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パクりで目指す世界最強  作者: 健全な青少年
よくある展開と僕など
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勇者召喚

「えっ?」「何だ、何が起きたんだ?」「さっきまで教室にいたのに?」「瞬間移動か?」


 隣には、一緒に連れてこられた(・・・・・・・)であろう生徒達が疑問の言葉を口にしている。

 何が起こったのかよく分からないといった感じだ。


「ほう……」

「……」



 目の前にいる貴族風な男性は感嘆にも似た声を出している。

 その妻と思われる、隣に座っている女性は、値踏みをするかのようにこちらを見据えていた。


「ッシャァーーー!!」「やった! 成功だー!」「大丈夫だよな? 何処も失敗してないよな!?」


 ローブの人達は、皆手をとりあって喜んでいる。


 僕は、周りに比べて比較的冷静な思考で、目の前の事について考える。


 ここは何処だ。

 何が起きたんだ?

 瞬間移動? 集団で?

 そんなの、現実的に考えてあり得ない。

 ドッキリか?

 いや、もっとあり得ない。

 手が込みすぎている。

 というか、どうやって教室から、こんな場所まで連れてくるんだ?

 まだ瞬間移動のほうが信じられる。


 だけど、目の前の人達は全く驚いたような感じではなかった。

 むしろ喜んでいる。


 ならば、この人たちが何かしたと考えるべきだろう。


 じゃあ何をしたか。


 ……わからない。


 だけど、僕はこの光景を、何処かで見たことがあったような気がする。


 いや、別に深く考える必要はない。

 ドラ○エだ。ドラ○エの光景に似ているだけだろう。


 だけど、このシチュエーション。

 この状況。

 何処かで見たことがあった。


 ……思い出せない。


 目の前の男性は気色満面の笑みで、こちらを向く。

 まるで、何かを期待しているようだった。


 そして口を開いた。


「まず、このようなところにつれてきたのは、すべて我のせいだ。その事を、謝らせてほしい」


 男性は、その頭をおもむろにさげる。


 回りの人たちはいきなりの男性の行動に狼狽えている。隣の女性は、興味が無いと言わんばかりに、男性の行動になんの反応も示さなかった。


 なんだ、そんなに珍しい事だったのか。

 この人はそれなりの身分についているのだろうか。


「いきなり何なんだ、といったような顔だな。うむ、もっともだ。我とて、目の前の景色がいきなり変わって、正常でいられる自信がない」


 悪かったな。と、心のなかで返答する。


「まずは、ここが何処なのかということを話そう───」




_________________


 王様(・・)が話した内容は、とても信じられるようなことではなかった。


 まず、この世界(・・)は僕たちのすんでいる地球とは全く違う異世界(・・・)だと言った。


 そしてこの王国の名前は、トランス王国。

 シエジスタ大陸の5つある王国のうちのひとつである。


 トランス王国。

 なんか危なそうだ。

 白い粉が横行していそう。

 きっと、この王国の人間はいつもテンションがハイに違いない。

 もしくはフォームするかもしれない。


 まぁ、ここからが本題。


 僕たちは、この世界の伝承に従って、召喚されたらしい。


 何故なら、異世界から召喚された人々は皆同じように、強大な力を持っているから。


 じゃあ何故、僕たちを召喚しなければならなかったのか。

 簡単だ。

 こんなテンプレな世界に、強大な力が欲しくなる理由なんて、一つしかない。




 魔王の復活である。




 つまりは、僕たち勇者(・・)に、魔王を倒して欲しい、ということだ。




_________________


 魔王というのは、結構頻繁に復活と死亡を繰り返しているらしい。


 それはだいたい、この世界に召喚された勇者が魔王を倒して、100年ほどたったあと。


 つまり、100年に一度は魔王との戦争がある、ということ。


 かなり怖い世界である。

 人生に一回は魔王との戦争を体験しているのだ。


 だけど、国民の殆どはあまり脅威として感じていないらしい。




 だって、全て勇者様が倒してくれるから。


 今までで、魔王に負けそうになったことのある戦争はたったの一回。

 しかも、勇者召喚をしなかった、一回目の戦争である。

 それも、すぐに覆した。

 勇者召喚を行い、勇者がこの世界を救ったのである。


 魔王の時代は、たったの一年で終わった。




_________________


 で、僕たちに魔王を倒せと……、そういうことか。


 いや、なんというか……言わせてくれ。


 何故そんなことをしないといけないんだ?


 完全にこちらには関係のないことだ。

 もし拒否することによって非難されることになっても、そう言われる筋合いなどない。


 そんなことより、家に返して欲しいんだが……。


 ん? 待てよ?

 前に召喚された人々は、どうやって元の世界に帰ったんだ?




 聞いてみると、全ての勇者はこの世界に止まり、この世界の娯楽を満喫したらしい。


 元の世界に帰ったものはただの一人もいない。

 そう伝えられている(・・・・・・・)らしい。


 ふーん、伝えられている(・・・・・・・)らしい、ねぇ。


 じゃあ、嘘を伝えられていることもあるということだ。




 もしかして、帰れなかったんじゃないか?


 ただ帰れなくて、この世界にとどまる以外の選択肢がなかったんじゃないか?


 そうか、そういうことか。


 僕たちはこれを拒否することができない。

 魔王を倒すことを、まぬがれない。


 元の世界に帰れないのだったら、僕たちはこの世界にとどまることになる。


 魔王が復活した、この世界にだ。


 僕たちが魔王を倒さないということは、つまり、魔王にこの世界を渡すことと同じである。


 それに、例え、元の世界に帰れる方法があったとしても、この王国が許さないだろう。


 僕たちは、魔王を倒す事を強いられているらしい。


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