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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

公園はしのイノチたち

作者: そにを.tya

大切なものなんて儚いものよ。

人生はその連続。

人間は極限の状態になると「幻覚」を見るという。

だが、俺が見たのは「幻覚」なんかじゃない。幻覚なんかじゃ。

俺は神を信じない。

俺はこの想いをそんなもので片付けたくない。



陽が沈んだ頃、散歩に出かける。

ぽつんぽつんと間隔の空いた街灯が辺りを照らし、その灯りを頼りに住宅街を歩く。

ほとんど使われていない公園に入り、ブランコに座ってタバコに火をつける。

これが俺の日課だ。

在宅勤務が増え、家ではパソコンに向き合う日々が増えた。そのせいで家にいるときは仕事のことばかり考えてしまい、ストレスが溜まる。だから夜になったら外の空気を吸いに散歩に出るのだ。


ブランコを揺らしながら、小さな公園内を眺める。

昼間もそうだが、この時間には俺以外誰もいない。

「俺、何やってんだろうなァ」

たまに自分の人生が正しいのか不安になる。

これが子ども頃から描いていた人生なのだろうか?

友達はおらず、結婚もしていない。家では仕事のことばかりで心が落ち着かない。家といっても貯金も大してないので、ずっとアパートを借りている。

「これが人生?・・・これが人生かぁ」

だが、心のどこかで諦めていた。

深く考えないことが生きるコツだ、と無意識に考えていたからだ。


ふと、ブランコの目の前に何かの植物の芽が生えていることに気づいた。

綺麗な緑色で生き生きとしている。

自分にもこんな時期があったのだろうか。

「しかし、こんなところに生えても可哀そうだな」

公園の縁には草木が生えているが、ブランコの周りにはこの芽以外は何もない。それに地面も乾いている。

ブランコから離れ、水道の蛇口をひねり手のひらに水をためる。そしてその芽に水をかけた。

「がんばれよォ」

俺は公園を後にした。今日もまだ仕事が残っている。



次の日も公園に訪れた。

普段は誰もいない公園なのに、今日は誰かいた。

俺の特等席のブランコの前でしゃがみ、何かを見ている。

近づいてみて、ギョッとした。

その正体は女の子だ(多分)。おそらく10歳にも満たないだろう。

女の子は一度こちらに振り向いたが、あまり気にする様子もなく、そのまま何かを見つめる。

「何を見てるんだい?」

俺が問いかけるとこちらを向かずに答える。

「大きくなるのを待ってるの」

何がと思ったが、昨日見つけた芽のことのようだ。

ジッと見つめたまま動かない。

俺はブランコに座り、少女を眺めながらタバコを吹かす。

長い三つ編みが、小さな背中に垂れている。

この子はどこから来たのだろうか。

「ねえ、お父さんとお母さんは?」

「ここにいるよ」

「ん?どこォ?」

「ほら、ここ」

少女は地面に向かって指をさす。しかしそこには何もない。

「?・・・ねえ、君はいつからここにいるの?」

「ずっといるよ」

「ずっと?・・・今日の昼間からかな?」

「ううん。もっと前からいるよ」

「もっと・・・。昨日もいた?」

「うん。ずーっとここにいる」


・・・そのとき、俺は考えるのを止めた。

これぐらい年齢の子が言うことだ。深く考えるのはやめよう。それに仕事で疲れているんだ。余計なことに巻き込まれたくない。


