プロローグ
三日更新で出していきます。
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ビルが立ち並ぶ繁華街。道行く人々は、己の目的のみを見据えて歩く。
携帯電話でメールを打ち込む女性、電話越しに謝罪を繰り返す男性、息子に服を買っている奥様など。
それぞれが全く違う目的を持つ人々に共通する点が一つだけある。
それは何事にも無関心である事。
選挙カーの呼び掛けに耳を貸す者など一人も居ない。
誰かが突然泣き出したとしても、気にも止めずに進み続ける。
誰かが交差点で倒れたとしても「自分とは無関係だから」と言い訳をつけて、見て見ぬ振りをするだろう。
遠目に見ればさながら蟻の行進に近い。
しかし、人々の行進は一人の男の出現により止められた。
歓楽街の中心にある一番大きな陸橋の真ん中。男は大きく息を吸い込みこう叫んだ。
「悩みを抱えている者達よ!今のままで満足か?」
男の周辺にいた人々が一斉に振り返った。
そして言葉はこう続く。
「不安があるなら俺が解決してやる!俺に相談して来い!」
その声量は遥か遠くまで響き渡るほど大きかった。いつもなら、街の人々は異常者が出ただけだと意にも返さない。
だが、この時だけは違った。メールを打ち込んでいた女性も、頭を下げていた男性も、セールに躍起になっていた奥様も、この場にいた全ての人が一人のを凝視したのだ。
男は言葉を発し終わると、まるで何事も無かったかのように近くの古いビルへと歩き出した。
興味を惹かれた人々は男性の後を目で追った。彼の入っていった古いビルのテナントは一つしか入っおらず、そこにはこう書かれていた。
[大文字相談事務所]




