おバカで間抜けなヤンデレがアタックしてくるけどやっぱりバカな話
俺こと咲夜史郎16歳はどこにでもいる一般的な普通の高校生!...といいたいところだが...
実際少し普通の人なら経験しないような事を度々経験する。
それも俺のの幼馴染の二宮春香、こいつのせいだ。
こいつは俺の事ををとても思ってくれている...と言うと聞こえはいいがとても「思っている」と言うレベルではない。
いわゆるヤンデレってやつだ。
ヤンデレと言うのは愛が空回りしまくってよからぬ方向に愛情が突っ走ってしまう、と言うなんとも傍迷惑な物でもちろん一般的な物ではない。一言で言えば、異常だ。
具体的に実体験を言ってみればストーキングされたり部屋に監視カメラを仕掛けられたり他の女子と話してると生命の危機....ととても特殊な愛がさらに歪んでしまったような、
それがヤンデレだ。
俺は今そのヤンデレの春香の家にいる。
本当は来たくなんてなかったのだが断ると後が怖いので渋々了解して今に至る。
「さぁどうぞ、紅茶だよ」
差し出された紅茶からいい香りがただよってくる。
「おうサンキュ」
紅茶を手に取り少し口に入れてみる
「お!美味いなこれ!」
実際史郎にはそこまで紅茶の美味しさはわからないのだが取り敢えず口からでまかせをいっておかないと後が怖い。
「本当?よかったー!」
笑顔で喜んでいる姿を見て、黙っていれば可愛らしい物を...と少し警戒が解けた。
..と安心したのもつかの間急激な眠気が襲ってきた。
「なん...だ..急に眠く...」
視界がボヤけてよくわからなくなってきた。
とても眠い。とても...
視界が歪み、わずかに見えたのは春香の歪んだ笑みだった...
............
.......
.....
バッ、と勢いよく起き上がるが手首と足首が縛られて動けない。
どうやら縄のようなもので縛られているらしい。
「ぐっ...ここは...春香の家!?」
止まった思考を必死に動かし、現状の把握を急ぐ。
「あ、起きたんだね!史郎!」
そんな中その思考を止めるかのように
とても可愛らしいがその可愛らしさが怖い、そんな特徴的な声が部屋に響いた。
その声の主は満面の笑みで俺の名前を呼ぶ春香だった。
「おいこれ!一体どうなってんだよ!」
縛られた体で必死にもがき、叫ぶ。
「いやぁ即効性の買ってよかったよぉ!睡眠薬」
睡眠薬。一服盛られたようだ。
「ぐっ...さっきの紅茶に!..」
少し、いや、とてもやばいような気がする
「よくわかったね!大正解!」
人を小馬鹿にした態度であざ笑う
「俺をどうするつもりだ!」
史郎は強張った表情で問う
「どうするって.....どうしよっかな!」
どうやらこいつは考えも無しに人を眠らせ縛ってこんな事をしていたらしい。
「はぁ...お前筋金入りのバカだな...」
呆れた。とにかく呆れた。
「 バカ!?バカって言ったよね!?バカっていったほうがバカなんですぅ!史郎のバーカ!」
そうなのだ。見た通り春香はとにかく行動力と俺への愛がありすぎるおバカなヤンデレなのだ。こいつのバカさ加減はたぶん日本、いや世界一、二を争うレベルだろう。
「じゃあまぁ取り敢えずこれ解けよ」
取り敢えずこの縄が邪魔なのでとってもらおう。このおばかさんに。
「ダメだよぉ!史郎が他の女の人の物にならないように今私の物にするの!」
普通の人が同じセリフを言ったらきっと可愛らしい冗談だと思えるだろう。だがこいつの場合は本当にバカなので本気で言っている。
それをこいつの行動力が本当に実現させてしまいそうで怖い。
「おいおい...マジで勘弁してくれって...帰って志村動○園見たいんだって...」
史郎は某動物番組の名前をほのめかす。
「えっ!今日志村動○園だっけ!?」
実は春香は某動物番組のファンなので、
毎週欠かさず見ている事を史郎は知っている
(やはり食いついてきたな!後は...)
「あぁ!もう始まるぞ!見に行かなきゃ!」
わざと慌てたようなしぐさで春香を焦らす。
「あわわわっ!どうしよ!見たいけど史郎が!」
(よし!ここで!)
「俺が志村動○園予約しといてやるよ!」
普通の人ならこんな話が通じるわけはない
だが春香は普通の人ではないので、
「よしっ!頼んだ史郎!」
案の定簡単に引っかかる。
「よし!じゃあこの紐をほどいてくれ!」
「わかった!すぐ解くね!
史郎がこの時ほど春香をバカだと心底呆れた時はないだろう。
「よし!解けた!」
やっと手が自由になる。
「よし!逃げよう!」
全速力で走り玄関を目指す。
「あっ!騙された!」
騙されたと言うのかわからないくらい簡単に信じた春香が悪い。
「相変わらずバカだなぁ!HAHAHA!」
史郎はすごいスピードでほくそ笑みながら走っていく。
「待てー!!!騙したなぁ!!」
春香がものすごいスピードで史郎を追いかける。
「げっ、あいつ足早すぎだろ!」
追いかけてくる春香の足は予想異常に早かった...が、その時
「ひゃぁっ!」
どうやら春香がものすごいスピードでずっこけた様だ。
「大丈夫か!?」
史郎はさっきまで逃げていたのを忘れて転んだ春香の元へ寄りそう。
「大丈夫!大丈夫!」
そうだ、こいつの頭は世界一頑丈だった、と史郎はつくづく思い出す。
「あぁ、でも志村動○園始まっちゃうね」
そういえばそうだ、追いかけっこしているうちに少し時間が経っていたらしい。
「はぁ....しょうがない、見るか、志村動○園」
しょうがなくため息を尽きながら史郎は提案する。
「うん!!史郎大好き!!」
勢い良く飛びつき史郎にしがみつく。
「うわっ!やめろって!」
顔を赤らめながらよろけて、叫ぶ。
だが、こんなヤンデレな幼馴染もありかな...なんて思う。