話題を変えることにした。

「その芽。すぐには大きくならないぞ」

そう言われた少女は振り返る。

「そうなの?」

「植物ってのは、ゆっくり成長するんだ。それにずっと見てても成長してるかわからない。たまに見るから成長してるって気づくんだ」

「ううん、この子はすぐに大きくなるよ」

「ん?」

「少なくとも、人より早く成長する。私はそう思うよ」

「まあ、人間に比べたらな」

「だからわたしはこの子をずっと見てる。すぐに大きくなるんだもん」

そう言うと少女は再び、芽を見つめ始めた。

なんだか変わった子だなあと思いながら、俺は2本目のタバコに火をつけた。


少ししてから腕時計を確認する。

公園に来て30分くらい経った。そろそろ家に戻らないと。

「俺は帰るよ。君もほどほどにな」

「うん」

近づいても、話しかけても、その少女は芽から離れようとはしなかった。

やっぱり昨日はいなかったよな、そう考えながら俺は公園を後にした。



次の日もその子はいた。

ただ昨日の真剣な表情とは裏腹に、今日はなんだか楽しそうだ。

近づいてみると、芽の周りに何か小さな生き物が踊っている。

「な、なんだこりゃ⁉」

「大きくなるのを祈っているんだよ!!」

少女が答える。

どんぐりのような生き物は5匹で芽を囲み、手足を必死に動かし「にゃにゃ!」と呟きながら踊る。

この子はこれが何か知っているのだろうか。

「(いや、多分知らないだろうな。それにしても興味津々だな)」

見た感じ害はなさそうだ。

俺はブランコに座り、その様子を眺める。

心なしか芽がほんのり光っているような気がした。

タバコをくわえ火をつけようしたとき、どんぐりたちが踊るのを止め、俺の足元までやってきて何かを訴える。

「にゃにゃ!!」

「もしかして吸うのだめか?・・・仕方ねェな」

今日は家で吸うか。そう思いタバコをしまう。考えてみれば、昨日も少女がいたから吸うべきではなかったかもしれない。

タバコをしまう俺を確認し満足したのか、どんぐりたちは再び踊りだす。

そして少女は楽しそうに眺める。


(俺は何を見ているんだろう)



次の日も芽の周りでどんぐりたちが踊り、少女がそれを楽しそうに眺めていた。

ただ今日は子どもが1人増えていた。

藁で編んだ帽子をかぶっているせいで顔がよく見えない。

「君は?」

「この子は私の妹。名前はレム。あっ、私はエルね」

一昨日からいた少女の方が答える。妹のレムは恥ずかしそうに帽子を深くかぶり直す。

「(妹?)」

ふーん、と適当に相づちを打ちながらブランコに座る。

公園でタバコを吸うとどんぐりたちが怒るので、今日は噛みタバコを噛んでいた。

すると姉のエルが物欲しそうにこちらを見ているのに気づく。

「あー、これガムじゃなくてタバコだから。ん、こっちやるよ」

ポケットから飴玉を取り出し、二人に渡す。

「ありがとう!おじさん!」

「・・・・・・あり・・がとう」

エルは満面の笑みで、レムは恥ずかしそうに御礼を言う。

嬉しそうな二人を前に、俺は気づかれない程度で息を吐いた。


おじさん。

いや、三十路にもなれば立派なおじさんかも。

(これが俺の人生・・・)

突然襲ってくる虚無感。

間違った道を進んだ訳ではない。

ただ、自分の人生に納得がいかない。何が足りないのか、そんなこともわからない。


(・・・っ考えるな。時間の無駄だ)

