表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

第1回


 ここは、異世界ミュージーンです。水色の空にシャープの月、きらきらの音符と、黒の音符がきれいに交差し合っている異世界になります。





 ピースやオープの故郷のワールドタウンで進実渉夢は花のパンの畑で1人、花のパンを食べていました。






 「うん、今回はゴーヤークリーム!」


 渉夢が美味しそうに食べているところを見たオープはゲンナリした表情で、





 「ゴーって、よくそんな味がよく分からないパンを美味しく食べられるよね」


 と、言いました。ゴーとは渉夢の愛称です。





 「ほら、私、そんなに食べ物の好き嫌いってないから」






 「渉夢ちゃん、すごいね」


 ピースが口笛を吹きながらやってきて、渉夢たちの目の前で腰を下ろします。渉夢はサイドの髪のあたりに手を当てながら、照れていました。





 「いいえ、そんなことないです。ピースさんだって好き嫌いがないでしょう」






 「いや、あるぜ」


 よおと片手を上げ、ビリービングがピースの横に腰を下ろします。




 「ビリービング……」


 まずそうな表情で隣に座ってきた少年を横目で見たピースです。






 「え、ピースさん、好き嫌いあったのですか?」


 と、渉夢が言うと、ビリービングは首を振ります。






 「食べ物じゃないんだけどな。ピースはな、ミュージーンのハチがダメなんだぜ」






 「ハチ!?」





 「ゴーが頭の中で想像している地球の毒針があるハチとちがうんだ。ミュージーンのハチの姿形は地球のハチと一緒だけど、ミュージーンのハチは耳元を狙って歌ってくるハチなんだ」


 こう説明をしてくれたオープに渉夢は鳥肌を立てていました。




 「それを聞いちゃうと、私もミュージーンのハチがダメかもしれない……」


 考え過ぎる性格の渉夢は、どうしても地球のハチの方を想像してしまいます。





 自分の耳のところまでハチたちが飛び回って、やがて毒針を耳にチクンと刺してくるシーンまで頭の中で浮かんでしまっていました。渉夢が何を想像していたか、すぐに察したビリービングは少女を落ち着かせます。




 「ゴー、大丈夫だよ、刺されねえから。言葉も話せて優しい歌声をしているハチたちだよ。ピースってさ、ちょっとでもハチたちが耳元に来ただけで、飛び上がって逃げるからな」






 「オレはどうしても耳元で歌われるのがダメなんだ。やばい、想像してしまった……」





 「ピチスお兄ちゃんも実はゴーに負けないぐらい考え過ぎてしまうお兄ちゃんだよね」


 と、オープが従兄(いとこ)のピースのことを言ったあと、渉夢とビリービングは笑い、ピースは苦笑していましたが笑って歌の発声練習を始めたのでした。








                 ~第1回終止符~



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