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俺とお前。  作者: 水晶
9/9

許容範囲

 奴の部屋へ来て、早速後悔する俺――木村水城(17)。


 はぁ…馬鹿なことしてるぜ俺――とか思わなくもないけれど。


 俺がわざわざここに来た目的を忘れてはならない。


 そうだ。


 そう。


 俺はここに最寄の書店では既に売り切れ完売御免!の最新作の小説を貸してもらいに来たのだ。


 そのためだけにわざわざこんな嫌いな奴の住処まで足を運んだのだ。


 多少鳥肌が立っても我慢だ。


 本をこの手にするまでの我慢。


 そう…我慢なのだ。


 何故こんなにも我慢我慢と繰り返し、理性を保とうとするように繰り返しているのだろうか…。


 ああ…そうだ。


 本を貸してもらうために何かお礼でもしなければならないからなのか。


 現金や食べ物はいらないと言われた。


 では何を所望しているのか?


 「……」


 ああ…。


 体がとてつもなく重たい。


 体重がまるでそう…二倍になったかのような重さが自分に圧し掛かってる。


 とてもじゃないが上体は起こせそうにない。


 …何故?


 どうして俺は床に寝転がってる?


 「いい匂い…」


 「……」


 耳元でなんか変態らしいぞわっとする囁きが繰り出された。


 だが、声音自体は嫌いじゃない。


 むしろいい声だと思う。


 けれど、それを持っている人物は嫌いだ。


 とても嫌だ。


 本を貸してもらうのにするお礼?


 その許容範囲ってどこまで?


 ああ…ぞわぞわと鳥肌が立ってゆくよ。


 背中に回された手がくすぐったい。


 許容範囲許容範囲。


 それって本当どこまで?


 上着の中に手を突っ込むとこまで?


 それともそれ以上先までか?


 ヤバイ…。


 こちらが下手に動いて機嫌損ねでもしたら、もしかしたら本を貸してもらえないかもしれない。


 それでここまで来て失敗したら今までの屈辱が恥辱が全て水の泡となる。


 なら…黙ってされるがまま大人しくしてろってか?


 ははは。


 んなの、


 「無理な話だろ…!!」


 水城は床に押し倒された状態で天井を見つめてうなるように吐き捨てた。


 ああ…もうイヤ。


 もう…判んない。


 こいつ、殴っていいかな。


 これ、絶対セクハラ行為に値すると思うんだけど。


 むしろ脅迫?


 こっちが本貸して欲しさに言うこと聞かせようってか?


 「…うぜー」


 「ああ…抱き心地もいいんだなぁ水城は」


 「……もぉ、」


 マジ殴り飛ばしてぇえええ…。

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