考えれば考えるほど取り戻せない時間を後悔するだけだ。


芽を眺める。

小さく光っている。まるで砂漠の夜に灯されたロウソクのようだ。

「・・・いや、逃げてるだけかもな。得体の知れない恐怖から」

ブランコから立ち上がり、芽のそばにスポイトのようなものを差し込む。

「おじさん、なにこれ?」

「植物の栄養剤。これで少しは成長するはずさ」

「へー、こんなので大きくなるんだ」

この芽にも少し愛着が湧いた。できれば大きくなる姿を見たい。

しかし、どんぐりたちが栄養剤を引き抜き、取り合いを始めた。そしてスポイトに噛みつき、中にある栄養剤を飲み始めた。

「あっ、これお前らの飲み物じゃねえ!芽のために持って来たんだよ」

しかしどんぐりたちは夢中になって飲み続ける。

「アハハ」

栄養剤を取り合うどんぐりを見て、子どもが笑う。


気分転換にしていた散歩だったが、少しだけ楽しみに変わった。



そして数日が経った。

今日も姉妹は芽を観察し、どんぐりたちは踊っていた。

しかし妹のレムは時々、どんぐりを掴んで「スー、ねえやろう、スー」と言っていた。おそらくどんぐりと滑り台を滑りたいのだろう。

俺はスケッチブックにこの光景を描きとめていた。

「それ絵?」

エルが覗き込む。

「ああ、ただの落書き。でも描くのは久しぶりだ」

さほど真剣でもなく、公園の街灯を頼りに鉛筆でスラスラと描いていく。

「上手だね」

「昔は画家とかイラストレーターに憧れていたからな。絵の勉強をしていた」

「おじさん画家なの?」

「いや、なれなかった。『絵を描く暇があるなら勉強しろ』って両親がうるさくてね。まあ、おかげで今の仕事があるけど」

「ふーん」


絵の勉強をしていた時は楽しかった。

真っ白なキャンパスに自分の色が染まっていき、自分を表す作品が生まれるのが面白くて仕方なかった。

そういった意味では美術館にもよく通っていた。

その人がどんな想いで作品をつくるのか、その人がどんな生い立ちで、作品をつくるまで至ったのか、そういったことを見たり調べたりするのも好きだった。


(そーいや、美術館もずっと行ってないなあ)

スラスラと描きあげ、2枚目に突入する。


「今からなればいいんじゃない?画家に?」


突然かけられた言葉にハッとする。そしてエルの顔を見る。

だが同時に、自分がおじさん、大人だということを実感した。

(そうか・・・。俺にはその発想がないんだ。これがこの子と俺の違い。いや、子どもと大人の違いか)

描いている手を止め、1枚目に描いた落書きを眺める。

「そんなに絵が上手なのにもったいないよ」

(・・・それは子ども発想だな)

「君たちも大きくなったら、分かると思う。大人って変な生き物なんだ。やりたいことを本気でできない、変な生き物さ」

エルは首をかしげる。俺が何を言っているのかわからないのだろう。


「じゃあ、なんで今絵を描いてるの?」


「なんで?・・・そりゃあ・・・・・・・」

なんで?

あれ?なんでだ?

趣味とは違う。絵を描くのは9年ぶりだ。そんなもの趣味じゃない。趣味じゃない?

そうなのか?今描く意味?

本当は・・・・?


「・・・・・・・・・・なんでだろう」


曖昧な返事になってしまったが、それでもエルは微笑んだ。

その日、芽は少し成長し、放つ光がわずかに強くなった。



それから毎日、公園に行くと絵を描いた。

成長する芽、それを囲って踊るどんぐりたち、滑り台をすべるレム、俺の前でポーズをとるエル。日記のように毎日描いた。

なんでもない、ただの鉛筆の落書きだ。

でも、この時間が一日の中で一番楽しい時間になっていた。

「おじさん、どんどん上手くなるね」

「そうか?」

正直、昔のほうが上手く描けていたと思う。しかし子どもの素直な感想が嬉しかった。


いつしか仕事場だった家の中は落書きで埋まってきた。

描いた落書きはスケッチブックから外し、一枚一枚部屋の壁に貼り付けていたからだ。

この光景が勉強していたあの頃を彷彿とさせる。

「不思議な気分だ」

家にいると仕事のことばかり考えて疲れるから散歩をしていたのに、今は居心地がいい。

いつの日か諦めた。諦めたはずの世界が部屋の中に広がっている。

「・・・もう一度」


『ピピピピピピ・・・』

電話の音が響き、我に返る。

(何を考えてるんだ・・・。俺は)



