四話
ヒューマは考えていた。もし、さっきのような事があったならリアナには戦う手段がない。なら自分が戦わなければいけない。しかしヒューマはもちろん魔法は使えないから別の方法に頼ることになる。
「なぁリアナ」
「ん?どうかした?」
ヒューマはもし次戦うようなことがあれば自分が戦うということを伝えた。
「でもさぁ、戦うって素手で?」
「そこは大丈夫。剣道はやったことはあるから」
「ケンドー?何それ新しい武器?」
どうやら剣道というものがこの世界にはないらしい。向こうの常識が通用しないのは気をつけなければ。
「えっと、なんというか、剣で戦う方法みたいな」
「ふーん。でも動きとか覚えてる?記憶ないんでしょ?」
少し面倒くさいなこの設定。心の中で吐露する。
「そこは大丈夫。剣術だから、剣が欲しいんだ。刃を見せたらチンピラくらいなら逃げてくれるかもだ」
我ながらいい提案をしたと、ヒューマは思っていた。だが、その計画は砂の城のごとく簡単に崩れた。
「えーっとですねぇ……実はですねぇ……」
申し訳なさそうにぼそぼそ言い出すリアナ。
「いま、お金無いんです……」
言葉が見つからない。こいつは自分の安全も保証されないのに人を助け、その挙句金もないのに人を旅に誘ったのだ。なにか言おうと吸い込んだ空気はため息へと使われた。
「な、何よ!そんな露骨にガッカリすることないじゃないの!」
「いやいや。ガッカリするだろ。金がないってことは、今日の晩飯もないんだろ」
今はもう夕方で、日雇いの仕事を探すにももう時間もない。二人は暗い負のオーラを纏いながら街をてくてく歩いた。
「あ、あれ何かしら」
リアナが貼り紙を指さす。するとその紙にはちょうど今日の、ここから近い場所で夜に作業をするということが書いてあった。なんと晩飯も出るらしい!
「都合よすぎでは?!」
「イイじゃんイイじゃん!早くここ行こう!」
一見解決したかに見えたこの問題。しかしこれがさらに問題を起こす。