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植物人間たけるくん

作者: 佐藤英次


僕は18歳。

僕の名前は田中まさる。

同級生の友達。

友達の名前はみのみやたけるくんといいます。

たける君は、みんなにとって、

頼りある、優しき、強き、良い人間でした。

そんな、たける君が、植物人間になるなんて。

神様、そんなのひどいよ。


あれは2年前、

たける「あ、危ない!」

たける君は、車にひかれそうだった、登下校中の小学生を、

助けて、交通事故にあったんだ。

それから、病院に運ばれた。

それからすぐ手術。

それを聞いた僕はすぐさま病院にかけつけた。

しかし、僕の知っているたける君はすでにいなかった。

たける君はいるけど、たける君の面影はなかった。

でも、ここにいるのは確かにみのみやたける。

遷延性意識障害せんえんせいいしきしょうがい

俗にいう植物状態しょくぶつじょうたい)になってしまったんだ。


僕は泣いた。

みんな泣いた。

たける君の人生は終わってしまったんだ。

事故から2年。

たける君は、まだおきない。

僕は1週間に1回、たける君に会いに行く。

そして、この日、病院の先生から一言。

「もう、あと3ヶ月です。」

僕はあせった。

そして、先生にこう言った。

「でも、先生!助かるって!」

先生からまた一言。

「あれはウソだよ。」

「ウソ!?先生・・・そんな、助からないんですか!」

先生は言った。1つだけ助かる方法があると。

しかし、あまりにも条件が難しかった。

「助ける方法はただ1つ、

ドイツへいき、手術を受けること、ただし、

植物人間を治す手術には金がかかりすぎる、80億!

君は払えるかね?」

そんな、80億。

急にそんなこと言われても無理だ。無理に決まっている。

たとえ急じゃなくても、80億なんて、無理だ。

僕は、病院を出て、たける君の家へ向かった。

僕は、たける君の親と話した。

80億。いくら子供のためでも払えないと言われた。

僕はどうしてもたける君を助けたい。

僕は心のなかのもやもやを整理し、決心した。

お金をためて、助けてあげると。

そして、僕は、煙突掃除などの高額なお金がもらえる仕事をたくさんした。

1週間でやっと1000万。

でも、1週間で、1000万円もたまった。

でも、とても体中が痛い。えらい。逃げたい。

体には疲労感。

もう無理だ。

でも、でも、でも、

僕は、僕をあの日、助けてくれたまさる君を助けたい。

まさるがそう思った一瞬だった。

まさるはその場で倒れた。

ピーポーピーポー””

サイレンの音。

まさるは救急車で病院に運ばれた。

そして、3日が過ぎた。

まさるは、病院にいることに気づく。

「ダメだ、たける君のために、お金を・・・・」

まさるはすぐさま病院を抜け出し、

パソコンを使いインターネットで闇サイトを開く。

まさるは書き込んだ。

80億貸してください。

お金は倍にして返します。

と、

「もう、たける君を助けるにはこうするしかないんだよ!」

そして、1週間後、ヤクザとの取引。

「倍にして返せなかったら、死んでもらう。」

「分かってる。」

たけるは病院に駆け込む。

「先生、80億です。」

まさるはたくさんのトランクケースを先生に渡した。

「・・・。どうやって、こんな金?」

「そんなことはどうでもいいです。ドイツで手術させてやってください。」

そういうと、まさるは病院を出る。

先生が苦く笑う。

「フハハハ、バカな奴だ。手術なんてウソだよ!

この金はワタシがもらっておいてやるよ。」

ウソだった。何もかも。

手術のこと、たけるが治ること。金のことも。

全部。ウソ。

まさるは、このことに気がつかない。

まさるはヤクザのところに行った。

そして、あやまる。というか死ににいく。

たける君が助かるなら僕はどうにもなってもいい。

命だって、くれてやる。

「あの、お金。返せません。」

「あぁぁぁぁ、どういうことだ!」

「使いました。すべて。だから、死にに来ました。」

「どうやら、本当みてぇだな。なら、ようはねぇ、消えろ」

バン。バン。2発の銃声。

まさるの心臓に銃弾がつらぬく。

「た・・・ける・・・君、良かったね・・・・助かって・・・・」

暗闇の中、まさるは静かに息を引き取った。


そして・・・・・。

オレは確かにあのとき死んだ。

ヤクザに殺された。

たけるくんは手術を受け、助かったのだろうか?


まさるは、ヤクザに殺された後

天界へ行き、閻魔「えんま」大王のところにいました。

閻魔大王がまさるの目をじっと見る。

「おぬしよ、友を助けるために、自分の命を犠牲にしたのか。」

「いいえ、自分の命を犠牲にしたわけではありません。」

「じゃあ、なんだと申す。」

「僕の命は、・・・・僕の友達のたけるくん。

みのみやたけるくんの元でまだ生きています。」

「おもしろいことを言うな。」

「いいえ、・・・べつに」

「まさるよ。お主には悪いのだが、貴様は、ヤクザという極悪な仕事をしているものから金を借りた。これも天界のおきて、すまぬが地獄に落ちてもらう。」

「かまいません。」

こうして、まさるは地獄に落とされた。


そのあと、閻魔大王は1人つぶやいた。

「まさるよ、本当に皮肉なものじゃな。主の友、たけるが死んだことも知らずに。」



ここは地獄。

「ここが・・・・地獄か・・・・広いな。」

オレは地獄に来たんだ。

オレは・・・・。オレは・・・・。

地獄に来た。


地獄なんか、あるのかさえも不思議だった。

でも、オレはここにいる。

ここが・・・死後の世界の1つ地獄。

想像なんか、したこともないけど・・・・

確かに普通より広いことは分かる。


見渡す限りに広がる赤色の地。


ここでオレは何をすればいいんだ。


死後の世界って、何すればいいんだ?