「おじさん、今日は描かないの?」

ボーっと芽を眺めていると、エルがブランコを漕ぎながら尋ねる。

「俺、自分がわからなくなってきた。前にも聞かれたけど、なんで絵を描いてたんだろうな」

「嫌いなの?絵を描くの」

「いや、嫌いじゃない・・・はあ」

「おじさん?」


そもそもなぜ、こんな気分になっているのかもわからない。

楽しいことをしていたのに、なぜ急にこんなに落ち込んでいるのか。

おそらくは昨日の電話のせいだろう。

あの電話が俺を現実に引き戻したせいだ。絵を描かない生活を送っている自分に。



「ねえ、おじさん」

エルが声をかける。

「おじさんはどうして芽に水をかけたの?」

「へ?」

「あの日、なんで芽に水をかけたの?」

「急になんの・・・」

「答えて」

エルが真剣な表情で俺の目を見ている。

(俺が水をあげた理由?)

芽を見る。日に日に成長し、大きく育ってる。

初めて芽を見た日、確かに俺は水をあげた。あの時、何を思っていた?

(かわいそうだと思ったから?そうだったか?・・・いや明確な理由なんてない気がする)

「・・・多分理由なんてない。そのときの気分だ」

前にもこんな曖昧な返事をした気がする。

「それがおじさんの良いところじゃない?」

「え」

「おじさん、普段めんどくさいこと考えないようにしてるでしょ?」

図星。まさにその通りだ。

「無意識にしたいと思ったことしてるでしょ。絵も目的を考えず、無意識に描きたいと思ったから描いてる」

エルはブランコから降りた。

「でもそれは自分の心にブレーキがかかっちゃうの。深く考えないせいで自分がしている目的に気づいてない」

俺は息をのんだ。

深く考えないことが生きるコツだと思っていたからこそ気づけなかった事実だ。

「それはつまり自分に素直じゃなってこと」

「・・・・・・・・・」

エルはブランコに座る俺の目の前に立つ。


「おじさんはどうして絵を描いてるの?」


今、少しだけど理由がわかった気がした。

(諦めたから描かないようにしていたんだ。もう苦しい思いをしないために・・・)

だがまた描き始めた。

それはエルの言う通り無意識に始まった。

(俺の素直な気持ち・・・)

なぜまた絵を描き始めたのか?


