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木漏れ日の下で  作者: 北川 斗興
2/2

2話

2話です!

1話見てくださった方はありがとうございます!

文章量少ないですが、頻繁に書いていけるよう頑張ります!

 

 あれから、何時間が経ったのだろう。


 最高にロマンチックなデートスポットで、一世一代のプロポーズをした。

 結果は失敗。それどころか、一年付き合っていた彼女と別れることになった。


 俺が「はい」と返事をすると、彼女は「じゃね」と言って一人で帰って行った。


 俺はというと、その場から動けず、結局夜が明けてしまった。


 周りにいたカップル達は、俺に対して哀れみの視線を向けていたが、気づいた頃には帰っていて今この場にいるのは俺一人だ。


「はぁ.....」


 大きなため息をついてしまった。

 そういえば彼女が「ため息をつくと幸せが逃げるんだよ」と言っていたな。


 .....もう逃げたあとだよ。どうするよ、今後の俺の人生。


 あんなに大好きだった彼女に、こっぴどく振られて、俺はどう立ち直ればいいんだ...。


「女の人って、怖いな」


 小声で呟いた。周りに誰もいないのに。


 とりあえず時間を確認しようと思い、ポケットから携帯を取り出す。


 すると、新しいメールが一件届いていた。


「一体誰からだ?」


 そのメールの差出人を確認すると、以前俺が書類選考に応募していた会社からのメールだった。

 メールの題名には、「書類選考結果」と書かれている。


「おいおいまじかよ、こんな時に結果が来るのかよ...」


 人生はなんて理不尽なんだ。

 よりにもよってこんな時に、しかもここの会社は書類選考で落ちる人だらけだって聞いたことがある。

 そんな会社からの通知、見れるはずないだろ!


 .....いや待てよ。もしかしたらこれはチャンスなのかも!?


 人生詰んだと思ってたところに舞い降りてきたのは一枚の合格通知。面接もバッチリ決まって晴れて内定!なんてことがあるんじゃないのか!?


 ていうか、そうなれば俺の人生まだまだ薔薇色じゃね!?


 よし、あの女のことは忘れよう。そうだ、あれはきっと悪い夢だったんだ。うん。そうだ。きっと...うん.....。


 彼女のことを思い出して悲しくなってくる。


 いや、今はそんなことはどうでもいい。さあ、開けるぞ、夢の扉を!


 メールをクリックする。文章がズラッと並び、少しずつ下にスクロールしていく。


「通過こい!通過こい!」


 ゆっくりゆっくりスクロールしていた指を止める。そこに書かれていた言葉は───


「残念ながら、今回はご期待に添えないという...」


 いわゆる、不採用通知だった。


 まあそうなるわなぁ。

 俺の大学、別に凄い訳では無いし。ていうかどちらかと言うと下の方だし。俺別にすごい資格とってないし。ていうか顔的に不採用確定だろうし...。


 わかりきっていたことではある。あるんだけれど、流石に振られて不採用通知来てのダブルパンチを食らった俺は、こう言うしかなかった──


「人生なんてクソ喰らえ!」


 すげーかっこ悪いセリフを大声で叫んでしまった。周りに誰もいないけど。


 精神的に参ってしまった俺はとある場所に向かって歩き出した。ここにいても、彼女のことを思い出すだけだし、大声出しちゃったし。


 その場所は、辛いことがあった時とか、ゆっくり休みたい時に行く場所──。


 そこは近所にある大きめな公園だ。


 その公園を奥に歩いていくと、ちょっとした丘があり、その麓に大きな木が1本とベンチが一つ置いてある。

 俺はそのベンチに座るのではなくて、木を背にして、直接地面に座り込む。


 そして上を見上げる。


 枝と葉っぱが、俺を太陽から守ってくれるのだ。そして太陽が枝と葉っぱに反射してキラキラ光り幻想的な風景を見せてくれる。


 俺の特等席だ。


 心地よい風が吹き、葉が揺れる。その音を聞くと、とてもリラックス出来るのだ。


「それにしても、昨日今日と酷いことが続いたな」


 俺の人生で1番ひどい時間だったと思う。昨日今日のことを考えると、今まで悩んできたことがアホらしく思えるほど、辛い時間を過ごしたと思う。


 けど、やはりここに来ると心が安らぐのだ。


 座り込んで上を見ているとだんだん暖かくなってきた。とてもポカポカしてきて心地よい風も吹いて、だんだん意識が遠のいていく。


「あ...そういえば俺、寝てないんだった...」


 普段は寝付きが悪いのに、とても疲れていたからか、すぅーっと、木漏れ日の下で俺は、眠りについた...。


 ───と思っていた時。


 ぴたっ


 ん?何かが頬に当たったような...。


 ぴたっぴたっ


 やっぱりなにか当たってる。ちょっと湿ってるし、雨か?


 そして次の瞬間、


 ペロペロペロ


「.....!く、くさっ!」


 その何かが、今度は鼻の当たりに触れて、悪臭が立ち込めて来た。


「な、なんだ?」


 ぼやけた視界の先にいたのは、1匹の柴犬だった。


「ワン!ワン!」


「うわぁ!ちょ、ちょっまっ!」


 尻尾を降って俺の頬を舐めてくる。俺は動物が好きだけど、あまりの不意打ちに思わず大きな声を出してしまう。


 けどまあ、ここも俺とこの犬の二人だけのようだけど。


 と思った矢先に


「すいません!その子私の飼い犬です!」


 一人の女性の声が聞こえてきた。そしてこちらに向かって駆け足で寄ってくる。


 その女性と目が合った時、俺の背後から少し強めの風が吹き、葉っぱが大きな音を立てて揺れた。









次回、柴犬の名前がわかります!

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