全く分からない。


でも、分かることは1つ。

死んだら、本当になくなってしまいはしない。

オレはここにいる。

死んではいるけど、オレはここで生きている。


まぁ、いいや。

もやもや考えてる場合じゃないや。

これから何するのか?そんなこと分かるわけがないな。


こうなったら、ひたすらどこいくかわかんねぇけど歩くしかないな。


こうして、まさるはようやく、歩き出した。

まさるは歩く。

しかし、何も見えてこいない。

まさるの目には景色のみ。

歩く、歩く、まさるには歩くことしか許されなかった。

「なんなんだ。歩いても歩いても・・・何もないじゃないか?」

しかし、まさるは必死で歩く。

まだ自分への希望は捨ててはいなかった。

地獄でもやるべきことはあるだろう。

まさるはそれしか思わなかった。

決して、無が待っているとは、思いたくはなかった。



そしてここは閻魔大王のいる天界。

閻魔は水晶玉で地獄でのまさるを見る。

「まさるよ・・・これは試練なのだ。」

地獄ではただ1人で、

10日間歩き続けたものだけが、天国または、

新たなる命を授かることができるのです。

しかし、罪をおかした者などはすぐにあきらめ、

魂が無となり消え去っていくのです。

しかし、閻魔大王は信じていました。

まさるはいいやつだ。人思いでとても。

だから10日間歩き続けてくれと。



そして、ここは地獄。

「くそぅ、何も・・・何もないじゃないか!」

まさるはあれこれ歩いて2日間。

まさるは2日間歩いたことにさえ気がつかなかった。

そして歩き続けて3日目に突入。

まさるは一言しゃべる。

「何もなくはない。ここには僕がいる。僕がいるんだ。」

3日目・・・・・まさるは自分のすべきことをさがすために、

まだ、あきらめず、歩き続けていた。


4日目・・・・。



5日目・・・・・。



6日目・・・・・。



7日目・・・・・。


時は着々と流れ行く中、1人歩く。


8日目・・・・・。


9日目・・・・・。


まさるの精神力は相当強かった。

あきらめることはない、根性。

そして、究極の勇気と愛。

まさるはそれを持っていた。


そして10日目。


まさるは本当に歩ききった。


まさるの目の前に閻魔大王が現れた。


「よくぞ、歩ききった。まさるよ。」


「閻魔大王・・・・!?」


「まさるよ、残念だがたけるは死んだよ。」


「えっ、」


「しかし、オマエは地獄の試練をのりこえた、

よって、生き返るか・・・・それとも、天国へいき、たけるに会うことを許可する。」


「オレを・・・オレをたけるのところにつれてってください。」


「分かった。」


閻魔大王はまさるに魔法をかけたのか、何をしたのかは閻魔大王にしか分からなかった。


まさるが気がついたとき、

「ここは??」

すると目の前に巨人が!?

巨人がしゃべる。

すると

「天国だ。そして、私はこの世界の神じゃ、」


まさるは天国にやってきた。

「神様、たけるは!?たけるは!?」


「あせるな!まさるよ、オマエは地獄からよくぞ天国へと来た。」


そう言うと神は北方向に指にさす。

「そこにいるのが、たけるだ」


「・・・・・!?たける!?」


「まさる・・・・。くわしく説明しよう。」


神はまさるに全てを話した。


まさるが病院をあとにしたことのことの全てを。


「そんな!?」


「すまぬな・・・・だから、たけるは植物人間状態で死んだ。

死後の世界でも植物人間じゃ。」


「何かできないの!?」


「ワシの力をもってしてまでも・・・無理だ。」


そこに閻魔大王が来た。


「いいや、助かる。」


「閻魔よ、、持ち場を離れたのか?」


「すみません、神様。まさるの様子が気になりまして。」


「しかし、助かるとは?どういうことだ?」


「こういうことです。」


閻魔大王はまた魔法をかけたようだった。

たけるは、正気に戻った。

「ん、なんだ。」


「たける!?」


「おお、まさるじゃないか。」


「会いたかった、本当の君に。」


こうして、天国という場だが2人は出会い、植物人間という病気も治った。


神様が最後に一言。

「2人よ、生き返るのだ!そして、新たなる人生を」



たけるにもオレにも何が起こったのか分からない。



ここは、公園。


オレとたけるは砂場で寝ていた。


「まさる・・・・ああーーー。おはよう」


まぁ、何がなんだか分からないけど。


いままであったことは夢なのかな。




                                   終焉


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