「それは、また描きたいと思ったからだ。君たちを見て、もう一度」


絶対とは言えない。ただこれが心から出た本心だ。



俺は3ヶ月ほど海外出張でシンガポールに訪れていた。

あの時の電話は職場からで、シンガポールにできた支店の調査と指導の仕事だった。


あの日を最後に俺は日本を出た。


「それがおじさんの本心?」

「ああ、そうかもな。多分そうだ」

少しずつ、描きたいという思いがふつふつと湧いてきた。

だが、出張の件があるため今日はもう帰らなくてはいけない。

「君たちにも言っておかないとな。俺はちょっと仕事の関係で海外に行かなきゃあいけない。少しの間だけどお別れだ」

ブランコから立ち、腰を伸ばす。

「今日はありがとな。君たちのおかげで気持ちがスッキリしたよ」

それじゃあ、と歩き出したとき、

「おじさん、ちょっと待って」

とエルが呼び止める。そして「レム、スー」と妹とどんぐりたちを呼ぶ。

何だろうと思い、向き合う。

「これはね、感謝とおまじないね」

「え?」

二人が俺の体にしがみつく。そしてどんぐりたちが囲み踊り出した。

「「ありがとう」」

二人が満面の笑みで見上げる。

一瞬、困惑したが俺は小さく微笑み御礼を言う。

「こちらこそ、ありがとなあ」

この子たちと出会ってから、灰色だった時間が色を取り戻した。感謝するのはこちら側だ。

「おじさん、この芽の花言葉知ってる?」

エルが言う。するとレムが口を開く。

「『大きな希望』。・・・落ち込んだ人に贈る花。『砂漠のろうそく』」

「おじさんにぴったりだね!」

「ハハハ、俺そんなに凹んでたか?」

俺は膝をついて二人の手を握る。

「それじゃあ、また会えるときにな。今度は俺の真剣な絵と海外のお土産を持ってな」

「うん、私たちはこの芽と共に待ってるから!」

そう言ってみんなと別れた。


そして俺は3ヶ月の出張が終わり、日本に帰ってきた。

お土産と道具を持って久しぶりに公園に向かった。



この3ヶ月もシンガポールのホテルの中で絵を描き続けた。

出張の仕事が嫌だったわけではない。それどころか、久しぶりに外での仕事、さらに海外での仕事で楽しく取り組むことができた。シンガポールの友達もできた。

ただ、心がむずむずする。

やっぱり俺はあの公園で絵が描きたい。そのせいか公園に向かう足取りが速くなってきた。



ところが、公園に近づいた辺りで異変に気づく。

(あれ?)

公園の入り口に黒と黄色のテープが貼られており、中に入れない。

フェンスに張り紙があり、「改修工事中」と書かれていた。

「・・・・・・・・・は?」

公園内にはトラックやショベルカーが駐車されていて、遊具が撤去されている。地面は掘り返され、殺風景に生まれ変わっていた。

目の前の光景に愕然とし、慌てて中に侵入する。

(芽は⁉あの子たちは⁉)

ブランコがあった辺りを見渡す。街灯もなく、真っ暗になった地面をスマホのライトを照らしながら探す。


そこには、何もなかった。


掘り返された地面だけがそこにあり、芽もどんぐりも姉妹も誰もいなかった。


茫然自失なまま帰宅した。

部屋の中は3ヶ月前に描いた落書きで埋め尽くされていた。

芽の周りで踊るどんぐりたち、芽を観察する姉妹、ブランコで微笑むエル、滑り台をすべるレム、そして成長していく芽。

暗い中、照明をつけずにイスに座った。

月明りだけが部屋の中を照らし、何の音もしない。

タバコに火をつけ、ポツリと呟く。

「こんなものか・・・」


しばらくタバコを吹かしていたが、今さっき放った言葉が少しずつ感情を揺れ動かす。

タバコを持つ手が震え、息がしゃくり上げ、タバコの煙にむせる。


暗い部屋の中、大量の落書きに囲まれた仕事場で俺は泣いた。



10

それから1年半のときが過ぎた。

公園の改修工事は、子どもの自殺が原因だった。

俺がシンガポールに行っている間に、あの公園で子どもが一人亡くなった。

最初は事故や殺人で捜査されていたらしいが、のちのち自殺だったことが判明した。

もともと昼間も使われない公園だ。

そういった場所に適していたのかもしれない。

子どもの身元は両親が伏せるように警察にお願いしていたため、誰かは報道されなかった。

それから、公園は周辺の空き家も取り壊し、もっと人が訪れやすい憩いの場として生まれ変わった。


俺は昼間に、新しくなった公園に訪れベンチに腰掛けた。

本当はブランコに座りたかったが、子どもたちが遊んでいた。

俺は公園にいる子どもたちの様子を眺める。

「・・・やっぱりいないか」

公園が新しくなっても姉妹が現れることはなかった。

工事中も何度か訪れたが姉妹もどんぐりもいなかった。

探すのを諦め、小さく息を吐く。


あれから俺は少しずつではあるが、絵を描き続けた。

描かないとあの子たちに怒られるような気がしたからだ。

だが、おかげで絵は上達し少しずつではあるが成果がでてきた。もうじき、小さな美術館の一室で個展を開くことになっている。

それもこれもあの子たちのおかげだ。

(さて、帰るか)

公園が新しくなったら姉妹に会えるかも、という淡い期待は消え、ベンチから立ち上がり公園の出口へと向かった。

そのとき、足元に何かがあることに気づいた。

それは芽だった。

あのとき見つけたものとは別の芽だ。

俺は少しだけ胸の高まりを覚え、その芽に水をあげて帰った。






美術館の一室に個展が開かれた。

その個展の名前は『エレムルス 砂漠の希望』。





ありがとう❤️

ここまで読んでくれて。感謝!

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