第2回
「今日の花のパンの味は、第1回に続いてゴーヤークリーム味が出た!」
渉夢はピースとオープの暮らしている家でまったりと過ごしていました。ビリービングは外の植物にホースで水やりをしています。
「渉夢ちゃん、ゴーヤークリーム味って美味しいの?」
と、ピースもゴーヤークリーム味の花のパンを口にしました。すると、真っ青な表情になり、外に駆け出します。
水やりをしていたビリービングに水道についていたホースを外させ、ピースは水道の蛇口から出ていた水をガブ飲みしていました。
「ピース、どうした?」
ビリービングが尋ねると、
「花のパンのゴーヤークリーム味がまずかった」
と、ピースは言いました。
「ゴーってよく変な味の花のパンが食べられるよな。あいつ、味覚がおかしいんじゃないのか」
「そう言いながら、お前も花のパンを渉夢ちゃんと並んで食ってるだろう」
「う、なぜそれを……」
ピースに言われ、ギクッとなったビリービングです。
「オープからこれまでのお前の報告は、バッチリ聞いてるから」
ニコリと笑い、ピースは渉夢とオープのいるところに戻りました。ビリービングも水道の蛇口をしめ、ホースも片付けてからピースについて行きます。
彼らが戻ったとき、渉夢とオープは異世界ミュージーンの乗り物の話題で盛り上がっていました。
「オープ、ミュージーンに電車があったって本当!?」
渉夢は一口、メロティーといった紅茶のようなお茶を飲んだあと、オープに聞きます。
「本当だよ。バスだってあるよ。飛行機やヘリコプターはないかな。バスがだって地上を走るほかに、空を飛ぶ飛行機やヘリコプターの役割もしているから」
オープはプリンゼリーを完食してからそう答えました。
「地球だったら風の抵抗とかですぐ『バスのヘリコプターと飛行機』、壊れそうだけど」
「ミュージーンはその心配全然ないよ」
「いいな、知ってたらミュージーンの乗り物、乗りたかった」
渉夢はミュージーンの乗り物に乗りたそうですが、そこをオープが制します。
「あんたはもうミュージーンの危機を救ってしまったからね。今、乗り物に乗せてもしょうがないよ。もし、またミュージーンに何かあったとき、渉夢みたいな子がそのうち来てミュージーンの乗り物に乗せるってことはありそうだけど」
「オープが言うと本当になりそうだな」
と、ピースです。
「ならない、ならない」
少女は首を振っていましたが、ピースはそれでも本当になりそうなのではないかと真顔で空を見上げていました。
「ミュージーンの乗り物ってあとは何がある?」
渉夢がオープに質問すると、少女はミュージーンの乗り物についてもう少し詳しく話します。
「自転車と船があったよ」
「自動車はないんだね」
「ああ、車はねえよ」
と、ビリービングが渉夢に言いました。
「あとは、ミュージーンの動物たちが乗り物の役割をするってことがあるかな」
ピースが言ったあと、渉夢は彼らENCOURAGEと出会う前にキリンの上に乗せてもらったことを思い出します。
ビリービングの方は、「第12話、行き詰まりのゴー」のときに登場したレスキュー隊員のクマたちに負傷したオープとファオが運ばれて行ったことを思い出していました。
そして、少女たちを運んだときのアニマートな動きをしていたクマたちの動きまで思い出し、彼は同じことを思い出した渉夢と吹いてしまっていたのでした。
~第2回終止符~




