プロローグ
初投稿です。
目の肥えた人には物足りないかも知れませんがこれから頑張っていきます。
二十三時半。街には既に陽の光はなく、建物を照らすのはほかの建物の光。歩行者が少なくなった歩道。それでも昼と何ら変わりなく赤から青に変わる信号。車通りも少なく赤で渡ってしまいそうなものだが、律儀に信号を守る少年がいた。
「晩御飯考えてなかった……。いいや、コンビニ弁当にしよう」
そう呟いた彼の名前は西乃飛馬。どこにでもいる普通の十八歳。他と違うところを上げるとすれば、それは正義感が比較的同年代より強いこと。そして学校に行っていないこと。こんな夜遅くに歩いているのはバイト帰りである。
信号が青に変わる。飛馬は歩き始めた。幸いコンビニは横断歩道を渡った先だ。コンビニに入ろうとした時に後ろから声が聞こえた。
「お?もしかしてヒューマ?」
声をかけてきたのは中学時代の友達。
「そうだけど。えっと……」
「もしかして忘れちまった?なんだよ冷てぇな」
「うっ、ごめん」
「まあいいよ。元気してたか?」
時間を少し忘れ、話し込んだ二人。しばらくした後に別れた。
「いやぁ。懐かしいなぁ。てか、名前言わなかったなあいつ」
そう呟きながらコンビニに入ろうとした途端、目眩。世界が湾曲する。と同時に、頭痛に襲われる。あまりの気持ち悪さに目をつぶる飛馬。永遠にも思われる苦痛は、意外とあっさり終わりを告げる。
歪まなくなった視界には、見慣れない建物。馬車が目の前をを通る。人と、二足歩行して人の言葉を喋る動物たち。
「は?」
さぁ、不思議なありふれた物語のはじまりはじまり。