1日目(2)
とりあえずバケモノの自分を受け入れてみました。ブヨブヨ動く触手も高い視線も違和感があるが、その内慣れるでしょう。
何と無く感覚で触手を動かして移動することにした。もう今は日中で明るくいい天気だが、人通りも車の音もしない荒涼とした街は見たことのない風景だった。
街中の道路の真ん中にいたって大丈夫だった。ただ車が所々止まっていたり、転がっていたり、建物にぶつかっていたりしているが人気はない。
私はあてもなくうにょうにょと移動していると同じ姿をしているバケモノと出会った。どうやらバケモノは私だけじゃないようだ。
どうしたものか、避けた方がよいか接触した方がよいか迷ったが、今は私もバケモノだから大丈夫なんじゃないかなと近づいてみた。
私が近づいてもバケモノは襲ってこなかった。でもじっと見られている感覚をバケモノから感じた。恐る恐る近づいて行くとバケモノは私の方に一本だけ触手を伸ばしてきた。私もまた一本だけ触手を伸ばしてバケモノの触手に触れてみた。
ぶわっとした感覚でプヨプヨの身体が震えた。バケモノには意識があった。それは希薄だったが、確かに私に伝えようとする感覚があった。うれしさ、喜びそんな感情を彼は伝えてきた。
私は彼に伝えてみた、どこから来て、何ものなの?かと。
彼は触手で上を差し、よく分からないと伝えてきた。どうやらこのブヨブヨのぷよ彦は空から来てどこから来たのか自分たちでも分からないようだった。あと何で人間を襲うのか尋ねると、ぷよ彦はよく分からないようだった。人間を襲っている自覚がないのか?
その他色々聞いたが彼に伝わないようで、よく分からないとしか伝わってこなかった。
私は落胆してぷよ彦から離れた。その後、街を練り歩いたが人間どころかカラスや猫などの生物を見かけず、たまに見かけたと思ったらぷよ彦に吸収されている所を見かけた。
ぷよ彦達は所々の街中に佇み、うろうろ徘徊し、私を見かけると襲う訳でもなく視線を感じるだけだった。