表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/84

自己紹介、事後召還

 我輩は中二病である。

 自覚はまだない。


 始めに気づいたのは家族の皆さま。

 だんだん僕の様子がおかしくなっているのを見て、何かあると思ったのである。


 ただの中二病だったが。


 そのときの僕は、十字架のネックレスや何に使うのか分からないチェーンをつけ、包帯の代わりに適当に考えた魔方陣を自分の腕にかき、「クッ!また腕の『アレ』がうずきやがる……!」とほざいていた。


 いや、あのときは本当に楽しかった。

 今では遠い思い出である。


 また大学生になったらやろうか。きっとみんな違う大学にいくはずだ。

 そうしよう。僕に羞恥心なんてない。


 そろそろ自己紹介をしよう。


 僕の名前は春原はるはら 夏樹なつき

 カッコいい事が大好きな超COOL高校生。

 (自称)が付くけど。


 ちなみに、現在僕は学校の教室で寝たふりをしようとしている。

 断じて、友達が居なくて昼休み時間の過ごし方が分からないという、わけではない。


 は? どうせお前にはいないだろって?

 バカいえ。僕にだって友達くらいいるわ。

 まず、藤堂だろ。次に蒼井、神崎……あ、鈴野がいた。

 ほらな、四人もいる。

 四人いたらボッチじゃない。


 じゃあ何をしていたかというと…………………………うん。どうでもいいな。


 それじゃあ、今挙げた人たちの紹介をしよう。


 まず、藤堂とうどう わたり

 身長が180越えの男子高校生。

 勉強はあまり得意ではないが、運動神経は抜群。

 顔や性格もそこそこ良い。


 僕には敵わないけどね。

 ふふん。……むなしい。


 次に、蒼井(あおい) (そら)

 女性のような名前をしているが、男子。

 しかし、顔が中性的で間違えられることもよくある。

 体は小柄で、顔も整っている。

 そこら辺の通行人を集めてどいつが一番かっこいいかと聞かれたらだいたい、コイツかな? と思う程度だ。

 ちなみに、勉強も運動もそれなりには出来るので、結構モテる。


 男性にも女性にも、だが。



 次に、神崎(かんざき) (かなで)

 彼女もまた小柄で身長は150あるかないかで、スタイルもいい。

 胸は決して大きくはないが、全体的にキュッとしている。

 あまり運動は得意な方ではなく、クラスの下から二番目くらいの運動神経。あと、若干コミュ障。


 だがしかし、彼女は可愛い。


「とても可愛い」。

「すごく可愛い」。

「付き合いたい」。

「なでちゃいたい」。

「ペロペロしたいでござる」。


 そんな感想が頭に浮かぶほど可愛い。

 最後のは僕のじゃないと信じたい。



 最後に鈴野(すずの) (りん)

 奏の友達。

 正直あまり彼女のことは知らない。

 ただ、奏の周りにたかろうとしている(おとこ)を追い払うのが彼女の役目だ。

 僕や藤堂、蒼井は追い払われなかった。

 恐らく、下心のある人は近づけないようにしているのだろう。

 僕結構ヤバイ。

 下心ありまくり。


 もしかしてあれか、僕がかっこよすぎたか。


 おいおい子猫ちゃん、残念ながら僕の心は既にあの天使(かなで)に盗まれちまったんだぜベイベー。

 ふふふ、僕も罪作りな男である。


 もしかしなくてもあり得ないけど。


 こんな感じである。

 よくよく考えてみると、僕にはどうやら美形の友達が多いらしい。


 ん? そう言えば、教室にあいつらがいない。




 ……あ、来た。外にいたのか。何をしていたんだろう?

 ……というか。


 四人で行動していたのか。

 僕も呼んでよ。誘ってよ。

 なんか複雑な気持ちになるだろうが。


 もういい。

 寝る。

 ふて寝だ。

 あいつらが話しかけても無視するしっ!


「よう、夏樹。お前にちょっと話があるんだけどさ……」


 藤堂が話しかけてきている。が、無視する。

 けっ、今さら遅いね。


「夏樹? 夏樹ー? 夏樹さんやーい」


 さらに藤堂が話しかけてくる。が、無視する。


「うーん、完全に寝てるよ」


「どうしようか?」


 なにやら蒼井と相談している。まだ無視する。


「神埼が声かけたら起きるんじゃないか?」


「え? 私ですか?」


 藤堂が神埼さんに話しかける。む、無視、する。


「あー、なるほど。奏が声かけたら確かに起きるね」


「えっと、どうしてですか?」


「それはね、奏……」


 近くに居た鈴野さんが神埼さんに理由を話さそうとする……って、何話すつもりなの!?


 もう寝たふりなんて、やめよう……。


 僕はしぶしぶ、顔をあげることにした。




 ーー瞬間、バカでかい爆発音が聞こえる。


 バッ、とたまらず顔を上げる。

 周りのクラスメイト達も、突然の出来事に顔を見合わせて呆気に取られている。




 だがしかし、これで終わりではなかった。


 今度は、頭の脳みそ全部ぶちまけられようとしている、そんな錯覚を覚えるような、激しい耳鳴りがする。

 高い音と低い音が同時に聞こえる。


 ダメだ、なんかもう吐きそう。


 僕が体内にあるモザイク推奨物を吐きそうになったとき。


 突然、その耳鳴りが止んだ。


 どうなっているんだろうか。

 爆発からの耳鳴り。

 核爆発でも起きたんじゃないか。どういったものかは知らないけどさ。

 FPSで手榴弾やら閃光弾を一気に投げ込まれた感じがする。


 ふと、窓の外を見る。

 特に意味のある行動ではない。

 何が起きているのか、様子を見ようとしただけだ。




 …………見たまんまの事を言おう。


 何もなかった。


 いつもなら見えるはずの校庭が。

 いつもなら見えるはずの青空が。

 なかった。


 真っ白だ。


 外は白で塗りつぶされていた。




 突然の出来事の連続だ。

 脳の処理が追い付かないとはこの事か。


 そして、さらに突然の衝撃が、教室にいる人達を襲う。




 今度は何もかもが見えなくなる程の閃光。

 太陽を間近で見たらこのような感覚を体験できると思う。


 目が痛いなんてレベルじゃない。

 そのまま失明しそうだ。




 だが、まだ悪夢は続くようだ。

 次は空中に浮かんでいるかのような浮遊感。


 まるで、ビルの屋上から投身自殺をしたときのようだ。


 投身自殺、したことないけど。


 もう無理、お腹一杯ですよ。

 家に返して欲しい。




 が、次の瞬間。


「?」


 すべてが止んだ。

 閃光も、浮遊感も。


 代わりに、目の前の光景に僕は、衝撃を覚えていた。




 そこは見たことのない所。城の一室であるかのような場所だった。


 そう、例えるなら、ドラクエで旅に出る前に最初に行く王様の前、みたいなところ。


 そこには、いかにも高級そうな服に手を通していた貴族風な男性と女性が、やけに高級そうな椅子に座ってこちらを見ていた。


 そして、小綺麗なローブを着た、少し汗だくになっている、老人数名。


 その格好はまるで、マンガや小説で見た、魔法使い(・・・・)のようだった。



10.29

色々と編集。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