五話
おそくなりました。
ごめんなさい。
ぺろぺろ。
貼り紙が記した場所へ着いた。そこは、普通より少し広いくらいの民家だった。
「なあ、ここでホントに合ってるか?」
リアナは疑ってもない様子で民家に入ろうとする。
「ストォォォプ!間違ってたら迷惑だろぉ!」
「うひゃあ?!」
叫んだヒューマに驚くリアナ。その声を聞いて中から人が出てきた。
「あなた方は貼り紙を見て来たのですか?」
出てきた人は司祭のような格好をしていた。声も優しい感じだ。
「そうです。ここであってましたか?」
ヒューマは丁寧に話しかける。ずっこけているリアナの首根っこをつかみながら。
「えぇ、あっていますよ。さぁ御二方、どうぞこちらへ」
そう言われて中に入ると、暖炉のついた部屋に温かそうなシチューの匂いが出迎えてくれた。二人のお腹がぐぅと鳴る。
「先に夕食にしましょう。その後に少しお手伝いをしてもらいます」
そう聞いた途端、がっつくリアナ。そいつと共に旅をすることがヒューマは少し恥ずかしくなった。だが、腹が空いていることはヒューマもまた同じだった。
程よい温かさのシチューはまろやかな味わいだった。隣に置いてある焼き立てのパンと共に口に入れる。パンの香ばしさがより幸せの感覚を際立たせる。
二人は思いっきり食べた。今日の疲れを吹き飛ばす程には美味しい思いをした。
「 ふぅー、食った食った」
ヒューマが腹をポンと叩く。隣にいるリアナはなんと寝ていた。ヒューマは彼女の図太さに感動すら覚え始めた。
「おい、リアナ起きろ。食べたあとすぐ寝たらデブになるぞ」
そういったものの、ヒューマも眠気に誘われた。
「まぁ……多分起こしてくれる、よな……」
ヒューマもゆっくりと眠りに落ちた。
冷たい風が頬を撫で、目を覚ますヒューマ。先ほどの温かいシチューや明るい光を放っていた暖炉などはなく、暗く冷たい床に転がされ、乱雑に置かれた物たちに囲まれていたのだった。