三話
「あなた、随分と命知らずな感じだけど一体どこからきたの?」
問いかける少女。もちろん異世界から来たなど言えるはずは無かった。
「えっと、遠いところから」
「具体的には?」
「えっと、すまん。わからん」
「それって……記憶が無いってこと?」
そういうことにしておこう。そう思った飛馬は頷いた。すると、少女から思いがけない提案が。
「私旅してるの。それで、一人旅も寂しいなーって思ってて。聞いた感じ行く宛もないでしょ?だったら、私と一緒に旅しない?」
飛馬からすると捨てる神あれば拾う神ありという感じだ。もちろん断る理由はない。
「ありがとう!えっと……」
「あ、名前行ってなかったわね」
そう言うと、金色の髪をなびかせ、声高々に名乗った。
「私は魔法使いのリアナ!世界最高の魔法使いアディアの一番弟子よ!」
そのアディアという人物は分からないが、カッコつけたかったのは飛馬に伝わった。
「俺の名前は……」
最初は本名と名乗ろうと思った飛馬だったが、リアナの名前を聞いた限りでは日本語の名前は変に思われると考えた。そこで、今まで友人に言われたあだ名でこの世界で名乗るに違和感のないものにした。
「俺の名前はヒューマ。さっき言ったとおり何もわからないけど、よろしく」
こうして、共に旅をすることになったヒューマとリアナ。このあと早速訪れる問題など全く考えていないのであった。