7話:本拠地と仕事
広瀬の案内で『ドロップ』本拠地に向かう。
新たなる出会い、そして―――
広瀬直人がフェリーアを探し出した後、彼の案内で『ドロップ』の本拠地へと向かった。
「ここは……」
来たところは『日本学園』の最北端。
不良などや、無能力者の集団などがたむろうような場所、それゆえに、普通の学生ならこんなところへなど来ない。
そもそも竜騎が生活する『学校区』は『日本学園』のほぼ真ん中に位置している。
『日本学園』の広さは、一般の学園の広さなどとは比べものにもならない。
当然、生徒数も万をこえるのだが。
そんなところから一番最北端に行くにはかなり時間がかかってしまう。
今回は、広瀬の力である『速度変化』を使い、走る速度を加速させて来た。
「廃ビルか」
「まぁ、俺たち『ドロップ』のメンバーしかいないし、大丈夫だ」
今にも潰れそうで、撤去しようものだが、このような無法地帯には誰も手を加えたりしないようだ。
3人は二階、三階とあがり、四階についた。
そこは何もない、ただ大きな一部屋になっているだけだった。
「あ、おかえり広瀬っちー」
無邪気な声で広瀬に言った。
「紹介する。こいつがうちの副リーダー、園生美咲だ」
「ちぃーっす、美咲だよー。君は?」
「あ、神島竜騎です……、じゃない、だ」
なぜ訂正したのかというと、ここ『ドロップ』では敬語は禁止らしい。
竜騎は広瀬に言われたので、今言い直したのだ。
「竜の騎馬か……。かっこいいね! もしや学生かい?」
「高校1年だ」
「へぇー。私も高校行ってたんだよ。中退しちゃったけどねっ」
意味ありげだったので、特に深くは聞かなかった。
「他の人は?」
フェリーアが竜騎の後ろから園生に聞いた。
「あー、お仕事中かな」
お仕事?
竜騎がふと頭に引っかかったので、聞いてみた。
「そう。なんか、私ら『ドロップ』、敵対している『ダウン』、それから……」
深くため息をつき、続ける。
「『アウト』ってグループの存在が分かったんだ」
「『アウト』?」
どうやらフェリーアは知らないようだ。
ということは、分かったのは昨日の夜から今日の夕方にかけての間だと分かる。
「仕事内容は?」
竜騎はさらに尋ねる。
「とりあえずは情報収集。できらば敵の殲滅だね」
殲滅。
すなわち殺害。
「殺す、のか……?」
「敵だからね。私は目的を達成するためなら、どんな方法でもするんだ」
その言葉は重く感じられた。
そういえば、なぜ彼女らは世界に反逆しようとしているのか。
「これから私も行くんだけど、竜騎も来るかい?」
思いもよらぬ誘いが、竜騎にかかった。
話がようやく進んできました。
感想、アドバイス等よろしくお願いします。