニンニクはキャラ付けのために食べてるに一票だよ」

雪花「拙者は、『実は…』流れ星を見たことがある、とかだと思うのでござるが」

花子「ワタシの時だけやっつけになってない!?」


花子「ワタシだって、とっておきの『実は…』があるんだよ」

慎吾「大丈夫かよ、そんなに自分でハードルを上げて」

花子「ふふん、ワタシが真打を選んだのはね。とっておきがあるからなんだよ」

慎吾「だから、それが心配なんだが…」

花子「いくよ、『実はワタシは…』サンタさんからプレゼントをもらったことがあります」

慎吾「…………」

雪花「…………」

繭 「…………」


雪花「花子殿…いくら一周年の企画とはいえ、悪ノリが過ぎるのでは?」

花子「あ、そのリアクション…ワタシのことをオオカミ少年だと思ってますね?」

慎吾「まあ、今のはそう思われても仕方ないと思うぞ」

花子「ふふん、そう来ると思ってたよ。なら、お話して差し上げましょう。花子ちゃんとサンタさんの、聖夜の奇跡の物語を」

繭 「え、これホントのヤツなの…?」

花子「あれは、今からだと二年、いや、三年前かな…どっちでもいいか。その二年前のクリスマス、ワタシはひどくやさぐれていました。病気のせいで、精神的にかなりまいってたからね」

慎吾「…花子」

花子「おっと慎吾、湿っぽいのはここまでだよ。で、そのクリスマスにね、お父さんたちがね、「プレゼントに何が欲しい?」って聞いてきたんだけど、ワタシはそれどころじゃなかったからいらないって言っちゃったんだよね。本当は、欲しいプレゼントがあったのにね」


花子「けどね、そんなやさぐれ花子ちゃんにね、サンタさんが夢の中で『プレゼントに欲しい物がないかい』って聞いてきたんだよ」

雪花「夢の中…で?」

花子「まあ、夢の中というか夢うつつって感じだったかな。サンタさんの声も憶えてなかったし、ワタシも夢だと思ってたよ。でもね、クリスマス当日、ワタシの枕元には、ワタシがリクエストしたお洋服が置かれてたんだよ」

繭 「夢の中のリクエストが…本当になったの?」


花子「そうだよ。お父さんにもお母さんにも、それから、おばあちゃんにも言わなかったんだ。ワタシが、何を欲しがっていたのか」

慎吾「それなのに、クリスマスには花子が欲しがっていたプレゼントが置かれていた…か」

花子「ね、誰にも言ってないプレゼントが置かれてたんだよ。これって、夢の中でサンタさんがワタシに聞いてくれたからなんだよ」

雪花「確かに、それは不思議でござるな…」


繭 「でも、花ちゃん、それって…むぐ?ちょっと慎吾お兄ちゃん、なんでボクの口を抑えるの?」

慎吾「ああ、すごいな花子…花子には、サンタクロースがいたんだな」

花子「そうだよ。そして、花子ちゃんの誕生日は実はクリスマスだったりするのです」

雪花「それ、ホントにすごい『実は…』でござるな…」

花子「でしょ?そりゃ、サンタさんもちょっとくらいワタシのことを贔屓(ひいき)してくれるよね」


花子「でも、ワタシこっちの世界に来ちゃったからね。今年はクリスマスにサンタさんが来てくれたりはしないかなー…」

慎吾「だったら、オレがサンタをやるよ。『花子のサンタクロース』には、絶対に勝てないだろうけど」

花子「そんなことないよ…『念話』でワタシのリクエストなんか聞かなくても、慎吾ならすごいサンタさんをやれるよ」

慎吾「さすがに『アノ人』の代わりはオレにはきつそうだけどな…できるだけやってみますか」


雪花「いやあ、最初はクソみたいな一周年の企画だと思っていたのに、いつの間にかイチャイチャに()げ替わっていたことに驚きが隠せない拙者でござった…」

花子「別にイチャイチャではなかったと思うけどね!?」

繭 「ボクとしても色々と言いたいことはあるけど…一周年ってことなら我慢するよ」

花子「繭ちゃん…」

慎吾「それなら、そろそろお開きってことにするか」

花子「そうだね。じゃあ、最後にみんなでお別れの挨拶をしようか」


繭 「この一年、ありがとうございました!」

慎吾「正直、この先どれだけできるが分かりませんが…」

雪花「行き当たりばったりでふらふらしているお話でござるが…」

花子「これからも、よろしくお願いいたします!!!」

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