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叙情詩  作者: たかぽん
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フェンリル

餓狼の見上げる丘には幾つもの神話があった。

或いは普遍、普及と言う。


ある時代はフェンリルと呼ばれた白い狼は、最上大業物と呼ばれる牙を以て、苦もなく獲物を屠り喰らわずとも生きられる。神狼が居たのだ。名をカムイ。業はどんな恐ろしい魔物の言い分も聴くという神の巫女ノ心をもったオオカミなのである。ある土地では白蛇姫。ある土地ではアメノミカズチといふ。その名の通り人ではなく、神のことを言うのだ。


 然しある時、フェンリルを飢えた餓狼が取り囲みフェンリルを蝕んだ。フェンリルは本来ならば普遍、普及であるとともに、不死身であったが、フェンリルはこの者共のためなら一度、不死身を止めよう。そう言って彼らに供されたのだ。


 フェンリルを喰らった餓狼は狂喜した。あまりのその美味さに。然しことごとく餓狼は息絶えた。不死身を食らうと必ず然訪れる。そしてたった一匹だけその群れの長はその肉を喰らわなかった。狼の群れは、長は最後の残り肉を食べる習性があるためだ。


 餓狼の長はその場で微動だにせず、ただ群れの仲間が死ぬのを待っていた。行き絶え絶えになったフェンリルは、うらめしそうに眼で訴える。(私の肉を食らいなさい)餓狼はそのままトボトボと前に進むと項垂れながらフェンリルの眼を喰らった。その刹那!大地が大きく揺れる。今から7000年前の事である。崖が崩れてゆくが、フェンリルの加護を受けた餓狼の長は、軽い身のこなしで、崩れ行く伽藍から、シュタッシュタッと飛び移りながら崩れ行く地面を眺めると一つの祭壇が出来上がっていた。


これが飢えた餓狼が不死身を食らい祟られ死に。飢え切った餓狼だけが助かったと言う。


フェンリルの神話である。




その後餓狼はどうなったか。


                続く………………

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